2025年7月14日月曜日

太田記念美術館「鰭崎英朋」14

 

確かに鰭崎英朋は今それほど有名じゃ~ないかもしれません。しかしそれがどうしたというのでしょう。この感動的な泉鏡花『続風流線』の口絵1枚を遺しただけでも、英朋が生きた証しはたしかにあるのだと思います。ましてやかくも充実した「鰭崎英朋展」が、日本を代表する浮世絵美術館の太田記念美術館で開かれているんです。英朋は昭和43年(196888歳で亡くなりましたが、以て瞑すべしです。

逗子市立図書館には「逗子ゆかりの作家」というコーナーがあります。数年間ですが、逗子に住んでいた泉鏡花の『鏡花全集』(岩波書店)はここに収められています。『続風流線』を含む第8巻を借りてきた僕は、その夜カタログの口絵をながめながら『続風流線』をざっと読んで、英朋に杯を献じるつもりでした。

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太田記念美術館「鰭崎英朋」15

  ところが『続風流線』は 297 ページ、前編の『風流線』と合わすと実に 627 ページもあるんです。短編しか読んだことのない僕は、鏡花にこんな長篇があるなんて、チョッと信じられませんでした。『鏡花全集』第 8 巻には解説がないので、ネットで調べると新聞の連載小説であることが分...