2026年3月22日日曜日

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 19

 


『國華』新版画特輯号には、その再評価をリードしてきた千葉市美術館の西山純子さんと、東京都江戸東京博物館の小山周子さんが素晴らしい論文を寄稿しています。お二人とも新版画の誕生際しきわめて重要な役割を果たした知識人として小島烏水こじまうすいあげています。拝読してこれをはじめて知ったとき、僕は驚くとともに快哉を叫びたいような気持ちになりました。 


小島烏水はこれまた尊敬して止まない浮世絵研究者にしてアルピニストだったからです。かつて大修館から『小島烏水全集』が発刊されたとき編纂者近藤信行さんから、その13巻月報に一文を寄せるよう求められたことがありました。僕は「烏水氏と私」と題して思い出を書くことにしたのですが、オマージュを込め、烏水美しい文体と正字を真似て擬古文したです。書き出しの節を紹介しますので、文字どおりご笑覧ください。 

2026年3月21日土曜日

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 18

 


これを読んだときすぐに思い出したのは、山口百恵が歌ってヒットした「いい日旅立ち」でした。言うまでもなく谷村新司作詞作曲JRプロジェクト・ディスカバージャパンのキャンペーンソングです。巴水サウダーデの旅と響きあう要素が、明らかに感じられるじゃ~ありませんか。 


 雪解け間近の北の空に向い  

過ぎ去りし日々の夢を叫ぶ時 

 帰らぬ人達熱い胸をよぎる  

せめて今日から一人きり旅に出る 

 あゝ日本のどこかに私を待ってる人がいる 

 いい日旅立ち夕焼けを探しに  

母の背中で聞いた歌を道連れに…… 

2026年3月20日金曜日

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 17


  三菱一号館美術館「トワイライト、新版画――小林清親から川瀬巴水まで」を内覧会で見せてもらったあとで、いま饒舌したような巴水風景版画サウダーデ心に浮かんできです。もちろん会場で作品を前にしたときは、ただいいなぁとながめるだけでしたが……。 

 しかし佐藤道信さんは、はじめに紹介した『國華』新版画特輯号巻頭言のなかで、巴水風景版画の社会的背景について、つぎのごとくとても興味深い指摘を行なっています。 


 最後に、とくに川瀬巴水の風景版画が感じさせる郷愁には、大正から昭和初期 (一九二〇三〇年代)に、国際観光事業の推進や史跡名勝保存、国立公園の指定等、 近代ツーリズムで新たに見出された日本や、江戸の風情を残す生活風景、関東大震災後の帝都復興によるモダン東京などがすべて混在し、「レトロモダ ン」の形になっていることである。

2026年3月19日木曜日

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 16


大正12年192510月12日、巴水は102日間の大取材旅行に出発しました。9月1日に起こった関東大震災により、巴水は188冊のスケッチ帖すべてを失ってしまいました。渡邊版画店も罹災、版木と新版画のほとんどが烏有に帰してしまいました 


失意の渡邊庄三郎は失意の巴水に旅へ出ることを勧めたのです。木曽・飛騨から日本海に抜け、さらに近畿・東海を巡る大旅行でした。このサウダーデの旅を中心にして生まれた傑作シリーズが「旅みやげ第三集」でした 


一方モラエスが徳島伊賀町の四軒長屋で『日本精神』を脱稿したの、大正12年のことでした。時代的にも、巴水とモラエスにおけるサウダーデの旅は重なっていたのです。もっともモラエスのサウダーデは、新田次郎が連載小説のタイトルにしたように「孤愁」でした。しかしつねに鼓舞してくれる渡邊庄三郎とすぐれた彫師・摺師に囲まれた巴水が、孤愁など感じることは絶えてなかったでしょう。 

 

2026年3月18日水曜日

NHK青山文化講座「魅惑の日本美術展 絶対ベスト6だ!!」が始まります。「必見ベスト6だ!!」は本日無事終了❣❣❣

 

魅惑の日本美術展 絶対ベスト6だ!!

講師
東京大学名誉教授・出光美術館理事 河野 元昭
カテゴリー

絶対ベスト6はこれだ!

日本は美の国です。美術のまほろばです。絵画彫刻工芸のシャングリラです。だからこそ、素晴らしい美術展がたくさん開かれ、老若男女を問わず多くの人々に感動を与えて止むことがないのです。それは文字情報とは異なる真の教養を高め、明日を生きるためのエネルギーを心に注ぎ込んでくれます。美術ブログでお馴染みの「饒舌館長」こと河野元昭先生が選ぶ2026年度上半期日本美術展絶対ベスト6だ!で予習をしてから出かければ、もうカタログなんか買う必要はありません(!?)

  • 河野 元昭先生

受講申し込み

講座の詳細

教室名青山教室残 席あります
開催期間4/15~9/16曜日・日時第3水曜 10:30~12:00
回 数6回途中受講できます
受講形態対面型
コース受講料(税込み)教材費(税込み)
会員24,948円

日程

2026/04/15(水)
2026/05/20(水)
2026/06/17(水)
2026/07/15(水)
2026/08/19(水)
2026/09/16(水)

4月根津美術館「光琳派――国宝『燕子花図』と尾形光琳のフォロアーたち」
5月サントリー美術館「ゴールドマンコレクション 河鍋暁斎の世界」
6月山種美術館「開館60周年記念特別展 川合玉堂」
7月東京国立博物館「空海と真言の秘宝」
8月東京都美術館「大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱――海を越えた江戸絵画」
9月静嘉堂文庫美術館「民藝SHOCK!! 没後60年 静嘉堂の河井寛次郎」

持ち物

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 15

 


モラエスは「以上諸点の総括」の章でも、「改革の大演劇」によって「美という美がすべて荒廃しつつある」ことを慨嘆しています。荒廃のなかに残るわずかな美を探し求めた、サウダーデの旅の結晶が『日本精神』をはじめとするモラエスの著作だったように感じられます。 


旅の画家とたたえられる川瀬巴水の取材旅行も、日本各地に残存する美を捜し求めるサウダーデの旅だったのではないでしょうか。いくら近代化が進んでも、つまり西欧化が進んでも、巴水の慧眼は失われることなき根生いの美を、行く先々で発見することができました。それは巴水におけるサウダーデの旅であり、その結晶が巴水新版画だったのです

 

西欧化によって壊されようとする<日本>のなかに<日本>を捜し求める、モラエスと巴水の視線は同じ方向を向いていたんです。 

2026年3月17日火曜日

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 14

 


川瀬巴水は「サウダーデの風景版画家」と呼ばれるべきです!! しかしその理由はもう一つありますモラエスが芸術と文学の章に、つぎのごとく書き記しているからです。

 

ふんだんに日本の土地をゆさぶって家屋を倒壊させる地震には、日本は家屋をふたたび廃墟から起こして打ち勝つことができる。芸術を破壊する激変には、日本も打ち勝つすべを知らない。毎日破壊に破壊を重ねて、それを救う希望を失くするほかなき有様である。日本に侵入する西洋文明の旋風が、この避くべからざる不快の不幸な原因だ。 


 モラエスも明治維新によって怒涛のごとく押し寄せた西欧文明が、日本の芸術を破壊したと見なす西欧知識人の一人でした。


今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 19

  『國華』新版画特輯号には、その再評価をリードしてきた千葉市美術館の西山純子さんと、東京都江戸東京博物館の小山周 子さんが素晴らしい論文を寄稿しています。お二人とも新版画の誕生 に 際し 、 きわめて重要な役割を果たした 知識人 として小島烏水 こじま うすい を あげています...