カタログ解説を担当した池田芙美さんは、弘法大師が西新井の地を訪れたさい、護摩祈祷を行なって疫病を鎮めたのが西新井大師総持寺のはじまりとされるため、本作の鬼は疫病を表わすとの解釈があると述べています。まさにそのとおりなんです。
さらに加えれば、その疫病とは弘化3年(1846)から翌年にかけ江戸で大流行した疱瘡であるというのがマイ独断です。西山松之助先生が中心となって編集した『江戸学事典』の巻末には、「江戸年表」がついています。
その弘化3年の条を見ると、「冬 江戸にて痘瘡流行し翌年正月に及び本所辺病人最も多し」と書いてあります――画風からみてこれと関係するものにちがいありません。
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