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2018年12月7日金曜日

イセ・ベトナム・シンポジウム「現代アートと伝統」1


イセ文化財団・ベトナム工業美術大学「日越外交関係樹立45周年記念シンポジウム 現代アートの中の伝統との出会い」(123日)

 1973年、日本とベトナム民主共和国(北ベトナム)との間に、大使級の外交関係が樹立されてから、ちょうど45年目を迎えました。これを記念して、イセ文化財団とベトナム工業大学の主催で、「現代アートの中の伝統との出会い」と題するシンポジウムが開かれることになりました。在ベトナム日本国大使館も後援してくれました。これ以上の喜びはありません。

イセ文化財団理事長・伊勢彦信さんが立ち上げた日本アート評価保存協会の仕事をお手伝いしている僕に、スピーカーの依頼が来たのは半年前、二つ返事でお引き受けしたことは、改めて言うまでもありません。

ベトナムといえば、本郷3丁目交差点近くに「ミュン」というベトナム・レストランがあり、ときどき食べに行ったことを思い出します。東洋文庫ミュージアム・ショップでもとめたベトナムの「青花魚介文猪口」は、熱燗を一杯やるときに欠かせません。

2018年12月6日木曜日

中村眞彦さんの太極剣と太極刀2


もう一振りは、さきに柳葉刀と呼んだ中国刀で、刃の方にカーブがあり、とても重く、頑丈な作りになっています。『太極拳辞典』では、「太極刀」として説明が加えられていますが、「柳葉刀」という語はとくに見つからないようでした。

先にもアップしたように、奇美美術館には日本刀に似た中国刀も陳列してあったので、この点を眞彦さんにお訊ねすると、それは「楊式太極刀」に近いものであろうというお話でした。楊式太極刀は全体にカーブしていて、日本刀に近いフォルムだそうですが、残念ながら『太極拳辞典』に挿図は載っていませんでした。

眞彦さんのお陰で、現物を見るだけでなく、『太極拳辞典』を読みながら手に取ることができたので、中国の刀剣について具体的に理解することが容易になった、とてもうれしいその日の午後でした。


2018年12月5日水曜日

中村眞彦さんの太極剣と太極刀1


 「中村奨学会」については、すでに紹介したことがありますね。それを主宰しているのは、中村眞彦さん・まり子さんご夫妻です。その眞彦さんは太極拳の大ファンで、日々研鑽をかさねていらっしゃいます。

先日、京都国立美術館で開催中の特別展「京のかたな 匠のわざと雅のこころ」をアップし、日本刀の反りについて、改めて私見を述べました。そのとき台南・奇美美術館で見る機会があった柳葉刀こそ、中国の剣舞や太極拳で使われる中国刀の中心をなすものであり、これを日本刀と比較すればおもしろいことを言い添えました。

これを見た眞彦さんが、いつもお使いの2振りと、楊麗著『太極拳辞典』(北京体育大学出版社 2004)を携えて、静嘉堂文庫美術館を訪ねてくださいました。一振りは直刀で、太極拳では、むしろこちらの方がより一層尊重され、広く用いられるそうです。『太極拳辞典』に「太極剣」とある剣器がこれにあたります。

2018年12月4日火曜日

パナソニック汐留ミュージアム「ジョルジュ・ルオー」4


今日でも、迷った夢想家のような芸術家があって、中世に戻ることを願い、人々がおのおの自分の家に美しい装飾の一片を彫刻した時代、すべての村の教会がそれぞれの「聖母と幼な子」を持っていた時代、一ト口で言えば、芸術と人生と宗教とが手を取って進み、階級や職業によってきわどく引きはなされていなかった時代を憧憬れている。けれどもわれわれは時計を逆転させられない、たとえ分化によって何かを失っても得るところは多いのである。昔のオルケーストラの庭での無唱踊りは分化せざるものであり、それ自身の美があった。しかしその分化によって――芸術家と役者と観客との分離によって、われわれは実に劇[ドラマ]を得た。われわれは愛惜の眼を後方に向けてはならない。世界は新たな人生形式に向って前進する。そして今日の教会は明日の博物館とならねばならぬし、またなるべきである。


