2024年1月28日日曜日

千葉市美術館「鳥文斎栄之展」11

ところが昭和56年(1981)、畏友・松原茂さんが「紅嫌いと寛政の改革」という論文を『ミュージアム』358号に発表したんです。松原さんは松平定信の自伝的回顧録『宇下人言うげのひとごと』を読み、天明7年の記事に「ちかき比ころは、東あずまにしきえとて、くろきとむらさきにてすり出し」とあることを発見したんです。

松原さんはその他の傍証を加えて、紅嫌いは寛政の改革と関係がなく、むしろ美意識の問題としてとらえるべきだと主張したんです。そのころ僕は名古屋大学にいましたが、「これで決まり!!」と深く心を動かされました。それ以来、この松原説が定説になったんです。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

山種美術館「桜さくらSAKURA2025」8

 最後に、山種美術館「桜 さくら SAKURA  2025  美術館でお花見!」展のチラシに刷られたコピーを紹介することにしましょう。そこにある「はらはらと散っていく儚 はかな さ」は、新渡戸稲造にならって言えば薔薇に欠けている美しさです。 暖かな陽光がさし始める春。草花が芽...