140万アクセスを突破しました❣❣❣皆さんありがとうございました❣❣❣

2018年8月7日火曜日

大原美術館美術講座8


C勅使河原純『菱田春草とその時代』(六芸書房 1982)

そこへ提出されたのが、春草の「寡婦と孤児」であったのだ。少なからず世を憚る、戦争批判の臭いをもったこの作品に対して、岡倉校長は躊躇なく優等第一席の評価を下した。いわゆる戦争画、それも血の流れている場面などを特に喜んだといわれる一般の趣味とは、およそ対照的な態度である。岡倉は決して戦争画を認めず、弟子達にも描くことを許さなかった。この点で彼の立場は一貫し、生涯決して揺れることはなかった。

2018年8月6日月曜日

大原美術館美術講座7


B辻惟雄「メトロポリタン美術館蔵『保元・平治物語図屏風』について」
                      (日本屏風絵集成5 講談社 1979)
保元元年(1156)七月と、元治元年(1159)十二月の再度にわたり、京を舞台に、華々しく、そしてあっけなく展開終結した保元・平治の乱は、歴史上では中世の幕開けを告げる意義を持つものであった。事件の顛末は潤色されて為朝や悪源太といった英雄像をつくり出し、さらに義経・頼朝の後日譚などをそえ、保元・平治物語として人びとに愛誦されるようになる。この屏風の画題内容は、合戦を主題としながらも、全体として物語の一部始終を、片双を保元絵に、片双を平治絵に分けてくわしくたどったものであり、そのいみでは「合戦絵」と呼ぶよりむしろ「物語絵」とした方がふさわしい。



2018年8月5日日曜日

大原美術館美術講座6


参考資料

A宮次男『合戦絵』<日本の美術146>(至文堂 1978)

かかる点からいって、本絵巻(「蒙古襲来絵巻」)には鎌倉武士の合戦絵に対する態度がはっきり表わされており、前期の戦記絵巻とは異なった、武家の美意識に基づく作品とみなすことができるのである。換言すれば、「平治物語絵巻」を頂点とする戦記絵巻が公家社会の所産として、浪漫的で文学性豊かな表現をもっていたのに対し「蒙古襲来絵巻」は武家的絵画として、現実的で記録性を重んじた造形ということができるのである。そして、この性格がいわば車の両輪となって、日本の合戦絵は展開していくのである。

2018年8月4日土曜日

大原美術館美術講座5


マイベストテン

①    平治物語絵巻(ボストン美術館・静嘉堂文庫美術館・東京国立博物館蔵)

②    蒙古襲来絵巻(宮内庁三の丸尚蔵館蔵)

③    伝土佐光信「保元平治合戦図屏風」(メトロポリタン美術館蔵)

④    伝土佐光吉「関が原合戦図屏風<津軽屏風>」(大阪歴史博物館蔵)

⑤    俵屋宗達「扇面貼交屏風<保元平治絵押絵貼屏風>」(宮内庁三の丸尚蔵館蔵)

⑥    伝八郎兵衛(久左衛門)「大坂夏の陣図屏風<黒田屏風>」(大阪城天守閣蔵)

⑦    狩野探幽「一ノ谷合戦・二度之懸図屏風」(静岡県立美術館蔵)

⑧    海北友雪「一ノ谷合戦図屏風」(埼玉県立博物館蔵)

⑨    歌川国芳「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」

⑩  松本楓湖「蒙古襲来・碧蹄館図屏風」(静嘉堂文庫美術館蔵)

2018年8月3日金曜日

大原美術館美術講座4


キーワード

 戦争画

 合戦絵

  平安時代末より制作される

  「後三年合戦絵巻」(後白河院が制作を命じる 吉田経房『吉記』)

  「平将門合戦絵巻」(将軍実朝京へ注文する『吾妻鏡』 幼少将軍教育啓蒙?)

  後崇光院『看聞御記』における室町初期天皇公家合戦絵鑑賞の事例

  鎌倉中期以降の合戦絵が遺る

 画面形式 合戦絵巻 合戦屏風 武者絵 出陣 対峙 合戦 戦時戦後生活

 凱旋 敗戦 記録画 戦勝記念 武功顕彰 教育啓蒙 戦意高揚 反戦画

2018年8月2日木曜日

大原美術館美術講座3


会田さんの「戦争画RETURNS」シリーズを象徴する「紐育空爆之図」は、秋田県立近代美術館で開催した特別展「ネオテニー・ジャパン」のときに、とても強い印象を与えられた傑作です。また、その後コンテンポラリー・アートを語るときには、必ず会田エロティシズムのみごとな視覚化である「群娘図」に指を折っていたので、ワクワクしながらそのナイーブな肉声に聞き入りました。

マイトークはともかく、配布資料――とくにその参考資料はきっとお役に立つと思いますので、以下にアップすることにしましょう。ただし、マイブログ「饒舌館長」から引用した<五島美術館「光彩の巧み 瑠璃・玻璃・七宝」>印象記は、すでにみなさんご存知のところですのでカットいたしました。

ところで、僕の独断偏見は、①わが国の合戦絵は合戦絵じゃなく物語絵である。②屏風・絵巻という大画面・長尺画面がその基底を支えている。③作戦記録画やコンテンポラリー・アートにまで、日本美のDNAは生きている――というものでしたが、それはともかく、銘酒「荒走り」を心ゆくまで堪能した歓迎会を含めて、じつに楽しい2日間となったのでした(笑)

*お元気な方はすべて「さん」とお呼びするのが「饒舌館長」ですので、失礼の段、どうぞお許しくださいませ。



2018年8月1日水曜日

大原美術館美術講座2


しかしこれは、饒舌館長としてまたまた独断と偏見を開陳し、静嘉堂文庫美術館および企画展「明治150年記念 明治からの贈り物」を宣伝するグッドチャンスだと思い、いつものごとく即断即決、お引き受けすることにしました。はじめ「なぜ、描かれたのか? 戦いの表象――平治物語絵巻から日本現代アートまで」というタイトルを考えました。

考えましたが、ちょっと僭越だと思い返し、鎌倉時代の「平治物語絵巻」から、明治時代の松本楓湖筆「蒙古襲来・碧蹄館図屏風」まで、マイベストテンを選んでしゃべることにしました。両者とも、静嘉堂文庫美術館コレクションとなっているところがミソです(笑) 

三浦さんの「西洋の戦争表象とその広がり――19世紀フランス絵画から藤田嗣治の戦争画へ」、会田さんの「雑感・戦争と美術」、高階さんの「記録と記憶――イメージの力」が、刺激に満ちた発表であったことは、改めていうもでもありません。

東京都美術館「大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱 海を越えた江戸絵画」2

  大英博物館は、日本の美術工芸品と考古遺物の広範かつ包括的な収蔵品で世界に知られ、ヨーロッパでは最も充実しており、日本国外でも特に重要なもののひとつとみなされています。日本に由来する品は、当館の礎である1753年設立時点の収蔵品にも含まれていましたが、 数百年のうちに各種分野に...