2020年2月18日火曜日

静嘉堂文庫美術館WSと徳川景山の詩2


暮れなずむころ帰宅すれば、猫のひたいほどの庭の白梅が、いまを盛りと咲き誇り、馥郁とした香りを放っています。僕の前に住んでいた西尾さんが植え遺していってくれた銘木です。さっそくダイニングルームからガラス越しに眺めながら、銘酒「百年の孤独」を一杯やれば、あぁ至福のひと時!とはこのことかと、おのずと腑に落ちます。

いつもダイニングに置いてある渡部英喜さんの『漢詩歳時記』(新潮選書)を開けば、景山と号した徳川斉昭の七言絶句「弘道館に梅花を賞す」が載っています。

斉昭は江戸末期の名君とたたえられた水戸藩主です。弘道館を創設して文武を奨励、意欲的に藩政を改革するとともに、幕政を補佐しました。しかし、幕末の外交問題が紛糾するや、鎖国攘夷を主張する斉昭は井伊大老に疎まれて水戸永蟄居を命じられてしまいます。

2020年2月17日月曜日

静嘉堂文庫美術館WSと徳川景山の詩1


静嘉堂文庫美術館ワークショップと徳川景山(斉昭・烈公)「弘道館に梅花を賞す」

 我が静嘉堂文庫美術館で開催中の「磁州窯と宋のやきもの」展にちなんで、今日は東京龍泉窯主・小山耕一さんによるワークショップ「掻き落しで陶器に絵を描く」が行われました。僕も前からぜひ参加しようと決めていた魅力的なイベントです。

小山さんの指導のもと、僕は大和文華館所蔵の「ナマズ図陶枕」からナマズを拝借し、鉅鹿手の傑作をものしました。これを小山さんが持ち帰って焼き上げ、1週間ぐらい経ったら、各自へクロネコヤマトで送ってくれることになっています。描き上げた後、宅急便送り状に僕の住所氏名を記入しましたが、我が作品のあまりにすばらしい出来栄えに、「品名」の欄には「自作国宝陶器」と書いちゃいました( ´艸`)

午後には、長い間お付き合いのある古美術商・荒木英彦さんが奥様と一緒にお訪ねくださいました。しばらくお会いしていなかったこともあり、饒舌に次ぐ饒舌をやっていたらあっという間に2時間、実に愉快な日曜の午後とは相成りました。

2020年2月16日日曜日

沈和年『水墨画の表現力を高めるために』4


ちょうどそのころ京都国立博物館で「池大雅展」が開かており、それにちなんで大雅がこの番組で取り上げられたのです。大雅は指墨の名手として生前から有名で、この特別展にも、その代表作である京博所蔵の「寒山拾得図」が出陳されていました。これをプリントした手拭いが京博ミュージアム・ショップで売られており、手拭い主義者の僕も愛用しているところです。

ヤジ「そんなこと、沈さんとはまったく無関係じゃないか!!

沈さんは大雅と同じく指墨を使って、それを臨写して見せたのです。かつて僕も、「大雅指墨論」なる拙文を書いたことがあるのですが、これは机上の空論にすぎませんでした。

もののみごとに沈さんが再現してみせてくれた「日曜美術館」で、はじめて僕は指墨がいかなる技法かを、具体的に知ることができたのです。世に水墨画家多しといえども、あれほどみごとに指墨を使いこなす方は、今や少ないのではないでしょうか。

2020年2月15日土曜日

沈和年『水墨画の表現力を高めるために」3


 
沈さんは「恍惚シリーズ」に続いて「たまゆらシリーズ」を発表していらっしゃいます。それらを拝見すると、古くから中国で重視されてきた「線」よりも、日本人が大好きな墨の「面」――つまり墨のにじみやぼかしによる不定形の美しさが魅力になっているように感じられます。
30年以上日本にお住いの沈さんは、やはり日本の四季や風土からも大きな影響を受け、力強い墨の線よりも、墨の広がりがもつ微妙なニュアンスに、より一層惹かれるようになっていらっしゃるのではないでしょうか。

ところで、沈さんのすばらしい画技に改めて感を深くしたのは、数年前、NHKの「日曜美術館」で披露された指墨(画)を拝見したときでした。指墨(画)は指頭(画)ともいい、筆を使わず、手の指やたなごころ、あるいは爪に墨をつけて描く特殊な技法です。

