2023年7月31日月曜日

日経「こころの玉手箱」2

 

日経を購読している小林兄はすぐ読んでくれたらしく、「河野さんはああいう文章だとうまいなぁ!!」とほめられましたが、「小林さん、それってどういう意味ですか?」

 新聞は字数制限がとても厳しく、饒舌館長としては、チョットもの足りない感じが残らないではありませんでした。そこで5回それぞれに、アフターフォローを加えることにしたというわけです。

初回は「愛用のシャープペンシル 高校以来ほぼ1本 いまも伴走」でした。高校以来愛用してきたこのセーラー・シャーペンも、1989年パソコンを求めてワープロを使うようになると、脇役に回ることになりました。

2023年7月30日日曜日

日経「こころの玉手箱」1

 

日経新聞夕刊「こころの玉手箱」アフターフォロー

 626日から5回にわたり、日経新聞夕刊に「こころの玉手箱」というエッセーを載せてもらいました。忘れられない思い出の品、愛用している手沢の器物を5つ選んで、それに文章を添えて欲しいという注文でした。

あれもこれもと迷いましたが、ともかくも5点を厳選し、ナップザックに入れて静嘉堂@丸の内へ持って行きました。愛用のフォークギターも入れたかったのですが、背負って行くのが大変なので止めにしました。担当記者の赤塚佳彦さんが来てくださり、小一時間おしゃべりしたあと、カメラマンの方がいろいろ工夫しながら、とてもいい写真を撮ってくれました。

2023年7月29日土曜日

『荻生徂徠全詩』第2巻17

そうなんです!! このようなパラドックスを徂徠の思想が内包していたからこそ、近藤たかしさんはこんなにワクワクする、そしておもしろいマンガに仕立て上げることができたのでしょう。やはり丸山真男先生は偉大な人文科学者だったんです。

 ヤジ「何をエラッソウに!! オマエなんかに言われるまでもない!! オマエのお墨付きなんか誰も求めちゃいない!!

 *以前にも書きましたが、「荒井健さん」ではなく「荒井健先生」とお呼びするのが仁義です。しかし「饒舌館長」では、幽明界を異にされた方のみ「先生」とし、お元気な方はひとしなみに「さん」でお呼びしています。お許しください。

 

2023年7月28日金曜日

『荻生徂徠全詩』第2巻16

 

尾藤正英先生によると、荻生徂徠を我が国における近代思想の出発点に位置づけたのは、かの丸山真男先生だそうです。かつてこれを読んだとき僕は、近代的思想の萌芽が認められるから徂徠はすごい!!というのは、近代至上主義に過ぎない、『政談』にはパクス・トクガワーナにおける本質的価値があるんだと反発を覚えたものでした。

しかし今回『講談社まんが学術文庫 政談』を読んで、やはり丸山先生の読みは正しかったんだと考え直しました。尾藤先生によると、「丸山氏の徂徠論は、非合理主義とか権威主義といった、通念では近代思想の特性に反すると考えられるものが、実際には近代思想の生成期に際して重要な役割を果たしたとみる、いわばパラドシカルな歴史の構図を描いて、その中に徂徠の思想を位置づけている」そうです。


2023年7月27日木曜日

『荻生徂徠全詩』第2巻15

 

『政談』の原文は岩波書店の『日本思想体系』に入っていますし、中央公論社の『日本の名著』に、学恩浅からぬ尾藤正英先生の抄訳が収められています。この間アップしたリモート講演「諸橋轍次博士から受けた学恩感謝の辞」を準備する際も、改めて拾い読みしました。しかし岩波版は頭注を参照してもむずかしく、中公版はよく理解できますが、現代人にとっては何となくリアリティに欠けます。

その点マンガの講談社版はよく分かり、かつ現実味があってワクワクさせてもらえます。講談社版→中公版→岩波版と読み進めれば最高でしょうが、講談社版だけでも、荻生徂徠における政治思想のエッセンスは十分感得できるのではないでしょうか。


2023年7月26日水曜日

『荻生徂徠全詩』第2巻14

いや、さすがマンガ王国日本だと、感嘆おくあたわざるようなシリーズです。やはり「おもしろくて、ためになる」を社是とする天下の講談社だと、音羽の方に向かってエールを送りたくなるようなシリーズです( ´艸`) ニコル・ルマニエル・クーリッジさん、今度「MANGA展」をやるときはゼッタイこれを加えてくださいよ!! 

