「飲む」がこんな王安石ですから、「買う」方も石部金吉だったようで、これまた『王安石 濁流に立つ』におもしろいエピソードが紹介されています。これもそのままに引いておくことにしましょう。
宋代においても、士大夫の艶聞には事欠かない。……しかし、王安石には浮いたうわさなどまったくない。これは有名な逸話なのだが、彼が知制誥(内閣の辞令起草官)になってまだまもないころ、夫人が安石のために一妾を買った。子供もちゃんと授かっているのに、夫人がなにゆえそんな挙に出たのか分からない。知制誥にまで出世したから世間並みに男の勲章を、ということなのだろうか。それはともかく、安石は連れて来られた女をまじまじと見つめながらこう尋ねた。
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