これを読んだときすぐに思い出したのは、山口百恵が歌ってヒットした「いい日旅立ち」でした。言うまでもなく谷村新司作詞作曲のJRプロジェクト・ディスカバージャパンのキャンペーンソングです。巴水サウダーデの旅と響きあう要素が、明らかに感じられるじゃ~ありませんか。
雪解け間近の北の空に向い
過ぎ去りし日々の夢を叫ぶ時
帰らぬ人達熱い胸をよぎる
せめて今日から一人きり旅に出る
あゝ日本のどこかに私を待ってる人がいる
いい日旅立ち夕焼けを探しに
母の背中で聞いた歌を道連れに……
これを読んだときすぐに思い出したのは、山口百恵が歌ってヒットした「いい日旅立ち」でした。言うまでもなく谷村新司作詞作曲のJRプロジェクト・ディスカバージャパンのキャンペーンソングです。巴水サウダーデの旅と響きあう要素が、明らかに感じられるじゃ~ありませんか。
雪解け間近の北の空に向い
過ぎ去りし日々の夢を叫ぶ時
帰らぬ人達熱い胸をよぎる
せめて今日から一人きり旅に出る
あゝ日本のどこかに私を待ってる人がいる
いい日旅立ち夕焼けを探しに
母の背中で聞いた歌を道連れに……
しかし佐藤道信さんは、はじめに紹介した『國華』新版画特輯号巻頭言のなかで、巴水風景版画の社会的背景について、つぎのごとくとても興味深い指摘を行なっています。
最後に、とくに川瀬巴水の風景版画が感じさせる郷愁には、大正から昭和初期 (一九二〇~三〇年代)に、国際観光事業の推進や史跡名勝保存、国立公園の指定等、 近代ツーリズムで新たに見出された日本や、江戸の風情を残す生活風景、関東大震災後の帝都復興によるモダン東京などがすべて混在し、「レトロモダ ン」の形になっていることである。
大正12年192510月12日、巴水は102日間の大取材旅行に出発しました。9月1日に起こった関東大震災により、巴水は188冊のスケッチ帖すべてを失ってしまいました。渡邊版画店も罹災、版木と新版画のほとんどが烏有に帰してしまいました。
失意の渡邊庄三郎は、失意の巴水に旅へ出ることを勧めたのです。木曽・飛騨から日本海に抜け、さらに近畿・東海を巡る大旅行でした。このサウダーデの旅を中心にして生まれた傑作シリーズが「旅みやげ第三集」でした。
一方、モラエスが徳島伊賀町の四軒長屋で『日本精神』を脱稿したのも、大正12年のことでした。時代的にも、巴水とモラエスにおけるサウダーデの旅は重なっていたのです。もっともモラエスのサウダーデは、新田次郎が連載小説のタイトルにしたように「孤愁」でした。しかしつねに鼓舞してくれる渡邊庄三郎と、すぐれた彫師・摺師に囲まれた巴水が、孤愁など感じることは絶えてなかったでしょう。
絶対ベスト6はこれだ!
日本は美の国です。美術のまほろばです。絵画彫刻工芸のシャングリラです。だからこそ、素晴らしい美術展がたくさん開かれ、老若男女を問わず多くの人々に感動を与えて止むことがないのです。それは文字情報とは異なる真の教養を高め、明日を生きるためのエネルギーを心に注ぎ込んでくれます。美術ブログでお馴染みの「饒舌館長」こと河野元昭先生が選ぶ2026年度上半期日本美術展絶対ベスト6だ!で予習をしてから出かければ、もうカタログなんか買う必要はありません(!?)
| 教室名 | 青山教室 | 残 席 | あります |
|---|---|---|---|
| 開催期間 | 4/15~9/16 | 曜日・日時 | 第3水曜 10:30~12:00 |
| 回 数 | 6回 | 途中受講 | できます |
| 受講形態 | 対面型 | ||
| コース | 受講料(税込み) | 教材費(税込み) |
|---|---|---|
| 会員 | 24,948円 |
| ○ | 2026/04/15(水) |
|---|---|
| ○ | 2026/05/20(水) |
| ○ | 2026/06/17(水) |
| ○ | 2026/07/15(水) |
| ○ | 2026/08/19(水) |
| ○ | 2026/09/16(水) |
モラエスは「以上諸点の総括」の章でも、「改革の大演劇」によって「美という美がすべて荒廃しつつある」ことを慨嘆しています。荒廃のなかに残るわずかな美を探し求めた、サウダーデの旅の結晶が『日本精神』をはじめとするモラエスの著作だったように感じられます。
旅の画家とたたえられる川瀬巴水の取材旅行も、日本各地に残存する真美を捜し求めるサウダーデの旅だったのではないでしょうか。いくら近代化が進んでも、つまり西欧化が進んでも、巴水の慧眼は失われることなき根生いの真美を、行く先々で発見することができました。それは巴水におけるサウダーデの旅であり、その結晶が巴水新版画だったのです。
西欧化によって壊されようとする<日本>のなかに<日本>を捜し求める、モラエスと巴水の視線は同じ方向を向いていたんです。
川瀬巴水は「サウダーデの風景版画家」と呼ばれるべきです!! しかしその理由はもう一つあります。モラエスが「芸術と文学」の章に、つぎのごとく書き記しているからです。
ふんだんに日本の土地をゆさぶって家屋を倒壊させる地震には、日本は家屋をふたたび廃墟から起こして打ち勝つことができる。芸術を破壊する激変には、日本も打ち勝つすべを知らない。毎日破壊に破壊を重ねて、それを救う希望を失くするほかなき有様である。日本に侵入する西洋文明の旋風が、この避くべからざる不快の不幸な原因だ。
モラエスも明治維新によって怒涛のごとく押し寄せた西欧文明が、日本の芸術を破壊したと見なす西欧知識人の一人でした。
新田次郎の「孤愁<サウダーデ>」は未完に終わりましたが、もちろんポルトガル取材日記は残っていました。これにしたがって子息の藤原正彦さんが、お父さんと同じコースをたどり、同じホテルに宿泊し、同じメニューで食事とワインを賞味したセンチメンタルジャーニーの記録が、先にあげた『父の旅 私の旅』です。素晴らしい紀行文です。その後藤原さんが『国家の品格』を出されたときはびっくりしましたが……。
『父の旅 私の旅』のあと藤原さんは、お父さんの跡を継いで未完部分を書き足し、共著の形で『孤愁<サウダーデ>』(文藝春秋 2012年)を完成させました。これまたすぐれた伝記小説です。新田次郎が書いた前半はこれだけで単行本になっています。かつて読んだことがあるのですが、これを機に藤原さんが書いた後半を読み始めたところです。
これを読んだときすぐに思い出したのは、山口百恵 が歌ってヒットした 「いい日旅立ち」でした。 言うまでもなく 谷村新司作詞作曲 の JR プロジェクト・ ディスカバー ジャパンのキャンペーンソングです。巴水サウダーデの旅と 響きあう 要素が、明らかに感じられるじゃ~ありません...