2024年7月22日月曜日

東京国立博物館「神護寺」2

 

NHK文化センター青山教室講座では、毎回マイベストテンを選んでしゃべることにしているのですが、もちろん今回はこの神護寺薬師を筆頭に掲げました。これを美意識的にみれば、一木造であることによって、強い垂直性が規定されていることになります。

樹木の垂直性は、日本仏教彫刻の簡潔性シンプリシティを生み出す基本的要素です。もちろん日本にも、金銅仏や乾漆像があるわけですが、その祖型や木組みや木心が木であることを考えれば、樹木の垂直性や直線性を無視することはできないでしょう。それは円空仏にまで継承されています。

日本仏教彫刻の簡潔性は樹木の垂直性に起因するというのがマイ独断です() しかし重要なのは、初めの材質による簡潔性が、やがてそれを美しいと感じる美意識に変化、あるいは昇華していったことかもしれません。


0 件のコメント:

コメントを投稿

出光美術館「物、ものを呼ぶ」19

  もっともヤバイ !! と思ったのは、右隻の浅草寺参道あたりに描かれる三十三間堂の建築年代です。完成したのは寛永 20 年( 1643 )、家光の命を受けて 4 月に射初めの儀式が執り行われたというのです。 となると、この「江戸名所図屏風」が制作されたのは、寛永 20 年以...