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2026年10月3日土曜日

東京都美術館「大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱 海を越えた江戸絵画」7

  

 


 大英博襖絵の裏が米国・シアトル美術館の襖絵《琴棋書画仙人図》だったことは以前から知られていた。本展では、これら離れ離れになった絵が日本に里帰りし、150年ぶりに再会する。その感動的な場面に、私たちは立ち会えるのである。

近世絵画史研究の泰斗、 故・土居次義先生は、大英とシアトルの襖絵がまだ表裏にあった昭和初期に京都市内で調査され、昭和57年 (1982) 論文「海外の襖絵と狩野孝信」(『日本美術工芸』 528・529号)で次のように語られた。大英博襖絵には「秋、冬二季の花鳥的景観が描かれているわけだが、向かって右端に椿の枝が認められるし、それに梅の枝が添えられているところから推定すると、この花鳥図の向かって右方には、もと春、夏の花鳥的景観を描く画面があった可能性が考えられる。 (...) それを確かめるすべのないことが惜しまれる」と……。 その右方の襖こそ、詩夢庵の襖絵にほかならないのである。

2026年10月2日金曜日

東京都美術館「大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱 海を越えた江戸絵画」6

 


さらに山下さんは、『國華』1569号に詳細なる論文「談山神社障壁画空間の復元的考察――日英米に分蔵された狩野派襖絵をもとに――」を寄稿しています。この『國華』は「宮越家詩夢庵の襖絵とステンドグラス」というおもしろい組み合わせの特輯号になっています。じつにスリリングな山下カタログ論文の前半部を紹介することにしましょう。


大英博物館と青森の襖絵がつながった!

2023年夏、青森県津軽の旧家に伝わる襖絵群18面の画像がメールで送られてきた。本展特別出品の詩夢庵(宮越家の離れ)襖絵との出会いである。桃山末から江戸初期の絵だと直感、《春景花鳥図 》を目にしたとき、36年前に東京国立博物館「大英博物館所蔵 日本・中国美術名品展」で《秋冬花鳥図襖》を観た記憶が蘇った。同展図録を確認すると画面の雰囲気はよく似ており、図様もつながりそうに思えた。やがて津軽・ロンドンで実査、 もともとは大英博襖の右に柱があり、そこで直角に折れて青森のが接続していたと確信。この事実が全国ニュースになった。

2026年10月1日木曜日

東京都美術館「大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱 海を越えた江戸絵画」5

  


 そのキャプションは伝狩野孝信筆としました。土居次義先生がこの裏面にあった「琴棋書画仙人図」(米国・シアトル美術館蔵)とともに、孝信筆と推定されていたからです。もっとも『日本美術全集15<永徳と障壁画>』出版の直前に、小嵜善通さんが狩野永徳の弟・宗秀元秀そうしゅうもとひでの門人であった狩野宗眼重信筆とする見解を発表されていました。しかしまだ定説にはなっていなかったので、土居先生の孝信説にしたがって「伝狩野孝信筆」としたんです。その後も僕は、土居先生が孝信というんだから孝信でいいんじゃないの――といったいつもの調子でずっと過ごしてきました。

 ところが今回世紀の大発見が起こりました。起こしたのは畏友・山下善也さんです。その顛末と研究成果を、山下さんは「日英米の襖絵、150年ぶり奇跡の再会」と題してカタログに寄稿しています。朝日新聞で読み、あるいはNHK日曜美術館で観た方も少なくないでしょう。

2026年9月30日水曜日

東京都美術館「大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱 海を越えた江戸絵画」4

 

 「僕の一点」は「秋冬花鳥図襖」ですね。素晴らしい桃山障壁画の傑作です。季節は秋から冬、湖水には鴨が楽しそうに泳ぎたわむれており、空からは2羽の雁が舞い降りようとしています。岸辺には4羽の雁がいて、早くおいでよと呼びかけているようです。 

大襖4面を効果的に使って、広やかな空間を創りだしていますが、左側の土坡や大きな檜がその空間をしっかりと支えています。力強く大らかな空間ですが、野放図に広がっていくわけじゃなく、ちょっとソフィストケートされた感じがスゴクいいですね!! 


