2020年8月9日日曜日

服部南郭・夏の詩4



 同じく『南郭詩集』から、七言絶句「高楼避暑」です。これは難解にして、独断で訳しましたが、自信がありません。そもそも『南郭詩集』には、『江戸詩人選集』と違って註解なんて付いていませんから、饒舌館長にはチョット敷居が高いんです()
  暑さを避けて高殿へ 登れば沈む夕日影
  城壁スレスレまで落ちて しかも盛んなエネルギー
  やがて緑風吹き始め 雨も降り出す西の山
  涼しさ空に広がって 城の北門 雲浮かぶ

2020年8月8日土曜日

服部南郭・夏の詩3



 次は家蔵する『南郭詩集』(1795年再刻版)から、七言絶句「仲夏楼上の飲」です。「仲夏」は5月のことですが、もちろん陰暦の5月、今でいえば6月でしょう。それにしても、詩の感じがチョット早すぎるように思われますが……。いずれにせよ、南郭も酒仙詩人であったことが分かって、尊敬の念いよいよ高いものがあります( ´艸`)
  差しつ差されつ高殿で 泥のごとくに酔っ払い
  酔いが醒めれば雨も止み 夕日はまさに沈まんと……
  飲んで暑さを避けること あえて必要ないはずだ
  江戸の五月はもうすでに 涼しい風が吹いている

2020年8月7日金曜日

服部南郭・夏の詩2


  
  夏の日 涼風吹き抜ける 我が草屋に臥してると
  ついウトウトと古[いにしえ]の 伏羲[ふくぎ]の世へと誘われる
  「道」を慕って憧れの 崑崙山に登ったり
  自由な華胥[かしょ]氏のユートピア 俗世を捨てて遊んだり
  窓辺に目覚めりゃ枕撫で 夢の余韻を楽しんで
  木陰で行水し終わると 縁台移して涼を取る
  暑い一日暮れなずむ たそがれ時も悪くない
  ぐるり見渡す庭の木々 すでに夕日に染まってる

2020年8月6日木曜日

服部南郭・夏の詩1



 今年の「饒舌館長」は、日本初期文人画四大家の一人、服部南郭の春の詩をもって始まりました。その後、『國華』のために「蕪村三大横物試論」を書きながら、改めて南郭の詩を読んでみました。そして、いい詩人だなぁという気持ちが一層強くなるのを覚えました。
そこで今回は、南郭の夏の詩をまたまたマイ戯訳で紹介することにしましょう。先ずは、『江戸詩人選集』3<祇園南海・服部南郭>から、七言律詩「夏日の閑居 八首」のうちの1首です。8首連作のようですが、全部が載っているはずの『南郭先生文集』は持っていないので、この1首だけを……。真似をしたくなるような一首ですが、現代では、いや、饒舌館長ではチョット無理みたいですね()

2020年8月5日水曜日

AKB館長・仲町啓子さん4


仲町さんはみずから巻頭論文「描いた女性たち――平安時代から江戸時代を中心に――」を執筆してくれました。お陰で1397号として出版された特輯号は、とても充実した内容となりました。もっとも『國華』ですから、洛陽の紙価を高めるまでには……() 
僕は谷文晁の「江村晩晴図」と愛妻幹々の「雪景楊柳図」がそっと寄り添う一幅の解説を書くとともに、序文「『女性画家』特輯に当って」を担当しました。男仮名と呼ばれた万葉仮名と、女仮名といわれた平仮名の違いから説き起こした序文は、「これは河野さんの私見だか、愚考だかが述べてあるだけで、序文とは呼べないんじゃ~ないか。第一長すぎるよ」と、編輯委員から呆れられたのでした()


2020年8月4日火曜日

AKB館長・仲町啓子さん3


これまた10年ほど前になりますが、『國華』で女性画家特輯号を出版したことがあります。仲町さんがつとめる実践女子大学には、付属施設「香雪記念資料館」があります。創立者・下田歌子の号に由来する資料館で、女性画家を顕彰した彼女の遺志を継ぎ、仲町さんは女性画家作品の蒐集に力を傾けてきました。
大変すぐれたコレクションに成長していることを仄聞した國華編輯委員会は、仲町さんにお願いして拝見にうかがい、うわさに違わぬことを知ると、さっそく仲町さんに特輯号の編輯を依頼したのです。

2020年8月3日月曜日

AKB館長・仲町啓子さん2


簡潔性は日本美術最大の特質であるというのが持論ですから、琳派は日本美術の象徴であるといっても過言じゃ~ありません。それを実証するため、僕は究極的簡潔性ともいうべき伊勢神宮を取り上げ、琳派との美的共通性について論じました。
饒舌館長とはいえ口演はけっこう難しく、意に満たないことが多いものです。かのドナルド・キーン先生でさえ、うまくいったと思える講演は、10回に12回しかないものだとおっしゃっています。
しかしこの日は起承転結がみごとに決まり、「今日は我ながらうまくいったなぁ」と自惚れながら演台を降りました。すると仲町さんがひと言――「今日はJR東海の講演会なのよ。伊勢神宮ってむしろ近鉄じゃなかったかしら?」 忘れられない思い出です()

2020年8月2日日曜日

AKB館長・仲町啓子さん1



秋田県立近代美術館特任館長・仲町啓子さん
 先日に続いて、女性美術館館長をもう一人紹介させてもらいましょう。AKB――秋田県立近代美術館特任館長の仲町啓子さんです。実践女子大学でも研究教育を続ける仲町さんは、饒舌館長と同じく山根有三先生に教えを受けましたから、僕とは兄弟弟子なんです。仲町さんの琳派研究からは、長きにわたって僕も示唆を受けてきました。
もう15年も前の話ですが、二人で琳派に関する講演会に出たことがあります。JR東海の依頼で、会場は1500人も入る読売ホールでした。まず僕が前座をつとめ、そのあと仲町さんが新知見を含めて俵屋宗達の芸術についてしゃべることになっていました。僕は琳派の本質とは何か?という問題を取り上げ、一言でいえば簡潔性(シンプリシティー)に求められるという結論へもっていくことにしました。

2020年8月1日土曜日

山本勉さんの愛猫・ルリちゃんへ9



最後に、また今村与志雄さんの『猫談義』から、元好問の七言絶句「仙猫」を、マイ戯訳でルリちゃんに捧げることにしましょう。元好問は中国・金の詩人です。松枝茂夫編『中国名詩選』(岩波文庫)の解説には、
内郷・南陽などの県令を歴任し、尚書省左司都事に至った。やがて金の滅亡にあい、乱離の中を放浪すること20年に近く、ついに元に仕えず、もっぱら金代の史料編纂に従事した。金・元の際の最大の詩人で、悲壮なその詩と生涯は、しばしば杜甫に比せられる。
とありますが、「仙猫」みたいな軽妙きわまる詩も、じつにいいじゃ~ありませんか。
 仙猫の声 天壇の 祠[ほこら]の中から聞こえくる
  そこで息子に言ったのさ 「どうしてなのか聞いてごらん」
  「燕仙人[えんせんにん]の仙薬を 貴殿[あなた]も一緒になめたのに
  なぜニワトリやイヌたちと 行かなかったの 仙界へ?」

服部南郭・夏の詩4

 同じく『南郭詩集』から、七言絶句「高楼避暑」です。これは難解にして、独断で訳しましたが、自信がありません。そもそも『南郭詩集』には、『江戸詩人選集』と違って註解なんて付いていませんから、饒舌館長にはチョット敷居が高いんです ( 笑 )   暑さを避けて高殿へ 登れ...