2026年3月24日火曜日

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 21

 


 勿論、今日より見れば若干の誤膠あるやも計り難からん。併し、試みに思え其の著述年代を。前者は大正三年、後者は昭和六年の發版にして、我國浮世繪研究の草創期に當れり。而も、風景版畫若しくは末期浮世繪の眞美に着目したるは、殆ど氏を以て嚆矢とす。縦令、纔かの誤認あると雖も、畢竟夫は瑕瑾と云うも酷なるべし。余は此等に待峙せるとき、常に我が貧困なる審美眼に忸怩たるものあり。我が文章の拙劣、無味乾燥、慚愧に堪えざるものあり。 

余は兩書と邂逅する以前に於て、小島烏水氏の名を聞き及べり。其の所以は、我が父大學時代山岳部に所属し、山男を以て自認せり。輙書架に數十册の山岳書を蔵して、余の高校時代より讀まんことを強要す。取分、烏水氏の『日本アルプス』は必讀の推薦圖書なり。然りと雖も、余は唯地殻の高き箇所に、艱難辛苦して登攀することの欣快聊も理解し得ず、大下藤次郎畫伯の秀麗なる挿繪と、著者の姓名とを胸底に留むる耳にて止みぬ。 


ヤジ「こういうのを衒学趣味ペダンチズムというだ。『國華』で正字に固執し常用漢字に反対したそうだが、単なる衒学趣味にすぎなかったんだな!!」 

2026年3月23日月曜日

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 20


 余美術史學なる學問を専攻せり。就中我國の近世繪畫を専門分野とす。仍小島烏水氏の名著『浮世繪と風景畫』『江戸末期の浮世繪』等は大學時代より親炙せり。之を一讀、氏の豊饒なる美的感性に駭目せざる者、孰れにか在らん。巨いなる直感の羽翼を以て、錯綜せる浮世繪の峯嶺上を悠々と飛翔せり。文字通り鳥瞰的把握と言わん歟。美の死屍の如き調査報告に非ずして、氏の洗練せる眼孔を通して見たる一大■畫なり。片言隻句にも浮世繪に對する氏の甚深なる愛惜流露して、是自體「東海道五十三次」に劣らざる藝術作品なり。加之、所謂印象批評とは断然隔絶するものにして、考證の精確なること殆ど想像を絶したり 

はワードにも出てこないむずかしい漢字で、巾ヘンに「穴」カンムリと「登」を書きます。これに画をつけると「パノラマ」の意味になるらしく、烏水のある文章から引っ張ってきて使ったです。 

2026年3月22日日曜日

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『國華』新版画特輯号には、その再評価をリードしてきた千葉市美術館の西山純子さんと、東京都江戸東京博物館の小山周子さんが素晴らしい論文を寄稿しています。お二人とも新版画の誕生際しきわめて重要な役割を果たした知識人として小島烏水こじまうすいあげています。拝読してこれをはじめて知ったとき、僕は驚くとともに快哉を叫びたいような気持ちになりました。 


小島烏水はこれまた尊敬して止まない浮世絵研究者にしてアルピニストだったからです。かつて大修館から『小島烏水全集』が発刊されたとき編纂者近藤信行さんから、その13巻月報に一文を寄せるよう求められたことがありました。僕は「烏水氏と私」と題して思い出を書くことにしたのですが、オマージュを込め、烏水美しい文体と正字を真似て擬古文したです。書き出しの節を紹介しますので、文字どおりご笑覧ください。 

2026年3月21日土曜日

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これを読んだときすぐに思い出したのは、山口百恵が歌ってヒットした「いい日旅立ち」でした。言うまでもなく谷村新司作詞作曲JRプロジェクト・ディスカバージャパンのキャンペーンソングです。巴水サウダーデの旅と響きあう要素が、明らかに感じられるじゃ~ありませんか。 


 雪解け間近の北の空に向い  

過ぎ去りし日々の夢を叫ぶ時 

 帰らぬ人達熱い胸をよぎる  

せめて今日から一人きり旅に出る 

 あゝ日本のどこかに私を待ってる人がいる 

 いい日旅立ち夕焼けを探しに  

母の背中で聞いた歌を道連れに…… 

2026年3月20日金曜日

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 17


  三菱一号館美術館「トワイライト、新版画――小林清親から川瀬巴水まで」を内覧会で見せてもらったあとで、いま饒舌したような巴水風景版画サウダーデ心に浮かんできです。もちろん会場で作品を前にしたときは、ただいいなぁとながめるだけでしたが……。 

