2021年12月19日日曜日

根津美術館「鈴木其一・夏秋渓流図屏風」5


 かつて応挙に関する拙論を書いたとき、このような構図を「迫央構図」と呼んだことがあります。中央に迫ってくる構図です。応挙の「雨竹風竹図屏風」(円光寺蔵)も「雪松図屏風」(三井記念美術館蔵)も、基本的に迫央構図になっているのが興味深く感じられます。「迫央構図」とは我ながらうまい命名だと悦に入っているんですが、野口さんをはじめとして誰も使ってくれないんです()

 しかし「保津川図屏風」が迫央構図なら、「夏秋渓流図屏風」も立派な迫央構図です!! 其一は応挙の迫央構図を知る機会があり、これからインスピレーションを得たにちがいありません。 

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