この襖絵を僕は、毎日新聞社版『在外日本の至宝<障屏画>』(1980年)ではじめて知りました。その解説では筆者を長谷川派の画家にアトリビュートしています。その10年後辻惟雄さんと一緒に、講談社版『日本美術全集15<永徳と障壁画>』(1991年)を編集する機会に恵まれましたが、相談してこの襖絵を本図版として載せることに決めたんです。


2026年9月29日火曜日

ステップス・ギャラリー「a gentle breeze from Shonan 古川巧✖髙橋勉」<10月5日~10日>


 「a gentle breeze from Shonan 古川巧✖髙橋勉」二人展が10月5日から始まります。古川巧さんはこの「饒舌館長ブログ」に何回も登場してもらったと思います。場所は銀座4-4-13 琉映ビル5階にあるステップス・ギャラリーです。5日夕方5時から始まるオープニングセレモニーで、僕もフォークの弾き語りを数曲やらせてもらおうと思っています。押しかけ女房ならぬ押しかけフォークかな( ´艸`) 皆さん、ぜひ押しかけてくださいね❣❣❣ https://stepsgallery.jp/

東京都美術館「大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱 海を越えた江戸絵画」3

 

 

当館の日本コレクションで最も充実しているのが、 江戸時代の品々です。幕政のもとで続いた泰平と繁栄を受けて創造的な 文化が花開いた時代でした。本展もこの時代のものを中心に、大英博物館のコレクションから、歴史的な重要性がひときわ高く、飛び抜けた魅力で目にも鮮やかな約200件を選り抜き、日本の過去と現在の連続性とその変化を考察します。注目すべき展示作品としては、比叡山の猿をユーモラスに愛らしく擬人化した 《猿草子絵巻》 (1560-1570年頃)、1949年の焼損以前に実物大で写された 《法隆寺金堂壁画 九号壁模本》、18世紀後期の革新者・円山応挙が豪華な金屏風に描いた傑作 《虎の子渡し図屏風》、 19世紀末期に英国の外交官アーネスト・サトウが収集した謎の浮世絵師・写楽の錦絵などが並びます。 このまたとない機会を、日本の多くの皆様に楽しんでいただけることを心から願っています。

2026年9月28日月曜日

<寺子屋池上×三遊亭竜楽>実相寺で春画×落語 第2回「恋は色いろ」

 

 「江戸城天守閣を再建する会」の渡辺俊之さんと、江戸文化研究家でFBフレンドのSolaさんに誘われて、楽しい一晩を過ごしました。三遊亭竜楽師匠は5代目三遊亭円楽に入門して真打ちに昇進、海外公演で欧米・中国を中心に65都市をめぐり7ヶ国語で語る国際派落語家です。


10年前、パリ日本文化会館で落語と浮世絵のコラボレーション「落語家/浮世絵・伝統と現代の出会い」を開催して喝采を浴びました。以後、浮世絵落語に取り組み、国内外で公演を重ねていらっしゃいます。


今回も7月7日パリで開いた春画落語公演の愉快な帰朝報告から始まりました。続いて「お菊の皿」、中入りをはさんでSolaさんの「和ごころトーク」、トリは竜楽師匠の「不孝者」――あっという間の2時間半でした。第3回は12月13日、第4回は年明けの2月14日に予定されています❣❣❣

東京都美術館「大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱 海を越えた江戸絵画」7

      大英博襖絵の裏が米国・シアトル美術館の襖絵《琴棋書画仙人図》だったことは以前から知られていた。本展では、これら離れ離れになった絵が日本に里帰りし、150年ぶりに再会する。その感動的な場面に、私たちは立ち会えるのである。 近世絵画史研究の泰斗、 故・土居次義先生は、大英...