荻生徂徠「稲子善の作に次韻す 五首」(5)
江戸城 紫煙に囲まれて 東海 潮うしおが流れてる
はるかに夕日を眺めつつ 杯さかずき挙げて酒を酌む
富士の雄姿を見たいという 気持ちが君にあるならば
我が家の白雪楼からの 眺望 惜しまず差し上げよう
江戸城 紫煙に囲まれて 東海 潮うしおが流れてる
はるかに夕日を眺めつつ 杯さかずき挙げて酒を酌む
富士の雄姿を見たいという 気持ちが君にあるならば
我が家の白雪楼からの 眺望 惜しまず差し上げよう
荻生徂徠「余 五十なり。五城の左容翁、詩を恵まれ、侑くるに三物を以てす。仙台は地 霊なり。故に当に此の風流人有るべし。千里の思いに勝えず、併せて其の近作に和し共に四首をもて之に酬ゆ。豈に謝と云わんかな」(4)
牛込御門 雨 晴れて 石から青き天地の気……
高歌放吟まる三日 ようやく酔いも醒めたころ
仙鶴 鳴きつつどこからか 俺のところへ飛んで来た
空に留まる幽玄な 余韻に唱和したくなる
荻生徂徠「同に折楊柳を賦す 西の字」
今や宴うたげもたけなわだ 歌声 高く響かせよ
差しつ差されつ義兄弟 心 浮き立ち爽快だ
柳の枝を折りわがね 旅立つ人はすでに発つ
渭城の西のまた西に かの陽関はあるのだぞ!!
荻生徂徠「猗蘭君侯の韻に和し奉る」
紺碧の空 藁葺きの 家の周りは夏木立
酒杯 交わせば君侯の 才知に誰が及びましょう
かつ蘭台にゃ高雅なる 白雪残雪 歌う人
五弦の琴とのハーモニー 王者の涼しき風に乗り……
荻生徂徠「西台侯席上の作 二首」
玉の杯さかずき傾けりゃ 広がる琥珀の美酒の香かよ!!
「奔放不羈なる公主様!!」――やたらとみんなが持ち上げる
豪華に装う取り巻きが 無数に居ても酒泉なる
太守の印綬を戴ける 器量の人はおりますか?
春 醸かもされる新酒にいざけの 色は鬱金香うつこんこうに似て
やれば誰しも狂人の ごとくに酔ってしまいます
今の馮驩ふうかん立ち上がり 剣をたたくも無視をせよ!!
長い歌声ふと止めば 彼の気持ちがよく分かる
荻生徂徠「春日、君瑞・叔潭・潮師・子和集う。韻を青の字に分かたる」
江戸城南の草の色 色づき始める青々と……
二月の春風 芳しく 我が楊雄ようゆうの庵いおに吹く
侯芭こうはのごとき弟子が酒 一本 下げて来ないなら
『玄経』著者が住む辺も もの寂しかろう今もなお
荻生徂徠「美人 酒に中る」
かの楊貴妃を玄宗は 艶めく仙女と惚れたけど
この酔態を見たならば さらにお熱を上げただろう
ちゃんと黒髪 整えりゃ きっと眠りの足りてない
海棠みたいに妖艶に なると言うのはどこのバカ?
*この一首は注解を読んでもチョッと難解ですが、一応上掲のごとく戯訳を試みました。
荻生徂徠「楽寿君侯の早春の高作 落梅花を賦すに和し奉る」
花咲く梅の古き木の 東の宴席 曲水に
浮かぶ杯 美酒たたえ たけなわの春 映したり
風に花びらヒラヒラと 散るさまにふと興 覚ゆ
一体いずこの笛の音に 誘われ飛んでゆくのやら
荻生徂徠「又た感懐の韻に次す(3) 」
豪華な宴席 照り映える 花に風さえ寒からず
才華あふれる詩や歌が 公きみの歓びたたえたり
今宵 梁園 思わせる この名園で雪見酒
かの応瑒おうとうや徐幹じょかんさえ 居るがごとくに盛り上がる
*弟子の服部南郭「感懐二首」に次韻した詩ですが、この第3首は徂徠が自由に詠んだ詩 だそうです。
河鍋暁斎は本物のゾウを目にしつつ、 楽しい戯画へと転換しました。 江戸時代に将軍吉宗に献上されたゾウが一大ブームを巻き起こしたことで、山王祭に巨大なゾウのつ くりものが登場しました。 幕末からは、ゾウが見世物やサーカスの、 そして動物園の人気者となりました。 ところが戦時下で...