しかし僕は、クスが神の依り代であった点により一層大きな重要性を認めたいのです。このような我が国古代仏教彫刻におけるクスと舟越のクスは、細いけれども強い糸で結ばれているというのが私見です。あるいは古代仏教彫刻のDNAが、舟越には受け継がれていると言ってもよいでしょう。だからこそ、舟越フェイスがいくら西欧的見えようとも、やはり日本の木彫以外の何ものでもないのです。
以上が2016年春、三重県立美術館で「舟越桂 私の中のスフィンクス」展を見て、すぐ「K11111のブログ」にアップしたオマージュです。しかしこの時は単なる思い付きでした。ところがその後、金子啓明さんと岩佐光晴さんが中心になって調査研究を行ない、その結果を一書にまとめた『<仏像の樹種から考える>古代一木彫像の謎』(東京美術 2015)を読む機会があり、きわめて多くを学ばせてもらいました。
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