2019年11月20日水曜日

絵画の表装ベストテン3


高階秀爾「マスターピースと『名物』――芸術における価値の創出」

(『西洋の眼 日本の眼』青土社 2001年)

その過程で、村田珠光や千利休のような偉大な宗匠たちが、儀式に必要なあらゆる道具を選び、評価する新しい基準を打ち建てました。それはいわば美学革命と言ってもよいものです。このようにして、日常使われる平凡な道具が「名物」の地位にまで引きあげられるのです。それらの「名物」は、しばしば銘を与えられます。これもまた名前です。名前を与えるということは、価値を承認する行為です。……来歴もまた、「名物」にとってきわめて重要です。それは、多くの所蔵者の優れた選択眼を保障してくれるものだからです。すなわち、「名物」が生み出されて来る過程は、先に述べた「鑑賞の美学」の好例と言ってもよいものです。
         (註「 鑑賞の美学」に対して「創造の美学」が措定されています)

2019年11月19日火曜日

絵画の表装ベストテン2


 配布資料はいつものとおり「キーワード」「マイベストテン」「参考資料」という感じで作りましたので、まずは「マイベストテン」を紹介し、「参考資料」のなかから重要なものをいくつか掲げることにしましょう。

   梁楷「出山釈迦・山水図」(東京国立博物館蔵)

   伝藤原信実「佐竹本三十六歌仙 坂上是則」(文化庁蔵)同「斎宮女御」(個人蔵)

   前島宗祐(狩野玉楽?)筆「高士観瀑図」(静嘉堂文庫美術館蔵)

   雪村周継「白鷺図」(静嘉堂文庫美術館蔵)

   本阿弥光悦・俵屋宗達「月に萩図色紙」(北村美術館蔵)

   明形印「男舞図」(個人蔵)

   円山応挙「江口君図」(静嘉堂文庫美術館蔵)

   呉春・松村景文「柳下幽霊図」(エツコ&ジョー・プライス・コレクション)

   狩野栄信「徽宗原本・桃鳩図」(個人蔵)

 ⑩  鈴木其一「三十六歌仙図」(出光美術館蔵) 同「歳首の図」(細見美術館蔵)

2019年11月18日月曜日

絵画の表装ベストテン1



静嘉堂文庫美術館「饒舌館長口演す――絵画の表装ベストテン」(1117日)

 人気開催中の「名物裂と古渡り更紗」にちなむ今回の「おしゃべりトーク」は、「饒舌館長口演す――絵画の表装ベストテン」――いつものとおり「口演」です。まずイントロダクションは、名物裂による茶入れや棗[なつめ]の仕覆――ありていに言えば袋に関する独断と偏見と相なりました。

裂自体は中国やインドやペルシャから渡ってきたテキスタイルかもしれませんが、もうこれは完全に日本の美術になっているというのが私見です。そこには舶来趣味――饒舌館長てきにいえば、舶来のものを日本化する「和化趣味」があるからです。自分たちでそこに何かを加えて楽しむ参加文化だからです。もともとは大きな布なのに、それを小さく使って、美しさを閉じ込めようとする凝縮文化だからです。

皆さん、ホンマカイナァという感じでお聞きになっていらっしゃいましたが( ´艸`)

2019年11月17日日曜日

京都国立博物館「佐竹本三十六歌仙絵」3



僕は「斎宮女御」が鈍翁のあと日野原家に移り、その後ずっとそこにあるものと信じ込んでいましたので、「今回は日野原さんも出し惜しみをしたんだなぁ」と思ったんです。しかし見終ってから、ミュージアムショップで大枚3000円と豪華カタログを交換し、巻末にある移動一覧表を見ると、早く日野原家を出たらしく、現在の所有者はただ(個人)となっていました。

