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2026年7月6日月曜日

川合康三さんの『偏愛的漢詩雑記帖』は<饒舌館長>の偏愛的おススメ本です!!!5

 


大学院生だった二十代のころ、こんな話を聞いたことがあった。京都の女子大で国文学を講じておられた或る老教授は、教室で和歌を一首、静かに詠み上げる。しばらく沈黙をおいたあと、「いいですなあ」と一言、感に堪えない声を発する。そうして次の歌に移り、また同じことを繰り返すのだという。


それこそ「いいですなあ」と言いたくなるお話ですが、僕が西洋美術史を教えていただいた吉川逸治先生もまったく同じでした。美術史の講義ですから、スライドを映しながら進めるわけですが、その係はもちろん学生です。


先生がお持ちになった35㍉スライドを、2枚同時にセットできる滑動式の装着器に入れて順番に映すです。学生が最初の1枚をスクリーンに映し出すと、吉川先生はしばらく沈黙をおいたあと、一言「いいですねぇ、はい次」とおっしゃって、授業は厳粛にというか、静粛に進んでいくです。

2026年7月5日日曜日

7月21日・日本アート評価保存協会主催・饒舌館長口演+ミニコンサート・於アイアート


 

川合康三さんの『偏愛的漢詩雑記帖』は<饒舌館長>の偏愛的おススメ本です!!!4

 


 さらに川合康三さんの趣味を、僕が知らずに追いかけていたことを知って、「ヤッター」という気分になりました。というのは、川合さんの卒業論文が「李賀論」であったからです。『偏愛的漢詩雑記帖』に青木正児まさる先生の夭折詩人観を引きながらお書きになっています


草森紳一さんのような熱狂的ファンとはいわないまでも、いまは亡き天羽直之さんからヨイショされて、「わが愛する唐詩人・李賀」という拙文を『國華清話会会報』に書いちゃったこともあるです。また「饒舌館長ブログ」には、何度も李賀へのオマージュをアップしたように思います。 


偏愛的漢詩雑記帖』のコシマキには「いいですなあ 川合康三」とあります。これは京都の女子大学で国文学を講じていた或る老教授が、授業で繰返し発する感嘆詞だったそうです。川合さんはつぎのように書いています。

2026年7月4日土曜日

川合康三さんの『偏愛的漢詩雑記帖』は<饒舌館長>の偏愛的おススメ本です!!!3


  小川環樹先生は、かの大部なる『文選』であっても通読せよというのですから、『中国文学歳時記』賛酒詩だけのつまみ食いなんていうのは、問題外の外なのでしょう。しかし『文選』にしろ『中国文学歳時記』にしろ、そもそも「つまみ食い本」なんですから、コチトラもつまみ食いで構わないじゃないのかな( ´艸`)

この『文選』にまつわるエピソードの発端は、そのころ川合康三さんが愛読していた永井荷風の『断腸亭日乗』にあったというのですから、『断腸亭日乗』ファンの僕がうれしくならないはずがありません。


朝、ある場所で『断腸亭日乗』を拾い読みすることその「一盗二婢三妓四妾五妻」問題(!?)については、かつてアップしたことがあるように思います。去年、前田恭二さんの『統制百馬鹿 水島爾保布 戦中毒舌集(岩波書店 2025年)を紹介したときも使ったはずです

2026年7月3日金曜日

川合康三さんの『偏愛的漢詩雑記帖』は<饒舌館長>の偏愛的おススメ本です!!!2

 


はじめて僕が川合康三さんのお名前を知ったのは、これまで何度かアップした『中国文学歳時記』(同朋舎)を読んだときでした。読んだといっても、「玉堂と酒」なる駄文を書くため、『中国文学歳時記』から飲酒詩――僕のいう賛酒詩を探しただけです。そのなかに范成大の「春日田園雑興」がありましたが、解説担当は川合さんでした。


「田園雑興」は尊敬する渡辺崋山が愛して止まなかった范成大の連作で。また僕が最初に暗唱できるようになった漢詩は、「春日田園雑興」の「フーディエシュアンシュアンルーツァイホァ……」という一首だったので、とくに印象深く、おのずと川合康三さんのお名前も脳裏に刻まれただと思います。


つまり『中国文学歳時記』は拾い読みというか、つまみ食いというか、賛酒詩を探して読んだだけなです。しかし川合さんは、学生のころ小川環樹先生から本というものは最初から最後まで通して読むものなんだよとたしなめられた思い出を語っています。

2026年7月2日木曜日

川合康三さんの『偏愛的漢詩雑記帖』は<饒舌館長>の偏愛的おススメ本です!!!1

 

 そのうち読もうと思っていた川合康三さんの『偏愛的漢詩雑記帖』(2024年)を、著者自身からプレゼントされてしまいました。けっしてオネダリしたわけじゃ~ありませんよ( ´艸`) 出版したのは大修館書店――すでに所蔵する『石川忠久中西進の漢詩歓談』、串田久治・諸田龍美『漢詩酔談』と併せて大修館面白漢詩本3部作と呼びたいですね。『偏愛的漢詩雑記帖』は他の2冊とちがって対談本じゃなく、ウェブサイトに連載した偏愛的エッセーに書下ろしを加えてまとめた一書です。


川合康三さん――漢詩研究、とくに唐詩研究の権威です。もっとも「権威」などというと、ご本人はかえって眉を顰められるかもしれませんが、「その道で第一人者と認められている人」(『広辞苑』)であることを認めない人はいないでしょう。当然「川合先生」とお呼びすべきところですが、「饒舌館長ブログ」では白玉楼中の人となった研究者のみ「先生」とすることになっていますのでお許しください。

2026年7月1日水曜日

荻生徂徠の賛酒詩がスゴクいい❣❣❣ 『荻生徂徠全詩』3<東洋文庫>饒舌館長ベストテン 14


 荻生徂徠「折楊柳」

 色町章台 春景色 楊柳やなぎの枝にも満ちる春

 ところがすぐに折り取られ 貴君のものになっちゃった

 しかし嘆かず必ずや 明日は秋風 吹くだろう

 容色なんて昔から 長持ちをするものじゃない


      賛酒詩ではありませんが、酒色一致説(!?)により、番外の一首をアップすることにしましょう。『荻生徂徠全詩』によれば「ところがすぐに折り取られ 他人のものになっちゃった」となりますが、徂徠の愛妓が仲間か弟子に心を移したので、悔し紛れに詠んだ一種の艶詩と解釈しました( ´艸`) いずれにせよこの詩は、盛唐から中唐にかけて活躍した韓翃かんこうの詩を踏まえるそうでが、韓翃といえばやはり楊殿武編『唐詩一百首』(中華書店)で馴染む「寒食」ですね

 

韓翃「寒食」

   春を迎えた長安は 舞う花びらで覆われる

   今日は寒食 春風に お堀の柳も揺れている

   夕方 御所より新しき 蝋燭ろうそくの火が下賜されて

   青い煙をあげながら 家臣の家に入ってく

川合康三さんの『偏愛的漢詩雑記帖』は<饒舌館長>の偏愛的おススメ本です!!!5

  大学院生だった二十代のころ、こんな話を聞いたことがあった。京都の女子大で国文学を講じておられた或る老教授は、教室で和歌を一首、静かに詠み上げる。しばらく沈黙をおいたあと、「いいですなあ」と一言、感に堪えない声を発する。そうして次の歌に移り、また同じことを繰り返すのだという。 ...