この「講談社まんが学術文庫」に荻生徂徠の『政談』があるんです。もっとも今回はじめて知ったのですが……。さっそくアマゾンで注文してみました。近藤たかしさんという漫画家が、この古典を「人間存在の根幹に迫る近未来SF仕立ての儒学」にメタモルさせちゃっているんです。

 

2023年7月25日火曜日

『荻生徂徠全詩』第2巻13

 

この五言絶句に関し、『荻生徂徠全詩』第2巻の語註に「詠じた対象も籃かごに盛られた貝の画か」とありますが、まさにその通りでしょう。すぐに思い出すのは土佐光起の「貝図」ですが、徂徠が土佐派の絵に賛をつける可能性は低いかもしれません。先にアップした「コウルズ・コレクション研究会」に出てきた「唐画」だったと思いますが、果たしてどんな「貝図」だったのでしょうか?

ところで「講談社まんが学術文庫」なるシリーズがあります。ドストエフスキーの『罪と罰』ならまだ分かりますが、ショーペンハイアーの『幸福について』も、親鸞の『歎異抄』もマンガに仕立てちゃおうとする、とんでもないシリーズです。

2023年7月24日月曜日

『荻生徂徠全詩』第2巻12

荻生徂徠は晩唐詩がきらいだったんです。華麗であるけれども、奇癖がみられると言っているそうです。この晩唐には中唐も含まれるらしく、僕が愛してやまない李賀なんて、徂徠先生はダイッキライだったんでしょう。ましてや日本人が愛好する晩唐の杜牧なんて、歯牙にも引っ掛けなかったことでしょう。徂徠詩は、一言でいえば古典主義的でしたが、それも当然だったんです。

もう一つはじめて知ったのは、中国ではハマグリやシジミが、つまり貝類がまともな食べ物とはみられず、蜆蛤好きはむしろイカモノグイ扱いにされたということです。縄文時代の貝塚に象徴される味覚DNAのせいか、貝は日本人の大好物、嫌いな人は少ないでしょう。事実、ハマグリ・カラスガイ・ヒモは、カッパ寿司逗子店に行ったら定番ですよ() 少なくとも、我が国に貝類をイカモノとする味覚文化はあまりなかったように思われます。

 

2023年7月23日日曜日

『荻生徂徠全詩』第2巻11

すでに戯訳をアップしたことがある、饒舌館長おススメの大窪詩仏はそのチャンピオンでしょう。しかし徂徠の弟子である服部南郭に、早くもそのような傾向が看取される点がとてもおもしろく感じられます。南郭が徂徠とともに、古文辞学派とか蘐園学派けんえんがくはとして、ひとくくりにされるグループを代表する詩人にもかかわらず……。ここで取り上げたいのは、徂徠の「題画 三首」のなかの一首ですね。

 詩を取り上げて比較すりゃ

 好きになれない晩唐詩

 ハマグリ・シジミ――それに似て 珍味だけれどイカモノで

 帝みかどの食膳係だけ 試食をすれば十分だ

 

2023年7月22日土曜日

『荻生徂徠全詩』第2巻10

 

 荒井健さんと田口一郎さんが訳注を加えた『荻生徂徠全詩』第2巻から、夏の詩5首を選んでマイ戯訳を紹介させてもらいました。みんな格調が高く、均衡に破綻がなく、イメージが明晰です。もうほとんど唐詩に肩を並べるといった感じです。

しかしチョット意地の悪い言い方をすれば、お高くとまっていて、あまりに典拠引用が複雑にからみ、一体ぜんたい徂徠自身の感動や発見や情趣はどこにあるの?ということになります。それへの反動として、江戸時代も半ばを過ぎるころ、富士川英郎先生おっしゃるところの「江戸後期の詩人たち」、とくに清新性霊派の詩人たちが澎湃として出現したのも、当然の成り行きであったでしょう。

2023年7月21日金曜日

『荻生徂徠全詩』第2巻9

 

