当時の情況を考えれば、妓院娼楼と関係する歌が基本なのかもしれませんが、普通の女性を歌った、あるいはそれに仮託した歌謡の割合も拮抗しているように思われます。そこには唐代閨怨詩の伝統も受け継がれているのではないでしょうか?
儒教の影響で相聞歌が非常に少ないといわれる漢詩に対して、こんなに豊饒な、そして開けっぴろげともいうべき恋歌や艶歌の世界が、民衆庶民のあいだには広がっていたのです。これを知って、僕は中国の詩歌がますます好きになってしまいました。葛飾北斎『潮来絶句集』のもとになった潮来節と共鳴するエロティシズムが、明らかに感じられるじゃ~ありませんか!! この点にもすごく興味を惹かれたのでした。
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