2023年3月21日火曜日

サントリー美術館「木米」9


 「僕の一点」は「煎茶碗」6口(個人蔵)ですね。一碗一碗違う釉調と文様の磁器煎茶碗6口で、ワンセットになっています。5口は木米製ですが、1口は兄弟弟子ともいうべき永楽保全が補ったものです。木米の手になるのは、金襴手花鳥文碗、瑠璃釉金彩唐草文碗、染付松竹梅文碗、黄釉龍文碗、紫釉雲鶴文碗です。

これに保全が柿釉素文碗を補ったことが、彼の箱書きによって分かります。保全が文様を加えず素文にしたのは、木米に対する謙譲の気持からだったでしょう。

木米碗の文様は、木米の古陶磁図録『磁器叢』に近似するものが見出されるそうです。もっとも『磁器叢』は永井幾麻という日本画家による写本しか伝わらないようですが……。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

國華清話会2025年秋季特別鑑賞会 1

    國華清話会については、かつて紹介したことがあるように思います。美術雑誌『國華』が主宰する美術愛好倶楽部です。美術愛好家が集まり、年に2度の特別鑑賞会を中心に親睦を深めるとともに、『國華』の発行と國華賞の運営を支援することを目的にしています。年会費は3 万円と、キョウビちょ...