その第16章は「猫の画家たち」となっていて、ここに浮世絵が登場するからです。しかも第16章はきわめて重要な章で、浮世絵の本質を端的に指摘しているからです。これまたその一部を引用しておきましょう。
エジプト人に続いて、日本人を挙げねばならない。近年ヨーロッパにもたらされた画集が示すとおり、日本人は女性や幻想を描く画家であり、とりわけ猫を描いている。
猫の優美さに心奪われる芸術家は、女性の優美さにも同じく心奪われるもので、放埓奇矯を好むことが猫や女性の理解につながるというのは注目すべきことである。しかし、それらを性格づけている機微を書こうとしたら、どれほどのしなやかさを筆先に込めねばならだいだろう。女性、気侭、猫! この鼎立を束ねる不思議な結びつきを、どうやったら明確に辿れるだろう?(略)
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