2026年3月25日水曜日

饒舌館長VS生成AI !! 蘆雪の「かわいい」に隠された世紀の見立てを巡る大激論 1

府中市美術館「春の江戸絵画まつり 長沢蘆雪」<5月10日まで> 

 待ちに待った東京初開催の長沢蘆雪独展が、府中市美術館で始まりました。府中市美術館にこの人ありと謳われる金子信久さんのキューレーションです。ワクワクしながら、初日オープンの10時前に逗子から駆けつければ、ザット500人以上の行列です――フェリッシモの限定子犬マスコット目当ての方も少なくなかったようですが( ´艸`)


 先日NHK青山文化講座「魅惑の日本美術展 必見ベスト6だ!!」で当然取り上げましたが、拝見した直後だったのでいつもより熱がこもった口演になったかな? 今回の「饒舌館長ブログ」では、タイトルにあるごとく生成AIのガセネタにだまされて、役にも立たない12000円の古本を買わされそうになった顛末を饒舌することにしましょう。チョッとは江戸絵画史の勉強にもなるかな?? 

2026年3月24日火曜日

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 21

 


 勿論、今日より見れば若干の誤膠あるやも計り難からん。併し、試みに思え其の著述年代を。前者は大正三年、後者は昭和六年の發版にして、我國浮世繪研究の草創期に當れり。而も、風景版畫若しくは末期浮世繪の眞美に着目したるは、殆ど氏を以て嚆矢とす。縦令、纔かの誤認あると雖も、畢竟夫は瑕瑾と云うも酷なるべし。余は此等に待峙せるとき、常に我が貧困なる審美眼に忸怩たるものあり。我が文章の拙劣、無味乾燥、慚愧に堪えざるものあり。 

余は兩書と邂逅する以前に於て、小島烏水氏の名を聞き及べり。其の所以は、我が父大學時代山岳部に所属し、山男を以て自認せり。輙書架に數十册の山岳書を蔵して、余の高校時代より讀まんことを強要す。取分、烏水氏の『日本アルプス』は必讀の推薦圖書なり。然りと雖も、余は唯地殻の高き箇所に、艱難辛苦して登攀することの欣快聊も理解し得ず、大下藤次郎畫伯の秀麗なる挿繪と、著者の姓名とを胸底に留むる耳にて止みぬ。 


ヤジ「こういうのを衒学趣味ペダンチズムというだ。『國華』で正字に固執し常用漢字に反対したそうだが、単なる衒学趣味にすぎなかったんだな!!」 

2026年3月23日月曜日

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 20


 余美術史學なる學問を専攻せり。就中我國の近世繪畫を専門分野とす。仍小島烏水氏の名著『浮世繪と風景畫』『江戸末期の浮世繪』等は大學時代より親炙せり。之を一讀、氏の豊饒なる美的感性に駭目せざる者、孰れにか在らん。巨いなる直感の羽翼を以て、錯綜せる浮世繪の峯嶺上を悠々と飛翔せり。文字通り鳥瞰的把握と言わん歟。美の死屍の如き調査報告に非ずして、氏の洗練せる眼孔を通して見たる一大■畫なり。片言隻句にも浮世繪に對する氏の甚深なる愛惜流露して、是自體「東海道五十三次」に劣らざる藝術作品なり。加之、所謂印象批評とは断然隔絶するものにして、考證の精確なること殆ど想像を絶したり 

はワードにも出てこないむずかしい漢字で、巾ヘンに「穴」カンムリと「登」を書きます。これに画をつけると「パノラマ」の意味になるらしく、烏水のある文章から引っ張ってきて使ったです。 

2026年3月22日日曜日

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 19

 


『國華』新版画特輯号には、その再評価をリードしてきた千葉市美術館の西山純子さんと、東京都江戸東京博物館の小山周子さんが素晴らしい論文を寄稿しています。お二人とも新版画の誕生際しきわめて重要な役割を果たした知識人として小島烏水こじまうすいあげています。拝読してこれをはじめて知ったとき、僕は驚くとともに快哉を叫びたいような気持ちになりました。 


