2022年9月28日水曜日

久米美術館「久米桂一郎日本絵画コレクション展」2


 近代歴史学の祖・久米邦武と、その長男で近代洋画をリードした久米桂一郎を記念する久米美術館には、もちろん桂一郎の傑作がたくさん所蔵されているわけですが、恥ずかしながら今回はじめてお邪魔したという次第なんです。開館はちょうど40年前の昭和57年(1982)だというのに……。

饒舌館長の印象に残っている久米桂一郎の作品は、かつて三重県立美術館で見た「秋景下図」という作品ただ一点です。タイトルに「下図」とありますが、よく描き込まれ、サインも入っていて、完成画のように見えるのが不思議でした。しかし今回ネットで調べると、久米美術館にこの完成画らしい作品が収蔵されているようなので、やはり下図なのかな? 

いよいよ始まった「久米桂一郎日本絵画コレクション展」のチラシをそのまま引いておくことにしましょう。

2022年9月27日火曜日

久米美術館「久米桂一郎日本絵画コレクション展」1

 

久米美術館「久米桂一郎日本絵画コレクション展 明治の洋画家が愛した日本美術」

 目黒の久米美術館で「久米桂一郎日本絵画コレクション展 明治の洋画家が愛した日本美術」の「前期展 文人画・写生画・近代日本画を中心に」が始まりました。1023日までです。続いて「後期展 狩野派・琳派・浮世絵を中心に」<1029日~1127日>が開かれます。

かつてジャン・カルロ・カルツァさんが主宰したシンポジウム「20世紀の日本美術」で、黒田清輝について口頭発表をしたことがあります。桂一郎については、そのとき清輝と一緒にチョット調べたことがあるといった程度なんです。というわけで、饒舌館長も饒舌になれないのが至極残念です()

2022年9月26日月曜日

与謝野晶子私論22

(正岡)子規子は集むるよりも寧むしろ選ばんと欲し、彼(鉄幹)は選ぶに遑いとまあらずして大おおいに喚さけび大に致す、故に子規の事業が時間的に永からんとするに反して、彼が事業は空間的に大ならんとす。

今の世詩人文人、凡庸の頭顱とうろ累々、桝ますを以て量はかるべし、その中より天才を求むれば、散文家として泉鏡花、韻文家としては鳳晶子の二人あるのみ。

鉄幹と晶子の詩を比ぶるに、似たもの夫婦の関係にあらずして、乳兄弟の関係にあり。四季中晶子は最も春を愛し、鉄幹は最も夏を愛すといふ。要するに二人の詩は積極的なり。……秋旻しゅうびんより悲哀を看取せざるところ、彼等が楽天的なる所以ゆえんにして、東洋詩人としては愈いよいよ珍しといふも是に在り。

 

2022年9月25日日曜日

与謝野晶子私論21

 

『小島烏水全集』をほとんど一人で、しかもものすごい緻密さをもって校訂と編集を行なったのは、名著『小島烏水 山の風流使者伝』を著わした近藤信行先生です。先々月『朝日新聞』の死亡記事で、717日に91歳でお亡くなりになったことを知りました。月報エッセー執筆の機会を与えていただいたことを改めて感謝するとともに、こころからご冥福をお祈りしたいと存じます。

小島烏水の「与謝野鉄幹と鳳晶子」も、鉄幹・晶子研究者にはよく知られているのでしょうが、一般的にはどうでしょうか? その数節を掲げながら、この私見、いや、独断と偏見に終止符を打つことにしましょう。

2022年9月24日土曜日

与謝野晶子私論20

 

ここで小島烏水に登場してもらいましょう。名著『浮世絵と風絵画』を著わした小島烏水のほぼすべての著作は、『小島烏水全集』14巻+別巻(大修館書店)にまとめられています。その第14巻月報に、「烏水氏と私」というエッセーを書いた僕にとって、忘れることができない浮世絵研究者です。

しかし一般的には、アルピニストとして有名でしょう。かつて感動をもって観た映画『剣岳 点の記』では、仲村トオルが烏水を好演、いま苦境に耐える香川照之が演じる山案内人・宇治長次郎のライバルとして登場していました。

『小島烏水全集』第3巻に収録される「与謝野鉄幹と鳳晶子」は、烏水も編集をつとめた青年投稿雑誌『文庫』に発表された月旦評で、明治361015日の刊行だそうですから、『みだれ髪』の2年後、文字通りの同時代批評ということになります。

2022年9月23日金曜日

与謝野晶子私論19


 『源氏物語』に次いで、『曽我物語』もお礼を言わなければなりません。長いあいだ僕は、『日本古典全集』の『曽我物語』を使ってきたからです。この編纂者は鉄幹+晶子+正宗敦夫の3人ですが、国文学者で歌人の正宗敦夫が中心となったことは明らかだと思います。しかし晶子と鉄幹が、何らかの形で関与したことは疑いないでしょう。

ちなみに、正宗敦夫は有名な小説家・正宗白鳥の弟です。僕にとっては富岡鉄斎の研究家として親しい洋画家・正宗得三郎の兄です。正宗敦夫は収集典籍を保存するため、現在に伝わる正宗文庫を創設しました。江戸絵画史とも関係浅からず、キコウ本である浦上玉堂の『玉堂琴士集』前集・後集の揃いと、玉堂七弦琴を所蔵している文庫として知られています。

2022年9月22日木曜日

与謝野晶子私論18

 

しかし「著者の資料分析や考証を読者が共に追いかける記述は、学術書という定義を越え、上質な推理小説を読むに似た興奮を与える」そうです。『朝日新聞』の記事でも、本のタイトルより大きな活字で「上質な推理小説 読むような興奮」という見出しがつけられています。最後に「!!」をつけるともっと効果的であったような気もしますが()、洛陽の紙価の高まらんことを!!

神野藤昭夫さんという珍しいお名前も今回はじめて知りました。『晶子源氏』で省エネをはかったような饒舌館長とは月とスッポン、きわめて真摯な国文学研究者であることを、澤田瞳子さんが教えてくれました。

久米美術館「久米桂一郎日本絵画コレクション展」2

 近代歴史学の祖・久米邦武と、その長男で近代洋画をリードした久米桂一郎を記念する久米美術館には、もちろん桂一郎の傑作がたくさん所蔵されているわけですが、恥ずかしながら今回はじめてお邪魔したという次第なんです。開館はちょうど 40 年前の昭和 57 年( 1982 )だというのに…...