2026年3月19日木曜日

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 16


大正12年192510月12日、巴水は102日間の大取材旅行に出発しました。9月1日に起こった関東大震災により、巴水は188冊のスケッチ帖すべてを失ってしまいました。渡邊版画店も罹災、版木と新版画のほとんどが烏有に帰してしまいました 


失意の渡邊庄三郎は失意の巴水に旅へ出ることを勧めたのです。木曽・飛騨から日本海に抜け、さらに近畿・東海を巡る大旅行でした。このサウダーデの旅を中心にして生まれた傑作シリーズが「旅みやげ第三集」でした 


一方モラエスが徳島伊賀町の四軒長屋で『日本精神』を脱稿したの、大正12年のことでした。時代的にも、巴水とモラエスにおけるサウダーデの旅は重なっていたのです。もっともモラエスのサウダーデは、新田次郎が連載小説のタイトルにしたように「孤愁」でした。しかしつねに鼓舞してくれる渡邊庄三郎とすぐれた彫師・摺師に囲まれた巴水が、孤愁など感じることは絶えてなかったでしょう。 

 

2026年3月18日水曜日

NHK青山文化講座「魅惑の日本美術展 絶対ベスト6だ!!」が始まります。「必見ベスト6だ!!」は本日無事終了❣❣❣

 

魅惑の日本美術展 絶対ベスト6だ!!

講師
東京大学名誉教授・出光美術館理事 河野 元昭
カテゴリー

絶対ベスト6はこれだ!

日本は美の国です。美術のまほろばです。絵画彫刻工芸のシャングリラです。だからこそ、素晴らしい美術展がたくさん開かれ、老若男女を問わず多くの人々に感動を与えて止むことがないのです。それは文字情報とは異なる真の教養を高め、明日を生きるためのエネルギーを心に注ぎ込んでくれます。美術ブログでお馴染みの「饒舌館長」こと河野元昭先生が選ぶ2026年度上半期日本美術展絶対ベスト6だ!で予習をしてから出かければ、もうカタログなんか買う必要はありません(!?)

  • 河野 元昭先生

受講申し込み

講座の詳細

教室名青山教室残 席あります
開催期間4/15~9/16曜日・日時第3水曜 10:30~12:00
回 数6回途中受講できます
受講形態対面型
コース受講料(税込み)教材費(税込み)
会員24,948円

日程

2026/04/15(水)
2026/05/20(水)
2026/06/17(水)
2026/07/15(水)
2026/08/19(水)
2026/09/16(水)

4月根津美術館「光琳派――国宝『燕子花図』と尾形光琳のフォロアーたち」
5月サントリー美術館「ゴールドマンコレクション 河鍋暁斎の世界」
6月山種美術館「開館60周年記念特別展 川合玉堂」
7月東京国立博物館「空海と真言の秘宝」
8月東京都美術館「大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱――海を越えた江戸絵画」
9月静嘉堂文庫美術館「民藝SHOCK!! 没後60年 静嘉堂の河井寛次郎」

持ち物

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 15

 


モラエスは「以上諸点の総括」の章でも、「改革の大演劇」によって「美という美がすべて荒廃しつつある」ことを慨嘆しています。荒廃のなかに残るわずかな美を探し求めた、サウダーデの旅の結晶が『日本精神』をはじめとするモラエスの著作だったように感じられます。 


旅の画家とたたえられる川瀬巴水の取材旅行も、日本各地に残存する美を捜し求めるサウダーデの旅だったのではないでしょうか。いくら近代化が進んでも、つまり西欧化が進んでも、巴水の慧眼は失われることなき根生いの美を、行く先々で発見することができました。それは巴水におけるサウダーデの旅であり、その結晶が巴水新版画だったのです

 

西欧化によって壊されようとする<日本>のなかに<日本>を捜し求める、モラエスと巴水の視線は同じ方向を向いていたんです。 

2026年3月17日火曜日

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 14

 


