一般的なくくりでは比較思想史ということになるのかもしれませんが、渡辺さんの思考方法は、もっと能動的です。所与のものを単純に比較するのではありません。例えば纏足を論じながら、話はコルセットへ向うのですが、そこにはある必然がチャンと用意されているんです。起承転結というか、展開のさせ方がとてもうまいんです。だからこそ、そのアイロニーを論じなかった坂元ひろ子さんへの批判に説得力が生まれるんです。
渡辺浩さんは近世日本の漢詩文を専門とする高橋博巳さんの至芸に、オマージュを捧げています。また高橋さんの旅や人生が浦上玉堂のそれに重ね合わされ、相対化され対比されていることをたたえています。
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