2023年3月5日日曜日

三菱一号館美術館「芳幾・芳年」4

芳幾は器用に任せて筆を走らせば、画に覇気なく熱血なし。芳年は覇気に富めども不器用なり。芳幾にして芳年の半分覇気あらんか、今の浮世絵師中その右に出る者なからんと。

さすが国芳先生、弟子をよく見ていたものだと感心せずにはいられませんが、「器用貧乏」に終りそうな芳幾を心配し、エールを送ったのではないでしょうか。しかし悲しいかな、国芳先生の予感は的中してしまったようです。加藤さんによると、芳幾の晩年は困窮を極める不遇の最後でした。「落合芳幾の画業と起業」を寄稿した野口玲一さんも、「これ(国芳追善書画会)以降没するまでの晩年は振るわなかったようで、あまり良い話は残されていない」と述べています。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

山種美術館「桜さくらSAKURA2025」4

人はだれしもこの幸福な島国で、春、とくに桜の季節を京都や東京で過ごすべきだ。その季節には、思い思いに着飾った人々が、手に手をたずさえ桜花が咲き乱れる上野公園をはじめ、すべての桜の名所に出掛けてゆく。彼らはその際、詩作にふけり、自然の美と景観を賛美する。……世界のどの土地で、桜の季...