「秀峰富士と一体化する徳川将軍権威」というのが、「徳川将軍と富士山」展のキャッチコピーです。32点の美術作品や資料を4章に分けて展示し、それを視覚的理解へやさしく導こうとする企画です。
「僕の一点」は、はじめて見る酒井抱一筆「武蔵野富士図」(徳川記念財団蔵)です。静嘉堂文庫美術館が誇る名品の一つに、抱一の「絵手鑑」がありますが、そのなかの「富士図」は、きわめて強い色彩的効果によって高い人気を集めています。このセンターのスライド・ショーでも使われていますし、その絵ハガキはベストセラーの一つだそうです‼
しかしこの作品に先立ち、「武蔵野富士図」のような、より一層伝統性の濃い富士図を抱一が描いていたことを知って、あぁなるほどなぁと腑に落ちたことでした。二つの作品の前後関係は、落款書体によっておのずから明らかだからです。
新富士駅前で駿河湾のおいしいお魚と、センターの近くに蔵元があるという銘酒「高砂」をご馳走になったあと、陶然とした気分で家路についたことでした。
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