2024年6月8日土曜日

出光美術館「出光佐三、美の交感」6

 さて、うすにごりの清酒をしぼったあとには酒糟ができるわけですが、山上憶良の「貧窮問答歌」(『万葉集』巻5)には「糟湯酒かすゆざけ」なる酒が登場します。これまた『日本の酒』によると、その酒糟を湯でとかしたもので、塩をさかなに飲んだそうです。きわめてチープな酒にして、だからこそ「貧窮問答歌」に歌われることになったのでしょう。

上島鬼貫うえじまおにつらの「賤しずの女や袋洗ひの水の汁」は、江戸時代、伊丹で新酒をしぼった袋を洗った水を、近所の女房たちがもらって帰り、亭主に飲ませたことを詠んだものだそうです。もちろんこれも「賤の女」の話ですが、やはり江戸時代は貧しかったのでしょう。いや、江戸時代はモノを大切にしていたというべきでしょうか。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

アート疾走✖本木雅弘 再放送

   「アート疾走✖本木雅弘 シン・アートドキュメンタリー  金と黒の本木雅弘」が再放送されるそうです。  BSプレミアム4K 10月3日(木)午後2:30~3:30 時間がありましたらご高覧のほどを❣❣❣