 そして最後は、饒舌館長が大好きな艶詩――七言律詩「美人昼ひるぬ」です。夏とは明示されていませんが、もちろん夏の詩です。我が国でも「昼寝」は夏の季語ですから。

荻生徂徠「美人昼寝ぬ」

 琵琶にもたれて転寝うたたねす もの思わしげで艶冶なり

 離宮に咲く花 濃密な 香気が美人にまといつく

 欄干の影 日とともに 斜めに移るを知りもせず

 着物の裾に風 吹いて 乱れちゃっても気にとめず

 夢から覚めた楊貴妃と 比べてうらやむ要はなく

 ただあこがれる夢の中 蝶々ちょうちょになって飛ぶ姿

 王の寵愛 特別で 昼夜 居続け 耽溺す

 楚王も顔負け雲雨の情 彼女がセクシー過ぎるから


2023年7月20日木曜日

『荻生徂徠全詩』第2巻8

 

荻生徂徠「猗蘭台いらんだいに集う。韻を金の字に分かたる」

 宴うたげにゃ賓客 本多邸 夏の日差しも翳かげるころ

 水無月なれど襟元に 快い風 吹き渡る

 豪壮華麗な大広間 歌声 響き渡るあと

 才華あふれる詩が続き もちろん酒もジャカジャカと……

 高雅な「白雪」――真価 知る 宋玉みたいな文人や

 絶対 お金じゃ釣られない 郭隗かっかいみたいな高士たち

 みんな詩文や学問で 互いに親しき友となる

 世俗 侮蔑ぶべつの心情が 酔えば酔うほど高揚す


2023年7月19日水曜日

『荻生徂徠全詩』第2巻7

 

荻生徂徠「夏日 宴に侍るに擬す」

 避暑用 離宮 甘泉宮かんせんきゅう 濛々もうもうたる靄もや 覆ってる

 ここは人境――とはいえど 晩夏 六月むつきの暑さなし

 朝 紫の瑞兆が 天子の玉座に流れ来て

 昼 真っ白な浮雲が 侍臣の衣を濡らすだろう

 銅の仙人 手のひらに あふれる銘酒はハナダ色

 舜しゅんの美徳がその刹那せつな かんばしい風 吹き起こす

 その宴会におそらくは 天才詩人が招かれて

 突然 雪がそのあたり 舞い散るさまを詠うたうだろう

 *最後の一句は、漢代・梁王が文才ある者たちを集め、雪を詠ませたという『文選もんぜん』にある故事をふまえているそうです。ですから「『文選』にある梁王の 故事を再現するように」と補ってもよいでしょう。8句であるべき律詩形式を壊してしまうことになりますが……。


2023年7月18日火曜日

『荻生徂徠全詩』第2巻6

 

荻生徂徠「子規しきく」

 晩春 三月 街のなか いろんな花が乱れ舞う

 春愁 女おみなは子規しきの声 聞けば涙で機はたを織る

 いくら恋人 想っても 夢に見るのも難かたいのに

 「帰るに如かず」とこの妾われに 啼きかけるとはあんまりよ

 南 楚の雲 立ち込めて 国境地帯の山はるか

 北 秦塞しんさいは朦朧もうろうと していて音信 途絶えがち

 千里の彼方へどうしても 遣つかわしたいのよホトトギス

 アルタイ山で我が背子せこは 蛮族 守備してもう何年

 *晩春3月の詩ですが、子規(ホトトギス)は夏の季語なので、ここに加えることにしましょう。

2023年7月17日月曜日

コウルズ・コレクション研究会2

 

併せて、このコレクションのブレインであるポール・ベリーさんのコメントを拝聴しました。参加者も専門的立場から積極的に発言、もちろん饒舌館長が黙っているはずはありません()

饒舌館長がもっとも興味を覚えたのは、言うまでもなく「唐画」で、記憶にある池大雅や木米のほか、はじめて見る優品のオンパレードです。いつか日本の美術ファンにも紹介したいなぁと思いながらカードを取りました。終了後は立川駅に繰り出し、「東方紅」でオゴリの打上げとは相成りました。とても美味しいチャイニーズでしたが、このところの暑さでビールをやりすぎたのか痛風がチョット怪しく、ジンビーム・ハイで我慢したのがなんとなく心残りでした()


