2020年8月31日月曜日

諸橋晋六『不将不逆』6



ところがあるとき、どういう風の吹きまわしか、「不将不逆」の四文字を墨で書き、読み方と意味を講釈したあとで、僕にくれたことがあったんです。どこかでこれを知り、自分の考えと同じだと思ってうれしくなったのかもしれません。
信じてもらえないかもしれませんが、僕は子どものころ、チョット神経質なところがありました() 親爺はたまたま知ったこの至言を、もうチョットのんびりやれという意味を込めて、書いてくれたのかもしれません。
それ以来、ほとんど唯一の人生訓となってきましたが、最初に静嘉堂文庫美術館の執務室に入り、書架に並んでいた晋六氏の『不将不逆』を見たとき、何か不思議な気持ちにとらわれました。

0 件のコメント:

コメントを投稿

根津美術館「唐絵」8

   その山水はいわゆる辺角の景という構図になっています。画面の左上から右下に対角線を一本引いて、その左下に近景を描き、右上の余白に遠景を添えて遠近感を視覚化させています。 このような辺角の景は、中国・南宋時代の画院画家である馬遠や夏珪が好んで用いた構図法でした。ですから馬の...