2018年12月3日月曜日

パナソニック汐留ミュージアム「ジョルジュ・ルオー」3


芸術とは何か。その根源的問いに応える碩学の名著。芸術の発祥を古代社会の祭式に求め、その移行の過程を、興味深い事実に基づいて論究し、併せて芸術と人生に及んだ必読の書

ちなみに僕がこの本のことを知ったのは、やはり桑原武夫氏の『一日一言』によってでした。99日に、「この日生まれたイギリスのギリシア学者」として、彼女が登場するからです。ところで、先に言った「有名な一節」とは次の文章です。桑原氏の引用にもうちょっと加えて、ここに紹介することにしましょう。

今一つのことでは表現派の一派である未来派が大体正当である。表現すべき情緒は今日の情緒であり、また明日の情緒ならなおさらよい。……真の生きた芸術があるとすれば、それはギリシア彫刻の鑑賞からも、民謡の復活からも、またギリシア劇の再演からさえも、起こってくるのではなく、今日現代的条件の中に生きる事物および人々にたいして感じる、敏感な情緒から起らねばならないのであって、そこには人生の深刻な他の形式とともに、近代の市街のあわただしさや、自動車や飛行機のうなりもふくまれねばならない。(略)

2018年12月2日日曜日

パナソニック汐留ミュージアム「ジョルジュ・ルオー」2


あのキリストを深く信仰した宗教画家であるルオーが、初期にはこんな現代風景を描いていたのです。ルオーが現代社会にも関心をもっていたことを知って、だからこそすぐれた宗教画家になれたんだと、僕は確信したことでした。

いくら2000年前の聖人キリストを取り上げるとしても、その根底に現代に対する関心がまったくなかったら、現代人を感動させるキリストは描けなかったにちがいありません。

そんなことを考えながら、そしてジェーン・エレン・ハリソンの『古代芸術と祭式』(筑摩叢書 1964)にある有名な一節を思い出しながら、僕はその「夜の風景 または よきサマリア人」に、心からのオマージュを捧げたのでした。

『古代芸術と祭式』の英語初版が出版されたのは1913年といいますから、もう一世紀以上まえに出た本ですが、名著だと思います。僕が名著だと思っているだけじゃありません。次のごとく、腰巻に「名著」だと書いてあるんです()

2018年12月1日土曜日

パナソニック汐留ミュージアム「ジョルジュ・ルオー」1


パナソニック汐留ミュージアム「開館15周年特別展 ジョルジュ・ルオー 聖なる芸術とモデルニテ」<129日まで>(1023日)

 パナソニック汐留ミュージアムは、ジョルジュ・ルオー作品のすぐれた蒐集でよく知られていますね。これにヴァチカン美術館やポンピドゥー・センター・パリ国立近代美術館、ルオー財団所蔵の作品などを加えて構成した、開館15周年を記念するにふさわしいジョルジュ・ルオー展です。併設されるルオー・ギャラリーでは、企画展とは別に、「ルオーの初期作品」というテーマ展が開かれています。

その中から新収品の「夜の風景 または よきサマリア人」を、「僕の一点」に選びたいと思います。紙に木炭、水彩、パステルを用いた作品だそうですが、ほとんど木炭だけで描いたのではないかと思われるほど、画面は黒々としています。

しかし眼を凝らすと、そこに現代の風景があらわれてきます。パリでしょうか。あるいはその近郊でしょうか。アパルトマンの日常生活、にょっきりと立つよく分からない近代的構造物、火を噴く工場の煙突?など、ルオーは時勢粧をヴィヴィッドにとらえています。


江戸東京博物館「江戸博×出光コレクション初共演 浮世へのいざない」4

   もっとも『肉筆浮世絵大観 3 < 出光美術館 > 』 に解説を担当した大久保純一さんは、 岩田秀行さんの教示に よると礼を尽くしつつ 、先の5代目岩井半四郎を初代岩井紫若 にあてて います。  満月を浮かべる青い夜空、川面に映る 月影や 往来する舟の影、役者や橋杭が地上に作...