2023年7月16日日曜日

コウルズ・コレクション研究会1

 

国文学研究資料館「メトロポリタン美術館所蔵コウルズ・コレクション研究会」

 はじめて知りました!! 米国・シアトルにチニー・コウルズさんという日本美術コレクターがいらっしゃるそうです。僕と同じ80歳ですが、カクシャクとして蒐集を続けているとのこと、その多くがメトロポリタン美術館に寄贈され、間もなく特別展が開催される予定になっています。もちろんキューレーションは、お馴染みMETのジョン・カーペンターさんです。

一昨日、立川・高松にある国文学研究資料館で、このコレクションをテーマに研究会が開かれました。カーペンターさんとMETリサーチ・アソシエイトのティム・ジャンさんが、「古筆切」「墨蹟」「近世大和絵」「唐画」に分けて研究発表を行ないました。

2023年7月15日土曜日

『荻生徂徠全詩』第2巻5

 

荻生徂徠「支機石」

 女媧じょかが直した天の破れ そのあと残った岩や石

 銀河の流れのあちこちに ニョキニョキニョキニョキ顔を出す

 ある日 彦星やって来て 連れてる牛の角みがき

 織姫その石 何気なく 機はたの台座に持ち帰る

 夜昼よるひるなしに織り上げた 雲の錦もそのお陰

 八月 銀河へ筏いかだにて 石を抱えて帰還せり

 人に語って聞かせても みんな疑い信じません

 隕石いんせき五つ宋に降る――『左伝』の話はウソなのに……


2023年7月14日金曜日

『荻生徂徠全詩』第2巻4

 

というわけで今回は、いまの季節に合わせ夏の詩をマイ戯訳で紹介することにしましょう。もちろん夏の詩は、春や秋の詩に比べると寥々たるものですが、さすが徂徠と思わせる詩ばかりです。詩における徂徠の一番弟子は、僕がいう「日本初期文人画4大家」の一人、服部南郭ですから、徂徠の詩を鑑賞することなく我が国の文人画を語ることは不可能だということになります。

 ヤジ「それはオマエが単に徂徠詩のファンだからだろう!!

 最初は、先日紹介した漢代の無名氏とも枚乗とも言われる、七夕を詠んだ古詩にちなんで、徂徠の七言律詩「支機石」です。厳密にいえば秋の詩ですが、いまの日本では七夕=夏といった感覚ですよね。

2023年7月13日木曜日

『荻生徂徠全詩』第2巻3

 

ところがわずか3年にして、『荻生徂徠全詩』の第2巻を頂戴することになったんです!! その精密詳細なる訳注をみると、人間業とはとても信じられません。たとえ田口一郎さんとお二人で進められたとしても、荒井建さんはオン年94歳ですよ!! 傘寿だ傘寿だと騒いでいる饒舌館長は、恥ずかしくって穴があったら入りたい気分です。

静嘉堂文庫美術館を6月下旬に退職した僕は、7月はじめの数日、チョット昼酒をやりつつ『荻生徂徠全詩』第2巻から選んだ詩に戯訳をつけて、8年間の疲れを癒しました( ´艸`) 卯酒――朝6時ごろから飲みだす酒――と洒落たいところですが、白楽天の真似をすれば、もう戯訳どころじゃなくなってしまいます。


2023年7月12日水曜日

『荻生徂徠全詩』第2巻2

荒井さんが『中国詩人選』に選んだ74首につけたマイ戯訳も早く出来上がっていましたので、これも自己紹介をかねてお送りし、ご笑覧いただきました。折り返し鄭重なるお手紙を頂戴して恐縮しましたが、李賀をとおして、この碩学とお知り合いになれたことが、殊のほかうれしく感じられました。

 以上は3年前、荒井健・田口一郎訳注『荻生徂徠全詩』1<東洋文庫900>をアップしたときのイントロダクションです。このすごい訳注本を荒井健さんから贈呈された饒舌館長は深く心を動かされ、さっそく「饒舌館長ブログ」に紹介させていただき、マイ戯訳を数首添えたのでした。

 

