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2026年4月10日金曜日

饒舌館長VS生成AI !! 蘆雪の「かわいい」に隠された世紀の見立てを巡る大激論 8

 

 両者を足すと9人になりますが、猩々の故郷中国において、9はとてもお目出度い数字でした。あまた・もろもろの意であり、陽(1・3・5・7・9)の極まりであり、周易では老陽と呼んだからです。 

とくに九九はお目出度く、冬至のつぎの日から81日目が春になる日でした。かつては九画の漢字九つを籠字にした、「庭前垂柳珍重待春風」を一画ずつ墨で埋めながら、春の到来を待つという風雅な風習もあったそうです。我が国では「苦」に通じるので嫌がられますが……。9と酒中国語で「ジョウ」という同じ発音なのもおもしろく感じられます。 


かつて中国の安い飲み屋に入るとよくメニューに「氿」という字が書いてありました。「酒」の意味ですが、「酒」と「九」の発音が同じだからなのでしょう。本来「氿」は、崖の脇から出る細い湧き水という意味で、発音も異なるのですが……。 


2026年4月9日木曜日

饒舌口演「華やぐ北斎江戸絵画 饒舌館長ベストテン」の前評判がすごいぞ(!?)


 5月5日(火祝)於鎌倉市生涯学習センターきららホール ご来場ご来駕をお待ちしています❣❣❣

饒舌館長VS生成AI !! 蘆雪の「かわいい」に隠された世紀の見立てを巡る大激論 7

 

しかしこれだけなら、たいしたことはありません。蘆雪がすごいのは、高尚な能謡曲のストーリーを、日常的な金魚玉に埋め込んでいるこです。金魚玉見立てになっている点です。金魚玉というのは、金魚を入れて吊るす丸いガラスの容器、つまり金魚鉢の一種です。これにシノブを添えて軒先や窓際に吊るせば、見た目に涼しく、クーラーなんかない時代の視覚涼感装置でした。 


これを描いた代表的作品に、神坂雪佳の「金魚玉図」(細見美術館蔵)があります。蘆雪の「猩々図」も、中の7人は透けていますし、外にいる二人の猩々を見ると、手や袖が透けて見えるので、この酒壷がガラス製であることが分かるでしょう。

2026年4月8日水曜日

饒舌館長VS生成AI !! 蘆雪の「かわいい」に隠された世紀の見立てを巡る大激論 6

 


 改めてギッターさんのご冥福をお祈りするとともに、<饒舌館長VS生成AI !! 蘆雪の「かわいい」に隠された世紀の見立てを巡る大激論 >を再開することにしましょう。

そこには唐土の揚子の里に、高風という孝行な酒売りがいた。その店へ近くの海中に住む猩々がきて、酒を飲んで舞い戯れ、いくら汲んでも尽きない酒瓶を高風に与えて祝福する」とあります。蘆雪描く猩々は確かに舞い戯れていますし、「いくら汲んでも尽きない酒瓶」は透明の酒壷にチョッと姿を変えて重要なモチーフになっています 


それだけじゃ~ありません。『日本古典文学全集』<謡曲集2>の頭注によると、「猩々」には「七人猩々」というバージョンがありましたおもに宝生流はこれによったようです酒壷のなかにいる猩々を数えてみると、たしかに7です。蘆雪が能謡曲の「猩々」から霊感を得たことは、いよいよ疑いなきことのように思われます。 

2026年4月7日火曜日

追悼 カート・ギッターさんの思い出と感謝の言葉 8

 


最後に、先にあげた拙稿「宗達の鴨と賀茂」から起承転結の「起」にあたる書き出しの数節を引用して、ギッターさんを偲びつつ感謝の辞に代えたいと思います。 


Gnocchi with Crab and Truffles 

Roast Beef Tenderloin with Soft Polenta, 

Wilted Greens, and Sour Cherries 

Shrimp and Porcini Risotto 

"Salade August" with Candied Pumpkin 

Seeds and Valdeon Blue Cheese

                                     

