2018年11月28日水曜日

鹿島美術財団講演会「グローバル時代の東西」6


それはきわめて合理的構造であり、「鉄骨建築を思わせる構造美」とたたえられるゆえんです。益荒男的構造だといってもよいでしょう。それは金剛力士像の造形と表裏一体をなしているといっても、過言じゃありません。

しかしこれまた興味深いことに、このような天竺様建築は、我が国においてほとんど継承されませんでした。ここには美意識の問題があったんだと思います。あまりに合理的で、あまりに力強く、あまりに益荒男的であった天竺様建築は、日本人の美意識とちょっと合わないものでした。

彫刻や絵画より、人間生活に密着する美術である建築の場合、生活様式や生活環境の問題も考えなければなりませんが、やはり美意識を無視することは許されないでしょう。なぜなら、生活様式や生活環境と美意識は、分かちがたく結びついているからです。

0 件のコメント:

コメントを投稿

國華清話会2025年秋季特別鑑賞会3

   「僕の一点」は吉澤雪庵の「寒山拾得図」ですね。大きな絹本の掛幅 画 です。 右側の拾得 は岩を硯にして墨を摺り、左側の寒山は筆を右手に持って岸壁に文字を書こうとしています。拾得の後には、チョット羅漢のように見える豊干禅師が座って寒山の方を見ています。これを見てすぐ思い出すの...