2024年5月26日日曜日

世田谷美術館「民藝」11

 

ところで、柳宗悦はかのイギリスの詩人にして美術工芸家であったウィリアム・モリスに対し、その失敗は正しい工藝の美を知らなかったことに、本質的、致命的原因があったと述べているそうです。結局モリスの目指した工藝美は、ソフィストケートされた伝統美の枠内に留まっていたと見ていたのではないでしょうか。

柳にとってモリスは反面教師だったことになりますが、大きな影響を受けたこと、そして尊敬の念を抱いていたことは否定できないと思います。昭和4年、個展を開く予定の濱田庄司とともにロンドンに着くと、ケルムスコットにあるモリスの旧宅をわざわざ訪問しているのですから……。


0 件のコメント:

コメントを投稿

山種美術館「桜さくらSAKURA2025」8

 最後に、山種美術館「桜 さくら SAKURA  2025  美術館でお花見!」展のチラシに刷られたコピーを紹介することにしましょう。そこにある「はらはらと散っていく儚 はかな さ」は、新渡戸稲造にならって言えば薔薇に欠けている美しさです。 暖かな陽光がさし始める春。草花が芽...