2018年7月19日木曜日

静嘉堂文庫美術館「明治からの贈り物」2


企画担当の長谷川祥子さんを加えたトークショーが盛り上がったことは、改めていうまでもありません。タケさんにうながされて、僕は「マイベストスリー」をあげました。①橋本雅邦の「龍虎図屏風」、②黒田清輝の「裸体婦人像」、③渡辺省亭下絵・濤川惣助作の「七宝四季花卉図瓶」です。

「龍虎図屏風」は、岩崎弥之助が応援した第4回内国勧業博覧会に出品された作品で、兄弟弟子・狩野芳崖の「悲母観音」などとともに、近代絵画として初めて重要文化財に指定された傑作です。もっとも僕は、雅邦が絵の「心持」を何よりも大切にし、四六時中「心持」「心持」といっているので、ついに「心持より餡ころ餅」と揶揄されるようになったというエピソードを披露して、笑いをとりました。

「裸体婦人像」については、「饒舌館長」の<横浜美術館「ヌード展」>をご参照下さいといって、スルーしました。「七宝四季花卉図瓶」は、近代的な超絶技巧を誇る明治工芸のシンボリックな作品ですが、そこに四季草花の伝統が脈々と生きている点に大きな興味をひかれます。田中一村の次にブームとなる花鳥画家は、渡辺省亭で決まりです(!?)

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