一方、木米がとりわけ五十代後半から精力的に描いた絵画は、清らかで自由奔放な作風が魅力的です。その多くは友人への贈り物とした山水画であり、交友関係や木米自身の人柄を想像しながら鑑賞すると、より一層味わい深く感じられます。
この特別展はサントリー美術館の久保佐知恵さんと安河内幸絵が企画したものです。木米鑑賞研究史上、いや、日本文人画鑑賞研究史上、きわめて重要な位置を占める展覧会に仕上げられています。よくこれだけの優れた作品と貴重な資料を集めたものだと、感を深くしない人はいないでしょう。
人はだれしもこの幸福な島国で、春、とくに桜の季節を京都や東京で過ごすべきだ。その季節には、思い思いに着飾った人々が、手に手をたずさえ桜花が咲き乱れる上野公園をはじめ、すべての桜の名所に出掛けてゆく。彼らはその際、詩作にふけり、自然の美と景観を賛美する。……世界のどの土地で、桜の季...
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