2024年5月18日土曜日

世田谷美術館「民藝」3

 

学生時代に最も愛読した――というより最も愛用した水尾氏の著作が『古都の障壁画』である。真珠庵から養源院まで京都の十五カ寺が取り上げられ、障壁画の筆者問題が意欲的に論じられている。それは足と眼で書いた本だった。近世の日本絵画に興味を感じ始め、障壁画を見て回っていた私にとって、最良の案内書であった。水尾氏初期の著作としては、毎日出版文化賞を受賞した『デザイナー誕生』を挙げるべきかもしれないが、カバーも擦り切れている『古都の障壁画』の方が思い出深い一書なのだ。

水尾氏はみずからを美術史家と規定しているが、美術批評家としても個性的だ。この方面で最も強く印象に残るのは『美の終焉』である。「美は速やかに失われつつある」という認識に、以前は反発も覚えたものだが、最近では腑に落ちるところが少なくない。氏は再生のための指針も示して、将来に希望を託している。


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