2026年3月8日日曜日

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 5

 


 川瀬巴水――懐かしい!!といった得もいえぬ気持ちにさせてくれる画家です。はっきりいって、パッと見たときの圧倒的感動は皆無です美術史的興味を掻き立ててくれる、強烈なモチーフが眼球に飛び込んでくるわけでもありません。もちろん官能を刺激する要素はゼロに等しい。ただただ懐旧の情を呼び起こして、小さな画面の前に立つ僕を癒してくれるのです。 


そんなの絵画としておもしろくないじゃないか、爆発がなきゃ芸術じゃない、あまりにも退嬰的世界じゃないかと言う人がいたら、「そのとおりですけど……」と言って通り過ぎることにしましょう。 

2026年3月7日土曜日

半蔵門ミュージアム講演(口演)「徳川時代の富士山図 饒舌館長ベストテン」無事終了❣❣❣

 


 すでに予告していた半蔵門ミュージアム企画展「富士山 花と雲と湖と」にちなむイベント講演、いや、口演がつつがなく終わりました。会場にお越しの方、リモートで聴講してくださった方々、まことにありがとうございました。

 今回は大好きな江戸時代絵画の話だったので、とくに力を込めて準備したつもりですが、感想はいかがでございましょうか。忌憚のないご意見をお寄せくださいませ。アンケート用紙には「大変ためになり、かつ面白かった。是非また聴きたい」と書いてほしいのですが( ´艸`) 

 わざわざ付き合ってくださった山本勉館長、桑原一郎事務局部長、準備段階からお世話になった岡崎寛徳主任学芸員をはじめ館員の方々に心から感謝申し上げます。本事後報告をアップしているこの「饒舌館長ブログ」を、改めてよろしくお願い申し上げます。

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 4


確かに渡邊庄三郎が目指した新版画は、旧型に囚われず、画家の個性を発露させた芸術品でした。しかし僕は、そこに江戸の美意識、さらにいえば伝統的な日本人の美的感性が色濃く反映しているように感じてきましたその理由の一つ22歳までは江戸時代に生きた清親からの影響だったことに気づかせてくれました。そのほかにも多くの示唆を与えてくれる、饒舌館長おススメの展覧会です!! 


 「僕の一点」、いや、「僕の一人」は何といっても川瀬巴水ですね。今回も深く心を動かされました。一点一点、ただじっと眺めるだけでいいのです。言葉はいっさい不要です。何かしたり顔で解説を加えたりすれば、巴水に礼を失することになります。しかしそうはいってもやはり饒舌館長です――チョッとはしゃべらずにいられません じつは先日NHK青山文化講座「魅惑の日本美術展」でもうしゃべっちゃったのですが( ´艸`)

 

2026年3月6日金曜日

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 3

 


 新版画は明治42年1909京橋に渡邊版画店を開業した渡邊庄三郎による、文字どおり新しい時代の新しい版画です。新版画の第1号ともいうべき、オーストリア人画家フィリッツ・カペラリの「鏡の前の女」が世に送り出されたのは大正4年1915のことでした。ところで6年ほど前『國華』でも新版画特輯号を企画、1501号として発行しました。その巻頭言「『新版画』特輯に当って」を執筆したのは編輯委員の佐藤道信さんでした。 


佐藤さんは「渡邊がめざしたのは、浮世絵と同じ彫り・摺りの技法を用いながら、『旧型に囚われ』ず、『画家の個性を発露』し、『独立した芸術品』としての木版画をつくることだった」と述べています。これが新版画の定義だといってよいでしょう。 


しかしこの特別展では、新版画に先立つ小林清親きよちかや井上安治やすじの仕事、とくに光線画とよばれる作品の重要性に着目して、これを新版画前史に位置づけていますその結果、江戸時代の浮世絵風景版画から、清親・安治を通して新版画へという展開のプロセスがとてもよく理解されるようになったと思います。 

2026年3月5日木曜日

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 2

 


本展では、新版画に魅せられた米国のコレクター、ロバート・オットー・ミュラー (1911-2003) が築いた新版画を中心とする日本近代の版画コレクションを紹介します。 同氏は学生の頃に新版画に出会い、 日米開戦前に訪日し新版画を収集し、60年以上かけて4,500点近くにおよぶ世界最高峰のコレクションを築きました。 スミソニアン国立アジア美術館に遺贈されたこれらの作品を中心に、同館が所蔵する版画作品91点と、当時の日本の人々や風俗を記録した同時代の写真34点を併せて展示し、三菱一号館美術館所蔵の版画25点を加えて、清親が描いた浮世絵の最後のきらめきと、吉田博川瀬巴水らにいたる風景版画の流れ、写真との影響関係を展観します。 


このカタログブックには、ゲストキューレーターであるスミソニアン国立アジア美術館のフランク・フェルテンズさんと、三菱一号館美術館の野口玲一さんによる論文が載っていて、しっかりした内容を分かり易く語ってくれています。手に親しみ易い版型で、ページを繰るのが楽しいカタログブックに仕上がっています。 

2026年3月4日水曜日

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 1


 三菱一号館美術館「トワイライト、新版画――小林清親から川瀬巴水まで」5月24日まで
 

いま三菱一号館美術館で上記の特別展が開かれています。まずはそのカタログ――単行本としても販売されるカタログブックから、日本主催者の「ごあいさつ」を一部引用することにしましょう。

 

江戸時代に高い人気を誇った浮世絵版画は、明治期以降、写真や新聞、雑誌といった新しい技術やメディアの勃興により徐々に衰退し、「黄昏 (トワイライト)」の時代を迎えることになります。 こうした時代の移り変わりを受けて、大正から昭和初期には、伝統的な木版画の技法の復興を目指した版元渡邊庄三郎の働きかけにより、川瀬巴水や吉田博らの絵師たちを中心に「新版画」の作品が盛んにつくられるようになります。 彼らは技術ばかりでなく、清親らが画面に留めようとした情趣を引き継ぎ、 新しい日本の風景を発見していきました。 その高い芸術性は欧米を中心に衝撃をもって受け入れられ、現在も熱烈に評価されています。

2026年3月3日火曜日

オチャケならぬお茶が大好きな方々に絶対おススメの「出光美術館蔵 茶道具名品展」が大倉集古館で開かれています!! 14

 


 川柳だって負けていませんが、「いろりにてくどきおとして麦の中」というのはチョッと分かりにくい――しかし浜田義一郎先生「冬の内にいろり端でくどいて色よい返事を得てから、人目にふれぬほどに麦が生長するまで待って、思いをとげるという田舎のしんぼう強い色ごとである」という「鑑賞」を読めば、自然に笑みがこぼれてきます。ドリフターズの「誰かさんと誰かさんが麦畑」は江戸川柳から来ていです( ´艸`)

それはともかく、麦は古くから日本のイネ科植物として認識されていたのでしょう。狩野重信の時代、麦はどこでも容易に見ることができ、普通に食されていたことは、改めて指摘するまでもありません。つまり出光美術館所蔵の狩野重信筆「麦・芥子図屏風」は漢のヒナゲシ×和の麦というペアになるわけです。

 

  ヤジ「この間も北斎の『詩哥写真鏡』は日中和漢のペアだと言ってたけど、もうチョッと違う見方はできないの?」 


  

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 5

   川瀬巴水――懐かしい!!といった得もいえぬ気持ちにさせてくれる 版 画家です。 はっきりいって、パッと見たときの 圧倒的感動 は皆無です 。 美術史的興味を掻き立ててくれる、強烈な モチーフが 眼球に 飛び込んでくる わけでもありません。 もちろん官能を刺激 する 要素 は...