2020年2月14日金曜日

沈和年『水墨画の表現力を高めるために」2


沈さんは「はじめに」のなかで、この本の目的を、「本書では特に水墨画に興味を持つ若い世代や、書道や水彩画、日本画など、関連したジャンルの方々にとって有益な水墨画の学び方のポイントを紹介しました」と語っています。とくにQRコードが掲載され、動画で筆の角度やスピードが実感できるようになっている点は、これまでの教則本と一線を画すものといってよいでしょう。

最後に「各種の技法」として、さまざまな技法が紹介されていますが、これまでまったく知らなかった「拓墨法」というのがあって、興味を惹かれました。新聞紙や板や壁紙などに墨を塗り、乾く前にそれを本紙に移してモチーフを形作る技法です。僕自身は水墨画を描きませんが、これならできそうな感じがして、こんど試してみようと思ったことでした。

2020年2月13日木曜日

沈和年『水墨画の表現力を高めるために』1


沈和年『<濃淡・潤渇>と<点・線・面> 水墨画の表現力を高めるために』(日貿出版社 2020年)

 沈和年さん中国・上海出身の水墨画家、上海大学美術学院卒業後、1987年来日、それ以来日中両国で作品を発表していらっしゃいます。その素晴らしい作品は雑誌『趣味の水墨画』などで拝見していましたが、はじめてお会いしたのは、十数年前、総合水墨画展審査会においてでした。

それ以来、親しくお付き合いさせてもらっていますが、このたび沈さんは『<濃淡・潤渇>と<点・線・面> 水墨画の表現力を高めるために』という一書をお出しになりました。


2020年2月12日水曜日

静嘉堂文庫美術館「磁州窯と宋のやきもの」11


①白地黒掻落牡丹文如意形枕(磁州窯 伝鉅鹿出土)        宋時代  №17

   狩野山楽「牡丹図襖」(大覚寺<宸殿>蔵)          江戸時代初期

②白地鉄絵獅子花卉文壷(磁州窯系)               元時代  №34

   俵屋宗達「唐獅子図杉戸」(養源院蔵)            江戸時代初期

③三彩白地掻落束蓮文枕(磁州窯系 伝山西出土)         金時代  №26

   酒井抱一「白蓮図」(細見美術館蔵)             江戸時代後期

④翡翠釉白地鉄絵龍鳳文壷(磁州窯)               元時代  №36

   伊藤若冲「老松鳳凰図<動植綵絵>」(宮内庁三の丸尚蔵館蔵) 江戸時代中期

⑤白地鉄絵紅緑彩人物文壷(磁州窯系)              元~明時代№51

   曽我蕭白「群仙図屏風」(文化庁蔵)             江戸時代中期

⑥白地鉄絵虎図枕(磁州窯「張家造」印銘 伝鉅鹿出土)      金時代  №22

   長沢芦雪「龍虎図襖」(串本・無量寺蔵)           江戸時代中期

⑦黒釉線彫「福徳長寿」文梅瓶(磁州窯系)            金~元時代№44

  白隠慧鶴「七福神寿船図」(個人蔵)             江戸時代中期

⑧白地鉄絵水禽図枕(磁州窯 泰和元年<1201>墨書銘)      金時代  №21

   司馬江漢「秋景芦雁図」(ボストン美術館蔵)         江戸時代中期 

⑨黒釉掻落魚鳥文四耳壷(磁州窯系)               元~明時代№49

   渡辺崋山「遊魚図(海錯図)(静嘉堂文庫美術館蔵)      江戸時代後期

⑩翡翠釉白地鉄絵菊花文双耳香炉(磁州窯系)           元~明時代№37

   葛飾北斎「菊花図」双幅(小布施・北斎館蔵)         江戸時代後期

静嘉堂文庫美術館WSと徳川景山の詩2

暮れなずむころ帰宅すれば、猫のひたいほどの庭の白梅が、いまを盛りと咲き誇り、馥郁とした香りを放っています。僕の前に住んでいた西尾さんが植え遺していってくれた銘木です。さっそくダイニングルームからガラス越しに眺めながら、銘酒「百年の孤独」を一杯やれば、あぁ至福のひと時!とはこの...