もちろん前に見たことがあるので、おしゃべりトークでは「斎宮女御」も使うつもりですが、今回よく鑑賞することができた「坂上是則」を中心にしようと思ったことでした。

10年ほど前、茶の湯同好会の会誌『茶の湯』に、「近代数寄者に愛された画家たち」と題して、1年間エッセーを連載したことがあります。その第1回には、佐竹本「三十六歌仙絵」の筆者にアトリビュートされてきた「藤原信実」を選びました。もちろんこれは伝称に過ぎず、信じている研究者など一人もいないのですが、数寄者に愛されたことは事実です。というよりも、「画家たち」と銘打った以上、どうしても固有名詞を出す必要があったのです(笑)


2019年11月16日土曜日

京都国立博物館「佐竹本三十六歌仙絵」2



あにはからんや!平成知新館に入ると行列がすでにできています。そう長くはありませんでしたが……。ようやく3階の会場にたどり着けば、もう覗きケースの作品なんか見られたもんじゃ~ありません。讃岐さんもついにフェイクニュースでお馴染みのトランプ大統領になっちゃったのかと思いましたが、あとで聞くと、直前に「日曜美術館」で取り上げられたとのこと、よく腑に落ちたことでした。

すでに予告したとおり、明日17日(日)午後1時半から、我が館の講堂でおしゃべりトーク「饒舌館長口演す――絵画の表装ベストテン」をやります。当然のことながら、その際佐竹本から一点をぜひ選びたい――できたら益田鈍翁が贅を凝らして表装したという「斎宮女御」に指を折りたいと思って見て行きましたが、結局出ていませんでした。

2019年11月15日金曜日

京都国立博物館「佐竹本三十六歌仙絵」1



京都国立博物館「流転100年 佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」<1124日まで>(1111日)

 先日、ブロガー仲間にしてフェイスブック・フレンドの讃岐博行さんが、素晴らしい特別展なのにゆっくり見られると知らせてくれました。もっとも、確認しようと思ってフェイスブックにアクセスしましたが、出てこないところをみると、あるいは別の方だったかな? いずれにせよ「国宝展」や「京の刀展」みたいだったらハナから見ないつもりでしたが、空いているなら拝見してから帰ろうかという気持ちになったのも当然です。

10日の夕方、一般社殿法人「日本文化芸術の礎」発会式のパネル・ディスカッションで、すでに「饒舌館長」にアップしたことがある、近世美術と法華宗の不思議な関係についておしゃべりトークをやり、そのあと京都条例にしたがい「日本酒で乾杯!」となりました。翌日、京都ブライトンホテルで美味しい京懐石の朝食を堪能したあと、タクシーで京都国立博物館に向いました。

2019年11月14日木曜日

東洋文庫「東洋文庫の北斎展」3


すると「一月 黄表紙『本性銘暑 有難通一字』二冊(是和斎戯作・絵師名なし・松村版) 是和斎は春朗の戯作号といわれるも未定。本書は四方山人(大田南畝)の青本評判記『菊寿草』で“上々吉 松”と評される」とありました。しかも是和斎を春朗と同一人とするのは、かの飯島虚心『葛飾北斎伝』によるところであることも判りました。

僕は会場で穴の開くほど展示されていたページをながめましたが、絵からは判断がつきませんでした。先の『葛飾北斎年譜』によると、翌天明2年に黄表紙『四天王大通仕達』2冊(是和斎戯作・春朗画・松村版)が出版されていますので、これと比較検討すれば、おのずと結論が出るかもしれませんが……。

しかし「是和斎」を「是は和斎なり」と読んでみると、何となく「和斎」と「春朗」の明るくやさしい語感が通じ合うようにも感じられます。すると「是は春朗なり」ともなりそうなので、やはり是和斎と春朗は同一人なのかな?とも思われたのでした。(笑)

絵画の表装ベストテン3

高階秀爾「マスターピースと『名物』――芸術における価値の創出」 (『西洋の眼 日本の眼』青土社  2001 年) その過程で、村田珠光や千利休のような偉大な宗匠たちが、儀式に必要なあらゆる道具を選び、評価する新しい基準を打ち建てました。それはいわば美学革命と...