2023年12月27日水曜日

日比野秀男『渡辺崋山』8

 

 日比野秀男さんの新著『渡辺崋山――作画と思想――』のキモは、崋山肖像画の最高傑作である『鷹見泉石像』(東京国立博物館蔵)の制作事情と制作年代に関する、日比野さんの新しい解釈にあるといってよいでしょう。言うまでもなく、この点については多くの推定が語られてきました。日比野さんにしたがって主要なものを挙げれば、次のとおりです。

①『國華』239号説(1910年) 天保8年(1837)、泉石は藩主土井氏の命により、同家の菩提寺に代参した。その帰り道、崋山宅に寄ったところ、さっそく崋山は下書きを作り、その数日後、完成画をみずから泉石宅へ届けた。

0 件のコメント:

コメントを投稿

山種美術館「桜さくらSAKURA2025」7

今回は奥村土牛の傑作「醍醐」がポスターのメインイメージに選ばれ、目玉にもなっているので、とくに土牛芸術に力を入れてしゃべりました。もちろん大好きな画家でもあるからです。 遅咲きの画家といわれる土牛は、一歩一歩着実に独自の土牛様式を創り上げていきました。人の真似できない真なる創造的...