100万アクセスを突破しました❣❣❣皆さんありがとうございました❣❣❣

2025年1月31日金曜日

東京国立博物館「大覚寺」10

 「僕の一点」は、やはり初めにあげた狩野山楽の彩管になる「牡丹図」「紅白梅図」の襖絵ですね。この豪壮華麗なるエネルギーに満ちた画面構成、それにもかかわらずいささかも失われていない豊かな叙情的感情、二つの対立する美意識が完全に溶け合って一つの個性美へ昇華していく不思議に幻惑されるのです。

山楽の師永徳とその子光信が世代を超え、最強タッグを組んで創り出したような、金碧桃山障壁画の最高傑作を東京で堪能できる千載一遇の機会がやってきました。

50年にすぎないのに、いや、それゆえにこそ時代の活気が沸騰し、爆発を起した安土桃山時代という日本歴史上稀有な時代の魅力を、この狩野山楽による二つの障壁画が直感的に理解させてくれるのです。しかも興味深いのは、この画家を生み出した安土桃山時代が、逆にこの画家を翻弄し苦しめたというパラドックスです。

 

2025年1月30日木曜日

東京国立博物館「大覚寺」9

 

実はいま開いているNHK文化センター青山教室講座「魅惑の日本美術展 これこそベスト6!!」に、早く本展を選んであったのですが、先日オープン前にミズテンでしゃべっちゃったので忸怩たるものがあり、初日に飛んでいったんです。後期高齢者はたいていラスト近くになっちゃうことが多いのですが() 

内覧会もご案内いただいていたのですが、残念ながら都合により出席叶わず……。それはともかく、ミズテントークができたのも金井さんのお陰、改めてお礼申し上げたいと思います。そして千載一遇ともいうべきこの特別展を、山楽・山雪ファンに、桃山障壁画が大好きなあなたに、広く日本美術に関心を寄せる皆さまに是非お勧めしたいのです。

グッズ購入者で大混雑の表慶館ハロー・キティ展を横目に見て、先ずは平成館へ!!


2025年1月29日水曜日

東京国立博物館「大覚寺」8

 

 弘仁元年(810)、嵯峨天皇は風光明媚なる嵯峨の地に嵯峨離宮を造営しました。天皇は弘法大師から勧められると、持仏堂に五大明王像を安置し、大飢饉が襲ってくるとみずから般若心経を書写してここに納めました。天皇崩御後の貞観18年(876)、淳和天皇の太皇太后となっていた皇女・正子内親王は、父と夫の遺徳を長く伝えるため、第二皇子の恒貞つねさだ親王――法名・恒寂ごうじゃく――を開山に迎えて寺号勅許を賜り、ここに大覚寺を開創したのです。

したがって来年令和8年(2026)は、大覚寺開創1150年を迎えることになります。「旧嵯峨御所大覚寺――百花繚乱 御所ゆかりの絵画――」は、この節目を記念しことほぐ特別展なのです。

本展を担当したのは金井裕子さん、先日みごとなキューレーションに感を深くしながら会場を回りました。しばらくぶりにお会いしてオマージュを捧げていると、かつて『國華』の原稿をお願いしたことなども思い出されてきたのです。金井さんは豪華カタログにも「百花繚乱――大覚寺をめぐる美術」という力作を寄せて、錦上花を添えています。


2025年1月28日火曜日

東京国立博物館「大覚寺」7

 

嵯峨天皇「内史貞主が『秋月歌』に和す」(続)

  木の葉みな散る洞庭湖 暮れてしまった――秋はもう

  夷狄いてき防御に出征の 夫つまは帰るの忘れたか?

  こんな月夜に妾わたしだけ この高殿に座ってる

  思いを胸に月みれば あぁ悲しみに耐え切れず

  くさむら露にしとど濡れ 真夜中しだくコオロギと

  明け方に吹く風に乗る 砧きぬたの声を聞いている

  明るい月は年ごとに 清らな色を変えないが

  これを眺める人だけが 年ごと白髪を増やしてく

  竹 映る窓 人気ひとけなく 物音さみしく寒々し

晩秋――ものみな頼りなく 人影まばらな柳の門

仙薬 盗んで月界へ 逃げた姮娥こうがの真似できず

ねやから月を眺めては わびしい独り寝 恨んでる

*唐の閨怨詩はほとんど男の空想ですが、それをさらに日本の天皇が想像して詠むという、きわめてソフィストケートされたというか、爛熟の極みというか……。これも一種の本歌取りかな()


2025年1月27日月曜日

東京国立博物館「大覚寺」6

 

嵯峨天皇「内史貞主が『秋月歌』に和す」

  空は秋の気 月光が 射し込んで来る静かな夜

  すだれを半ば巻き上げりゃ 満ちた月の輪 眼前に……

  取りすがろうと手を上げて みたって誰もできゃしない

  襟を開いて月影つきかげを 入れても胸まで届かない

  雲がかかって天空に 清き光はわずかだが

  風が雲 吹き払うとき 明らけくなる――見てる間に

  大きな秦しんの鏡のよう 山ぎわ離れ昇ってく

  色は楚国の白き絹 夜も白むかと錯覚す

  どんなに月が欠けてても やがて満ちてく十五夜に……

  この世の人はみな友だ 一つの月の下に居りゃ

  月光――秋に捨てられた 班女はんにょの白き扇のよう

  明月――かつて阮籍げんせきの 帷とばり照らしたのと同じ


2025年1月26日日曜日

東京国立博物館「大覚寺」5

 

嵯峨天皇「江頭の春暁」

  山崎離宮は塵の世の 煩わしさから隔絶す

  枕そばだて聞いている 古き関所の鶏とりの声

  夜が寝間着ねまきを湿しめらせて 知りたり山に近きこと

  旅寝を覚ます瀧の音に 渓たにに近きを悟りたり

  早くも月は西方へ 流れに乗って傾きぬ

  山の中では飢えた猿 暗い夜明けに鳴いている

  季節も物の雰囲気も まだ春めいてはいないけど

  汀みぎわの砂州さすの草だけは 茂ってやろうと構えてる


2025年1月25日土曜日

東京国立博物館「大覚寺」4

嵯峨天皇「左ひだりの金吾将軍藤ふじわらの緒嗣おつぐが『交野かたの離宮に過よぎりて旧むかし          を感おもう作』に和す」

  昔のことを偲びつつ もとの離宮に来てみると

  あまりに寂しい有り様に 涙こぼれて濡れる襟えり

  荒廃した村――家々の かまどの煙も絶え果てて

  荒れた離宮の庭園に 雀や小鳥の声だけが……

  歌舞にぎわったあの辺も 繁るイバラに覆われて

  独りカズラに囲まれりゃ 懐旧の情いやまさる

  以前と同じ花 咲くも 思い出 語る人いずこ?

  空に浮く雲 望みつつ いよいよ痛む我が心

 

カエルも骸骨も踊り出す サントリー美術館・暁斎ワールドの迷宮へようこそ❣❣❣12

  服部南郭「児の愛する所の猫死す」     長年わが子にな ついてた   子は 焼いて いたキミの世話     少ないおやつを分けてやり   眠るキミ見て安堵した     深き愛ゆえ夢に見て   恩ゆえ埋めるの哀しいと……     だが心配はまたネズミ   傍若無人に今夜から…...