2023年9月19日火曜日

サントリー美術館「虫めづる日本の人々」6

 

山田監督は「吉永小百合さん扮する美しくて可愛いおばあちゃんの周辺に奇跡のように、コスパとか効率とは無縁の、僕たちの国の『逝きし世の面影』がうっすらと漂っていた」というようなつもりで作ったと述べています。記事のタイトルも「新作で描く『逝きし世の面影』」――山田監督も渡辺京二ファンであることを知って、何かとてもうれしくなってしまいました。

 僕は紀貫之が『古今和歌集』の序に、「蛙かわず」を登場させていることをとても興味深く感じます。この「蛙」というのは、オスがメスを呼ぶため美しい声でなく河鹿蛙かじかがえるのことですが……。小学館版『日本古典文学全集』の現代語訳を引用することにしましょう。


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山種美術館「桜さくらSAKURA2025」7

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