荻生徂徠「孤山 梅花を丐う。雨を冒して一枝を折り之に畀うに、詩有りて謝せらる。和答成るに比び、却って桃花の盛んに開くに値う(2) 」
梅 散り桃が咲き始め たちまち一新される花
小さな庭に清らかな 香りの絶えない今は春
なぜか近ごろ我がままな 生活態度がひどくなり
酔ってザンバラ髪のまま 散り敷く花に寝転んだ
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荻生徂徠「孤山 梅花を丐う。雨を冒して一枝を折り之に畀うに、詩有りて謝せらる。和答成るに比び、却って桃花の盛んに開くに値う(2) 」
梅 散り桃が咲き始め たちまち一新される花
小さな庭に清らかな 香りの絶えない今は春
なぜか近ごろ我がままな 生活態度がひどくなり
酔ってザンバラ髪のまま 散り敷く花に寝転んだ
荻生徂徠「春杪、義空師が将に西京の行有らんとし、留めて阿刺吉酒を恵まる。盛る所も亦た西洋の玉壷なり。二絶を作りて餞別し且つ謝す」
阿蘭陀オランダ国の阿刺吉酒アラキざけ ガラスの瓶は緑色
中身の酒は琥珀色こはくいろ 義空師からのプレゼント
楊やなぎをわがねて春風に 別れの詩うたを詠みました
楊の輪っかに君からの 甘露の酒を注ぎつつ……
北原白秋を思い出させるこの一首は、また中唐の詩人・李賀の「将進酒」とも共鳴しています。荒井・田口さんが指摘するところです。李賀の傑作賛酒詩はかつてアップしたことがあると思いますが、チョッとバージョンアップして再録することにしましょう。
李賀「将進酒」
瑠璃杯--酒は琥珀色
小さな樽から注がれる ワインは真紅のパールのよう
龍 煮て鳳凰 包み焼き 脂が涙のごと流る
絹の屏風と刺繍した 幕が閉じ込むよい香り
響く龍笛 鰐太鼓
明眸皓歯 柳腰 舞いつつ歌う美女の群れ
加えて春は真っ盛り 日は今まさに暮れんとし
乱れ散ってる桃の花 まるで真っ赤な雨のよう
君に勧めん一日中 ジャンジャカ飲んで酔いに酔え!!
かの劉伶りゅうれいも死んじゃえば 墓まで酒はやって来ず
荻生徂徠「春日 楼に上る」
入り日を浴びて高殿たかどのの 眼下にながめる碧あおい空
関東平野も春の雨 晴れて遥かに見渡せる
杯さかずき挙げれば悠久の 時とき経た景色に満つ我が力
白雪 戴く富士山の 雄姿に独り浸ってる
尊敬して止まない荒井健さんは田口一郎さんと一緒に、これまた尊敬してやまない荻生徂徠の漢詩全作品を詳細に読み解き、最後に現在語訳を加えるという壮大なチャレンジを続けていらっしゃいます。その<東洋文庫>第1冊・第2冊はすでに頂戴し、「饒舌館長ブログ」でオマージュをささげましたが、このたび第3冊の贈呈に浴しました。
ここに収められる203首のうちから、賛酒詩マイベストテンを選んで、またまた戯訳で紹介したいと思います。ほかにも佳い詩はたくさんあるのに、どうして賛酒詩なのか? それは第3冊の第1首が賛酒詩だからですよ( ´艸`)
徂徠にあっては酒こそが学問、思索、創造のエネルギー源であり、そのベクトルは弟子にして初期文人画家の一人である服部南郭に受け継がれていることがおのずと明らかになるでしょう。ところが、南郭とともに徂徠門の双璧とたたえられる太宰春台は、酒が大っ嫌いでした。実際は飲めない体質だったようですが、いずれにしろ酒と思想は密接な関係に結ばれているんです( ´艸`)
第二以下は省略いたしますので、皆さんには全文が載る中近東文化センターのホームページをチョッとのぞいていただきたいなぁと思います。中近東文化センターの性格上、この趣意書はおもにカデミックな観点から執筆されているようですが、その根底にオリエント文化そのものに対する称賛の気持ちがあったことは、改めて指摘するまでもないでしょう。
「僕の一点」はペルシア・サーサーン朝(6世紀)の「ガラス碗」ですね。このようなガラス碗が、シルクロードを通って我が正倉院まで運ばれてきた時空を思うと、人間の営みに改めて尊敬を抱かないではいられません。
なお、帝劇ビル・出光美術館閉館にともない、2025年5月、中近東文化センターに「出光美術館・展示室」が開設されました。ここでは現在「陶磁器名品選 桃山陶芸の魅力」<6月26日まで>が開かれています。開館日は月・火・水・金曜日の4日です。これまたオススメですよ!!
去年、イラン出身の女性研究者ザヘラ・モハッラミプールさんが著わした『<東洋>の変貌 近代日本の美術史像とペルシア』に対するオマージュをこの「饒舌館長ブログ」<7日間ブックカバーチャレンジ>で捧げました。
本書を読みながら僕は、ペルシア文化のすぐれたDNAが、彼女の脳髄と心臓に脈々と受け継がれていることを強く感じないではいられませんでした。
ここで中近東文化センター設立趣意書の一部を掲げることにしましょう。これは設立趣意書であると同時に、中近東文化の歴史的重要性を高らかに謳い上げて、私たちへ反省をうながしているように感じられます。
荻生徂徠「孤山 梅花を丐う。雨を冒して一枝を折り之に畀うに、詩有りて謝せらる。和答成るに比び、却って桃花の盛んに開くに値う(2) 」 梅 散り桃が咲き始め たちまち一新される花 小さな庭に清らかな 香りの絶えない今は春 なぜか近ごろ我がままな 生活態度がひどくなり ...