2021年12月14日火曜日

東京黎明アートルーム「浦上玉堂」6

たとえば入矢義高先生は、この転句――第三句が宋時代の詩人、柳永の詞「雨霖鈴」から「今宵酒醒何処 楊柳岸 暁風残月」を借りたものであると指摘しています。

もっとも僕は、この七言絶句を詠む玉堂の胸底にイメージされていたのは、むしろ有名な杜甫の「曲江」ではなかったかと疑っているんです。お酒を中心に、春、水辺、蝶々と、両者のモチーフがとてもよく重なり合うからです――というようなことを、マイエッセー「玉堂と酒」には書いたんです。

  ヤジ「かの吉川幸次郎先生が、その学殖をたたえて止まなかった入矢義高先生の説に異を立てるなんて、オマエも酔払いながら書いたんだろう!!

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

山種美術館「桜さくらSAKURA2025」7

今回は奥村土牛の傑作「醍醐」がポスターのメインイメージに選ばれ、目玉にもなっているので、とくに土牛芸術に力を入れてしゃべりました。もちろん大好きな画家でもあるからです。 遅咲きの画家といわれる土牛は、一歩一歩着実に独自の土牛様式を創り上げていきました。人の真似できない真なる創造的...