2023年7月11日火曜日

『荻生徂徠全詩』第2巻1

荒井健・田口一郎訳注『荻生徂徠全詩』2<東洋文庫914

 荒井健さんは僕が尊敬して止まない中国文学研究者です。もう何度も「饒舌館長」に登場いただいていますね。紹介してくれたのは、これまたたびたび登場する、いまは亡き天羽直之さんです。あるとき飲みながら……

「僕が一番好きな漢詩人は李賀だ。荒井健訳注の『中国詩人選』の李賀は僕のバイブルだ」

「それじゃ~そのことを『國華清話会会報』に書いてよ。荒井さんはよく知っているから、こんど紹介してあげるよ」

さっそく僕が「我が愛する詩人・李賀」というエッセーを書き、やがて会報が出来上がると、天羽さんは荒井さんに1冊送ってくれました。

2023年7月10日月曜日

フェンダーが原宿へ❣❣❣3

 

そのプロからのリクエストに応えて、臆面もなく僕も2曲弾き語りをやりましたが、このとき渡されたのもフェンダーでした。僕の愛器はヤマハ・フォーク・ギターですが、さすがフェンダーは音色が違います。近いうちに「FENDER FRAGSHIP TOKYO」をお訪ねすることにしましょう。

もっとも記事には、エレキギターのことばかり書かれていましたが、もちろんお目当てのアコースティック・ギターもあるんでしょうね? いずれにせよフェンダーの音色が違うことは確かですが、僕の声は毎度同じで変わらないんです。いや、最近とみに衰えているような感じがします( ´艸`)


2023年7月9日日曜日

フェンダーが原宿へ❣❣❣2

 

 京都美術工芸大学につとめていたとき、ライブラリアンの森一朗さんと「ウッディー・リヴァー」なるフォーク・デュオを立ち上げて大いに活躍(!?)したことは、すでにアップしたことがあると思います。その森さんの愛器はフェンダーの12弦ギターでした。

 去年の暮れ、東銀座のライブハウス「MROLDIES」で開かれた「テネシー・ベアーズ」のライブも何回かにわたってレポートしました。「テネシー・ベアーズ」は高校のときの同窓生・木村泰輔君たちが結成したカントリー&ウェスタンのグループです。もうこれは「ウッディー・リヴァー」とちがって、列記としたプロフェッショナル・バンドです。


2023年7月8日土曜日

フェンダーが原宿へ❣❣❣1

 

 先日の『朝日新聞』に「米国ギターメーカーの雄・フェンダー なぜ今、東京に? 創業77年初の実店舗」という記事が載りました。そのリードは……

米国のギターメーカー、フェンダーが、創業以来初の実店舗となる旗艦店「FENDER FRAGSHIP TOKYO」を東京都渋谷区に630日、オープンさせた。77年の歴史で本国を含め置いたことがない店舗を、なぜ今、東京に開いたのか。

 その答えは「アジア圏音楽市場に期待/高級ブランド化戦略」という副題が示しています。あのフェンダーが原宿に世界初の旗艦実店舗を開いたんです!! 原宿駅と表参道の間の明治通り沿いにオープンしたという店の写真を見ると、ハンパな規模じゃ~ありません。

2023年7月7日金曜日

今日は七夕

 

 今日の「天声人語」に、『万葉集』から名もなき歌人の「この夕ゆうべ降り来る雨は彦星のはや漕ぐ船の櫂かいの散りかも」という、チョット『新古今』調の佳吟が引かれていました。この万葉歌からも明らかなように、日本では彦星が織姫に逢いに行くことになっています。つまり彦星→織姫で、これは妻問い婚の反映だといわれているようです。

興味深いことに、中国では反対に織姫が彦星に逢いに行くことになっています。しかし殷周家父長制が成立してから織姫→彦星になったにちがいなく、それ以前の夏シャー時代は、中国も妻問い婚であったろうというのが独断と偏見です(笑) 

それでは渡辺英喜さんの『漢詩歳時記』から、漢・無名氏の「古詩十九首 其の十」をマイ戯訳で……。前漢の枚乗なる人の詩だという説もあるそうですが、どちらでもいいでしょう。先の「この夕……」に合わせて、ミソヒトモジにしてみました。