本当に楽しく素晴らしい晩餐会だった。 それは 2002年9月27日、 レストラン・オーガストで行なわれた。 この晩餐会はカートアリス ギッター夫妻が、 国際シンポジウム 「エンデュアリング・ヴィジョン」の発表者とパネリストのために、 歓迎の意を込めて開いてくれたものだった。もちろんこの シンポジウムは、ご夫妻が収集した17世紀から 20世紀の日本絵画を、ニューオーリンズ美術館で展観する同じタイトルの特別展に合わせて企画されたものである。 初めに掲げたのは、そのディナー・メニューである。 

その日、私は「宗達と能」と題する発表をすでに終えていたから、気分きわめて爽快、 晩餐会の前に開かれたカクテルパーティでもうかなりきこしめしていた。 しばらくぶりで会うアメリカの研究者や友人と、夜遅くまでおしゃべりを楽しんだ。 それは二日前、 私を激しく迎えてくれたハリケーン・イズドァーとともに、この国際シンポジウムを忘れ難いものにしてくれたのである。

 

ここに書いたように、晩餐会の前に開かれたカクテルパーティで、僕は酣酔あるいは酩酊状態になっていました。その後ギッターさんにお会いすると、よくあのとき河野さんはバンベイ・サファイアのボトルを1本空けましたよ」とおっしゃです。しかしギッターさん、もしそれが本当だったら僕が天上で貴兄をお迎えすることになっていましたよ!! ギッターさん、長きにわたり誠にありがとうございました。どうぞ安らかにお眠りください。                                                                         合掌 


2026年4月6日月曜日

追悼 カート・ギッターさんの思い出と感謝の言葉 7

 


その2年後、「ギッター・コレクション特輯号」として『國華』1406号が編集出版されました。最初から僕は、与謝蕪村の「夏景山水図」について書かせてもらうことに決めていました。もちろん蕪村が大好きな文人画家だったからであり、「夏景山水図」がとても興味深い蕪村画だったからです。 


高士を訪ねようとする旅の尼僧が描かれてるのですが、女性の訪隠図ときわめて珍しい主題です。尾形仂先生は著書『芭蕉・蕪村』において、故郷喪失者となった蕪村の原点、母が歌詠む遊女であったことだと推定しています。

 

尾形先生の魅力的な蕪村観に寄り添いながら、この尼僧こそ、蕪村が追い求めた母の姿であったのではないかと考えたのです。『蕪村伝記考説』著わした高橋庄次氏は、さらに進んでこれを「父母離別図」だと断じているのでが…… 

2026年4月5日日曜日

追悼 カート・ギッターさんの思い出と感謝の言葉 6


  2010年、日本の美術館を巡る特別展「帰ってきた江戸絵画 ニューオーリンズ ギッター・コレクション展」が開かれました。ゲスト・キューレーターをつとめたのは、御存知小林忠兄でした。小林兄はそのカタログに、「お帰りなさい、ギッター・コレクション」と題して、いかにも小林兄らしい魅力的な総論を巻頭に寄せています。ギッター・コレクションの全体像については、是非これを参照していただきたいと存じます。 

小林兄から寄稿を求められ僕はギッター・コレクションの逸品俵屋宗達筆「鴨に菖蒲図」を取り上げ、「宗達の鴨と賀茂」という一文を書くことにしました。宗達が好んで鴨を描いたのは、王城京都の地主神とされる賀茂神社のイメージが重ね合わされていたからだという私見、いや、独断と偏見を披露したのです。 

饒舌館長VS生成AI !! 蘆雪の「かわいい」に隠された世紀の見立てを巡る大激論 8

    両者を足すと 9人になりますが、猩々の故郷中国において、9 はとてもお目出度い数字でした。 あまた・もろもろの意であり、陽(1・3・5・7・9)の極まりであり、周易では老陽と呼んだからです。   とくに 「 九九 」 はお目出度く、 冬至のつぎの日から81日目が春になる日...