芳幾は器用に任せて筆を走らせば、画に覇気なく熱血なし。芳年は覇気に富めども不器用なり。芳幾にして芳年の半分覇気あらんか、今の浮世絵師中その右に出る者なからんと。
さすが国芳先生、弟子をよく見ていたものだと感心せずにはいられませんが、「器用貧乏」に終りそうな芳幾を心配し、エールを送ったのではないでしょうか。しかし悲しいかな、国芳先生の予感は的中してしまったようです。加藤さんによると、芳幾の晩年は困窮を極める不遇の最後でした。「落合芳幾の画業と起業」を寄稿した野口玲一さんも、「これ(国芳追善書画会)以降没するまでの晩年は振るわなかったようで、あまり良い話は残されていない」と述べています。
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