 しかし佐藤道信さんは、はじめに紹介した『國華』新版画特輯号巻頭言のなかで、巴水風景版画の社会的背景について、つぎのごとくとても興味深い指摘を行なっています。 


 最後に、とくに川瀬巴水の風景版画が感じさせる郷愁には、大正から昭和初期 (一九二〇三〇年代)に、国際観光事業の推進や史跡名勝保存、国立公園の指定等、 近代ツーリズムで新たに見出された日本や、江戸の風情を残す生活風景、関東大震災後の帝都復興によるモダン東京などがすべて混在し、「レトロモダ ン」の形になっていることである。

2026年3月19日木曜日

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大正12年192510月12日、巴水は102日間の大取材旅行に出発しました。9月1日に起こった関東大震災により、巴水は188冊のスケッチ帖すべてを失ってしまいました。渡邊版画店も罹災、版木と新版画のほとんどが烏有に帰してしまいました 


失意の渡邊庄三郎は失意の巴水に旅へ出ることを勧めたのです。木曽・飛騨から日本海に抜け、さらに近畿・東海を巡る大旅行でした。このサウダーデの旅を中心にして生まれた傑作シリーズが「旅みやげ第三集」でした 


一方モラエスが徳島伊賀町の四軒長屋で『日本精神』を脱稿したの、大正12年のことでした。時代的にも、巴水とモラエスにおけるサウダーデの旅は重なっていたのです。もっともモラエスのサウダーデは、新田次郎が連載小説のタイトルにしたように「孤愁」でした。しかしつねに鼓舞してくれる渡邊庄三郎とすぐれた彫師・摺師に囲まれた巴水が、孤愁など感じることは絶えてなかったでしょう。 

 

2026年3月18日水曜日

NHK青山文化講座「魅惑の日本美術展 絶対ベスト6だ!!」が始まります。「必見ベスト6だ!!」は本日無事終了❣❣❣

 

魅惑の日本美術展 絶対ベスト6だ!!

講師
東京大学名誉教授・出光美術館理事 河野 元昭
カテゴリー

絶対ベスト6はこれだ!

日本は美の国です。美術のまほろばです。絵画彫刻工芸のシャングリラです。だからこそ、素晴らしい美術展がたくさん開かれ、老若男女を問わず多くの人々に感動を与えて止むことがないのです。それは文字情報とは異なる真の教養を高め、明日を生きるためのエネルギーを心に注ぎ込んでくれます。美術ブログでお馴染みの「饒舌館長」こと河野元昭先生が選ぶ2026年度上半期日本美術展絶対ベスト6だ!で予習をしてから出かければ、もうカタログなんか買う必要はありません(!?)

  • 河野 元昭先生

受講申し込み

講座の詳細

教室名青山教室残 席あります
開催期間4/15~9/16曜日・日時第3水曜 10:30~12:00
回 数6回途中受講できます
受講形態対面型
コース受講料(税込み)教材費(税込み)
会員24,948円

日程

2026/04/15(水)
2026/05/20(水)
2026/06/17(水)
2026/07/15(水)
2026/08/19(水)
2026/09/16(水)

4月根津美術館「光琳派――国宝『燕子花図』と尾形光琳のフォロアーたち」
5月サントリー美術館「ゴールドマンコレクション 河鍋暁斎の世界」
6月山種美術館「開館60周年記念特別展 川合玉堂」
7月東京国立博物館「空海と真言の秘宝」
8月東京都美術館「大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱――海を越えた江戸絵画」
9月静嘉堂文庫美術館「民藝SHOCK!! 没後60年 静嘉堂の河井寛次郎」

持ち物

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 21

   勿論、今日より見れば若干の 誤膠ある やも計り難からん。併し、試みに思え其の著述年代を。前者は大正三年、後者は昭和六年の發版にして、我國浮世繪研究の草創期に當れり。而も、風景版畫若しくは末期浮世繪の眞美に着目したるは、殆ど氏を以て嚆矢とす。縦令、纔かの誤認あると雖も、畢竟夫...