 大空の遥か遠くに彦星が…… 輝く織姫 天の川の辺

 しなやかにまた嫋たおやかに手と指で リズムをつけて機はたの杼運ぶ

 綾模様ずっと片思かたもいゆえ乱れ 雨のごとくに流れる涙

 天の川清らかに澄み浅い上 けっこう二人は近くいるのに……

 滔々とうとうと流れる川に隔てられ 見つめ合うだけ話もできず

出光美術館「琳派のやきもの」11

 千古の石をそなえたら 花を花瓶に……琴を聴き

 臨書すんだら画を学び あるいは鳥の世話をする

 心のままに機に臨み 親しみ愛さん相ともに

 許さず俗塵 積もるのを 虚心坦懐その底に

 諸君よ笑うことなかれ!! 玩物喪志の見本だと

 香炉によって乾山とう 隠士の心に触れるのだ!!

 

2023年7月6日木曜日

出光美術館「琳派のやきもの」10

 

 西の廊下に風 吹けば 初めて月が顔を出す

 チョット一杯ほろ酔いに してくれたのは梨花の酒

 ましてや梅の花 開き 枝に満つ春きたときは

 欄干の端 身を寄せて ぜひ短い詩を詠みたいな

 儒教の経典さらに読み 石の机に正座して

 貪欲どんよく・怒り・浅い思慮 敢然として断ち切らん


2023年7月5日水曜日

出光美術館「琳派のやきもの」9

 

 『詩経』の逸話にあるような 「エビタイ」うれしいわけじゃなく

 うれしくなるのはおのが手に 天が授けてくれたこと

 蒲がまの円座におたがいに 向かい合いつつ座ってる

 これから君ととこしえに 仲良き友でいたいのだ!!

 土壇に生える松の木に 雪降り夜も明けんとす 

 冷たい水で手を洗い 口をすすいで星 拝む

2023年7月4日火曜日

出光美術館「琳派のやきもの」8

 

 さっそく取り出す唐獅子の ふたの鈕ちゅうなる古香炉や!!

 箱には蜘蛛の巣 張りめぐり 昔っからの塵つもる

 購い得たり数銭で 毎日のごと賞玩す

 かすれた銘は「乾山」と よく見りゃかすかに読めるだけ

 払い拭ってよく磨きゃ 真の光輝が現われて

 ただ人為なき自然の妙 おのずと優れ得も言えず


2023年7月3日月曜日

出光美術館「琳派のやきもの」7

 

 その弟は光琳と 号する優れた画家なりき

 かの狩野派と相並ぶ 琳派を開いた開祖なり

 天才兄弟 超有名 天下にその名を等しゅうす

 所蔵家 いくら積まれても ぜったい売ったりするもんか

 ある日たまたま遠くから 客人 一人 やって来て

 豊後・竹田の村にある 拙宅の戸をたたきます


2023年7月2日日曜日

出光美術館「琳派のやきもの」6

 

 


 鍛治好き嵆康けいこう 評好き許劭きょしょう ごときがご苦労 敢えてせず

 外郎ういろうかついで洛中に 出向いて売るなど大嫌い

 晩春ナズナはペンペン草に…… 竹の生垣囲んでる

 草なきところに窯 築きゃ その煙けむななめに立ちのぼる

 粘土で作って白化粧 その雅趣 極致に達してる

 流れる筆で賛を書き あるいは花を絵付けする

2023年7月1日土曜日

出光美術館「琳派のやきもの」5

 

 京都 都の西北に 鳴滝なるたきなる村あったとさ

 砂底 浅く石 多く――そこを清すがしき水 流る

 小さな橋のあるあたり かまどの煙が立ち昇り

 多くの家が茅葺きの 軒を接して建っている

 この里村を心から 愛した人がかつて住み

 出自を隠して自分から 我「陶隠士」と名乗ってた


出光美術館「復刻 開館記念展」2

本年は、皆様をこの展示室へお迎えする最後の 1 年となります。その幕開けを告げる本展は、 58 年前の開館記念展の出品作品と展示構成を意識しながら企画したものです。……開館記念展の会場を飾ったのは、仙厓( 1750 - 1837 )の書画、古唐津、中国の陶磁や青銅器、オリエントの...