2019年3月22日金曜日

國華特輯号「屏風絵新考」7


第一論文は畑靖紀氏の「狩野内膳の南蛮屏風――旧川西家本の再出現をうけて――」である。南蛮屏風の多くが筆者を特定できないなか、豊臣家に仕えた狩野内膳の落款を有する作品が五点知られている。そのうち、長らく行方不明であった旧川西家本が八十年ぶりに出現したのを機に、内膳筆南蛮屏風を総合的に考察した論考である。特に当該屏風については、制作に内膳本人のすぐれた関与を認め、慶長年間後半の制作時期を推定して結論としている。

第二論文は、久野華歩氏の「静岡市新収蔵本『東海道図屏風』をめぐって」である。東海道図屏風は現在十五点ほどが知られているが、久野氏は当該屏風の景観年代を分析して十七世紀半ばから後半、制作時期もその後半として、諸本のなかでも早い時期を推定している。併せて、絵地図や版本、洛中洛外図屏風をもとに東海道図屏風が成立した可能性を指摘して、これまでの通説に見直しを迫っている。

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