2022年5月9日月曜日

蕪村唐寅試論3

 

蕪村は維駒に求められて『春泥句集』に序文を寄せましたが、版下も蕪村自筆、いかに力を籠めたかがしのばれます。蕪村はかつて洛西の別荘で召波に会い、そのとき交わした問答をもって序文としています。蕪村の結論は以下のとおりです。

俳諧のもっとも重要なポイントは、俗語を用いて俗気を離れることですが、そのためには漢詩を多く読むのがよいのです。絵画の場合も、俗気を除去するためには書物をたくさん読めという去俗論が唱えられています。

俳諧と漢詩はより一層近しい関係にあるのですから、俳諧上達のために漢詩を読むことは理にかなったことなのです――この師蕪村の離俗論に、召波は深い感動を覚えたのでした。

離俗論はわが国の文人画に大きな影響を与えた、清初の画譜『芥子園画伝』にある去俗論を蕪村風にアレンジしたものですが、去俗論の根底にはかの董其昌の文人画論がありました。

0 件のコメント:

コメントを投稿

根津美術館「唐絵」5

とくに応永年間、熱狂的 に愛好されたので、応永詩画軸 などと呼ばれることもあります。 詩画軸のことを勉強するときには、必ず『禅林画賛   中世水墨画を読む』 ( 毎日新聞社 ) という本を手元に置かなければなりません。そして監修者である島田修二郎先生の論文「室町時代の詩画軸につい...