2023年7月19日水曜日

『荻生徂徠全詩』第2巻7

 

荻生徂徠「夏日 宴に侍るに擬す」

 避暑用 離宮 甘泉宮かんせんきゅう 濛々もうもうたる靄もや 覆ってる

 ここは人境――とはいえど 晩夏 六月むつきの暑さなし

 朝 紫の瑞兆が 天子の玉座に流れ来て

 昼 真っ白な浮雲が 侍臣の衣を濡らすだろう

 銅の仙人 手のひらに あふれる銘酒はハナダ色

 舜しゅんの美徳がその刹那せつな かんばしい風 吹き起こす

 その宴会におそらくは 天才詩人が招かれて

 突然 雪がそのあたり 舞い散るさまを詠うたうだろう

 *最後の一句は、漢代・梁王が文才ある者たちを集め、雪を詠ませたという『文選もんぜん』にある故事をふまえているそうです。ですから「『文選』にある梁王の 故事を再現するように」と補ってもよいでしょう。8句であるべき律詩形式を壊してしまうことになりますが……。


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