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2026年7月8日水曜日

川合康三さんの『偏愛的漢詩雑記帖』は<饒舌館長>の偏愛的おススメ本です!!!7

 


 『偏愛的漢詩雑記帖』には中国文学だけでなく、西欧文学の話も随所に散りばめられています。川合康三さんの博覧強記ぶりに感を深くします。また「あとがき」にあるように、「面白がってくれる読者」をも視野に収める広やかな精神を内に秘めた中国文学研究者であることもよく分かりました。しかし僕の読後感を率直に述べることをお許しいただけるならば、「趣味を仕事にせよ、そうすれば一生働かないで済む」という名言(!?)を体現した中国文学研究者であるというものでした。

 

それは先にお名前を挙げた青木正児まさる先生の系譜に連なっていると言ってもよいでしょう。青木先生はながまちのながの長崎からすみに熱燗添えて妻の呼ぶ声」という忘れがたき一首を遺されました。川合さんがその酒仙ぶりをお継きなっているかどうか存じあげませんが、李白の「月下独酌」と杜甫の「酔時の歌」が抜かりなく選ばれています。


それらについては本書をお読みいただくとして、ここではかつて『唐寅集』を読んでいて逢着し、最近ある拙文に引用した、明代の画家にして詩人である唐寅の愉快なアンサーソングをアップすることにしましょう。

2026年7月7日火曜日

川合康三さんの『偏愛的漢詩雑記帖』は<饒舌館長>の偏愛的おススメ本です!!!6

 


それが僕たち学生へどんなに深い感動を与え、どんなに美術の素晴らしさを直截に伝えてくれたか、改めて指摘するまでもないでしょう。吉川先生と先の老教授こそ、対象の真美真善伝える最高の講義をされたのです。とは言っても、スチューデント・エヴァリュエーションなどというものが跋扈する現代では、この「いいですなあ方式」も、学生からどのように評価されるかチョッと心配になりますね( ´艸`) 


川合さんは「杜甫 一瞬の再会『衛八処士に贈る』」の章を、この老教授のエピソードから書き起こし、最後に「詩を読み終えたわたしは、これが人の生というものなのかという思いに浸りながら、『いいですなあ』とつぶやくのである」と〆ていらっしゃいます。


杜甫「衛八処士に贈る」に対する僕の熱き思いは、かつて戯訳とともにお伝えしたことがあったように思います。戯訳を考えなら涙がこぼれてきた漢詩は、この長い五言詩のほかにないのです。やはり僕も「いいですなあ」以外の言葉を見つけることはできません。

2026年7月6日月曜日

川合康三さんの『偏愛的漢詩雑記帖』は<饒舌館長>の偏愛的おススメ本です!!!5

 


大学院生だった二十代のころ、こんな話を聞いたことがあった。京都の女子大で国文学を講じておられた或る老教授は、教室で和歌を一首、静かに詠み上げる。しばらく沈黙をおいたあと、「いいですなあ」と一言、感に堪えない声を発する。そうして次の歌に移り、また同じことを繰り返すのだという。


それこそ「いいですなあ」と言いたくなるお話ですが、僕が西洋美術史を教えていただいた吉川逸治先生もまったく同じでした。美術史の講義ですから、スライドを映しながら進めるわけですが、その係はもちろん学生です。


先生がお持ちになった35㍉スライドを、2枚同時にセットできる滑動式の装着器に入れて順番に映すです。学生が最初の1枚をスクリーンに映し出すと、吉川先生はしばらく沈黙をおいたあと、一言「いいですねぇ、はい次」とおっしゃって、授業は厳粛にというか、静粛に進んでいくです。

2026年7月5日日曜日

7月21日・日本アート評価保存協会主催・饒舌館長口演+ミニコンサート・於アイアート


 

川合康三さんの『偏愛的漢詩雑記帖』は<饒舌館長>の偏愛的おススメ本です!!!4

 


 さらに川合康三さんの趣味を、僕が知らずに追いかけていたことを知って、「ヤッター」という気分になりました。というのは、川合さんの卒業論文が「李賀論」であったからです。『偏愛的漢詩雑記帖』に青木正児まさる先生の夭折詩人観を引きながらお書きになっています


草森紳一さんのような熱狂的ファンとはいわないまでも、いまは亡き天羽直之さんからヨイショされて、「わが愛する唐詩人・李賀」という拙文を『國華清話会会報』に書いちゃったこともあるです。また「饒舌館長ブログ」には、何度も李賀へのオマージュをアップしたように思います。 


偏愛的漢詩雑記帖』のコシマキには「いいですなあ 川合康三」とあります。これは京都の女子大学で国文学を講じていた或る老教授が、授業で繰返し発する感嘆詞だったそうです。川合さんはつぎのように書いています。

2026年7月4日土曜日

川合康三さんの『偏愛的漢詩雑記帖』は<饒舌館長>の偏愛的おススメ本です!!!3


  小川環樹先生は、かの大部なる『文選』であっても通読せよというのですから、『中国文学歳時記』賛酒詩だけのつまみ食いなんていうのは、問題外の外なのでしょう。しかし『文選』にしろ『中国文学歳時記』にしろ、そもそも「つまみ食い本」なんですから、コチトラもつまみ食いで構わないじゃないのかな( ´艸`)

この『文選』にまつわるエピソードの発端は、そのころ川合康三さんが愛読していた永井荷風の『断腸亭日乗』にあったというのですから、『断腸亭日乗』ファンの僕がうれしくならないはずがありません。


朝、ある場所で『断腸亭日乗』を拾い読みすることその「一盗二婢三妓四妾五妻」問題(!?)については、かつてアップしたことがあるように思います。去年、前田恭二さんの『統制百馬鹿 水島爾保布 戦中毒舌集(岩波書店 2025年)を紹介したときも使ったはずです

2026年7月3日金曜日

川合康三さんの『偏愛的漢詩雑記帖』は<饒舌館長>の偏愛的おススメ本です!!!2

 


はじめて僕が川合康三さんのお名前を知ったのは、これまで何度かアップした『中国文学歳時記』(同朋舎)を読んだときでした。読んだといっても、「玉堂と酒」なる駄文を書くため、『中国文学歳時記』から飲酒詩――僕のいう賛酒詩を探しただけです。そのなかに范成大の「春日田園雑興」がありましたが、解説担当は川合さんでした。


「田園雑興」は尊敬する渡辺崋山が愛して止まなかった范成大の連作で。また僕が最初に暗唱できるようになった漢詩は、「春日田園雑興」の「フーディエシュアンシュアンルーツァイホァ……」という一首だったので、とくに印象深く、おのずと川合康三さんのお名前も脳裏に刻まれただと思います。


つまり『中国文学歳時記』は拾い読みというか、つまみ食いというか、賛酒詩を探して読んだだけなです。しかし川合さんは、学生のころ小川環樹先生から本というものは最初から最後まで通して読むものなんだよとたしなめられた思い出を語っています。

川合康三さんの『偏愛的漢詩雑記帖』は<饒舌館長>の偏愛的おススメ本です!!!7

    『偏愛的漢詩雑記帖』には中国文学だけでなく、西欧文学 の話 も随所に散りばめられています。 川合康三さん の博覧強記ぶりに感を深くします。 また「あとがき」にあるように、「面白がってくれる読者」をも視野に収める 、 広やかな精神 を内に秘めた 中国文学研究者で あることも...