荒井健さんと田口一郎さんが訳注を加えた『荻生徂徠全詩』第2巻から、夏の詩5首を選んでマイ戯訳を紹介させてもらいました。みんな格調が高く、均衡に破綻がなく、イメージが明晰です。もうほとんど唐詩に肩を並べるといった感じです。
しかしチョット意地の悪い言い方をすれば、お高くとまっていて、あまりに典拠引用が複雑にからみ、一体ぜんたい徂徠自身の感動や発見や情趣はどこにあるの?ということになります。それへの反動として、江戸時代も半ばを過ぎるころ、富士川英郎先生おっしゃるところの「江戸後期の詩人たち」、とくに清新性霊派の詩人たちが澎湃として出現したのも、当然の成り行きであったでしょう。
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