川瀬巴水は「サウダーデの風景版画家」と呼ばれるべきです!! しかしその理由はもう一つありますモラエスが芸術と文学の章に、つぎのごとく書き記しているからです。

 

ふんだんに日本の土地をゆさぶって家屋を倒壊させる地震には、日本は家屋をふたたび廃墟から起こして打ち勝つことができる。芸術を破壊する激変には、日本も打ち勝つすべを知らない。毎日破壊に破壊を重ねて、それを救う希望を失くするほかなき有様である。日本に侵入する西洋文明の旋風が、この避くべからざる不快の不幸な原因だ。 


 モラエスも明治維新によって怒涛のごとく押し寄せた西欧文明が、日本の芸術を破壊したと見なす西欧知識人の一人でした。


2026年3月16日月曜日

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 新田次郎の「孤愁<サウダーデ>」は未完に終わりましたがもちろんポルトガル取材日記は残っていました。これにしたがって子息の藤原正彦さんが、お父さんと同じコースをたどり、同じホテルに宿泊し、同じメニューで食事とワイン賞味したセンチメンタルジャーニーの記録が、先にあげた『父の旅 私の旅』です。素晴らしい紀行文です。その後藤原さんが『国家の品格』を出されたときはびっくりしましたが……。 

『父の旅 私の旅』のあと藤原さんは、お父さんの跡を継いで未完部分を書き足し、共著の形で『孤愁<サウダーデ>』(文藝春秋 2012年)を完成させました。これまたすぐれた伝記小説です新田次郎が書いた前半はこれだけで単行本になっています。かつて読んだことがあるのですが、これを機に藤原さんが書いた後半を読み始めたところです。 


2026年3月15日日曜日

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その「芸術と文学」の章を開くと「日本そのものが、ことごとく芸術である」と書かれているじゃ~ありませんかうれしいような、チョッとこそばゆいようなお言葉です。日本美術の最大特質はシンプリシティーにあるという持論も、じつはこの本のウケウリなです。

 

かつてポルトガルのラジオ放送局がやって来て、モラエスについてしゃべってほしいと言われたことがありました。遠来の客ですから、つとめていた大学の文学部長室を借り、ブロークン・イングリッシュで滔々とオマージュを捧げたあと、放送後そのカセットテープを送ってほしいと頼みましたが、結局なしのツブテでした。あまりにひどいブロークンなので、ボツになったかな( ´艸`)

2026年3月14日土曜日

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 モラエスはNHK連続テレビ小説――通称朝ドラ「ばけばけ」モデルになっている小泉八雲(ラフカディオ・ハーン同世代の日本研究者で、ほとんど同じころ来日、遺した仕事も共通する要素少なくありません 


しかし東京大学や早稲田大学で英文学を講じた八雲に比べると、モラエスはより一層深く日本に耽溺、いや、溺惑した感があります。八雲の日本礼賛が知的であったとすれば、モラエスのそれは、あるいは体質であったように感じられます。 


もちろん八雲は偉大です。しかしモラエスの生き方にも、僕は強く惹かれるのです――と書いていたら、モラエスの代表的著作『日本精神』<講談社学術文庫>を再読したくなって、いま書架から引っ張り出してきたところです。モラエスのすぐれた研究者であった花野富蔵の翻訳ですが、『定本モラエス全集』(集英社 1969年)同氏の編纂だそうです。

 

『日本精神』のカバーには「日本に三十余年も生活し、徹底して日本を愛した外国人の、先駆的かつすぐれた日本人論である」と書かれています。そうです、モラエスは徹底して日本を愛したのです。 


https://mimt.jp/ex_sp/shin-hanga/

 

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 16

大正12年 1925 10月 12 日、巴水は102日間の大取材旅行に出発しました。 9月1日に起こった関東大震災により、巴水は188冊のスケッチ帖すべてを失ってしまいました。渡邊版画店も罹災、版木と新版画のほとんどが烏有に帰してしまいました 。   失意の 渡邊庄三郎は 、 失...