小島烏水はこれまた尊敬して止まない浮世絵研究者にしてアルピニストだったからです。かつて大修館から『小島烏水全集』が発刊されたとき編纂者近藤信行さんから、その13巻月報に一文を寄せるよう求められたことがありました。僕は「烏水氏と私」と題して思い出を書くことにしたのですが、オマージュを込め、烏水美しい文体と正字を真似て擬古文したです。書き出しの節を紹介しますので、文字どおりご笑覧ください。 

2026年3月21日土曜日

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 18

 


これを読んだときすぐに思い出したのは、山口百恵が歌ってヒットした「いい日旅立ち」でした。言うまでもなく谷村新司作詞作曲JRプロジェクト・ディスカバージャパンのキャンペーンソングです。巴水サウダーデの旅と響きあう要素が、明らかに感じられるじゃ~ありませんか。 


 雪解け間近の北の空に向い  

過ぎ去りし日々の夢を叫ぶ時 

 帰らぬ人達熱い胸をよぎる  

せめて今日から一人きり旅に出る 

 あゝ日本のどこかに私を待ってる人がいる 

 いい日旅立ち夕焼けを探しに  

母の背中で聞いた歌を道連れに…… 

2026年3月20日金曜日

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 17


  三菱一号館美術館「トワイライト、新版画――小林清親から川瀬巴水まで」を内覧会で見せてもらったあとで、いま饒舌したような巴水風景版画サウダーデ心に浮かんできです。もちろん会場で作品を前にしたときは、ただいいなぁとながめるだけでしたが……。 

 しかし佐藤道信さんは、はじめに紹介した『國華』新版画特輯号巻頭言のなかで、巴水風景版画の社会的背景について、つぎのごとくとても興味深い指摘を行なっています。 


 最後に、とくに川瀬巴水の風景版画が感じさせる郷愁には、大正から昭和初期 (一九二〇三〇年代)に、国際観光事業の推進や史跡名勝保存、国立公園の指定等、 近代ツーリズムで新たに見出された日本や、江戸の風情を残す生活風景、関東大震災後の帝都復興によるモダン東京などがすべて混在し、「レトロモダ ン」の形になっていることである。

2026年3月19日木曜日

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 16


大正12年192510月12日、巴水は102日間の大取材旅行に出発しました。9月1日に起こった関東大震災により、巴水は188冊のスケッチ帖すべてを失ってしまいました。渡邊版画店も罹災、版木と新版画のほとんどが烏有に帰してしまいました 


失意の渡邊庄三郎は失意の巴水に旅へ出ることを勧めたのです。木曽・飛騨から日本海に抜け、さらに近畿・東海を巡る大旅行でした。このサウダーデの旅を中心にして生まれた傑作シリーズが「旅みやげ第三集」でした 


一方モラエスが徳島伊賀町の四軒長屋で『日本精神』を脱稿したの、大正12年のことでした。時代的にも、巴水とモラエスにおけるサウダーデの旅は重なっていたのです。もっともモラエスのサウダーデは、新田次郎が連載小説のタイトルにしたように「孤愁」でした。しかしつねに鼓舞してくれる渡邊庄三郎とすぐれた彫師・摺師に囲まれた巴水が、孤愁など感じることは絶えてなかったでしょう。 

 

饒舌館長VS生成AI !! 蘆雪の「かわいい」に隠された世紀の見立てを巡る大激論 1

府中市美術館「春の江戸絵画まつり 長沢蘆雪」<5月10日まで>    待ちに待った東京初開催の長沢蘆雪 単 独展が、府中市美術館で始まりました。 府中市美術 館にこの人ありと 謳われる 、 金子信久さん のキューレーション です。 ワクワクしながら、初日オープンの10時前に逗子か...