弘仁元年(810)、嵯峨天皇は風光明媚なる嵯峨の地に嵯峨離宮を造営しました。天皇は弘法大師から勧められると、持仏堂に五大明王像を安置し、大飢饉が襲ってくるとみずから般若心経を書写してここに納めました。天皇崩御後の貞観18年(876)、淳和天皇の太皇太后となっていた皇女・正子内親王は、父と夫の遺徳を長く伝えるため、第二皇子の恒貞つねさだ親王――法名・恒寂ごうじゃく――を開山に迎えて寺号勅許を賜り、ここに大覚寺を開創したのです。
したがって来年令和8年(2026)は、大覚寺開創1150年を迎えることになります。「旧嵯峨御所大覚寺――百花繚乱 御所ゆかりの絵画――」は、この節目を記念しことほぐ特別展なのです。
本展を担当したのは金井裕子さん、先日みごとなキューレーションに感を深くしながら会場を回りました。しばらくぶりにお会いしてオマージュを捧げていると、かつて『國華』の原稿をお願いしたことなども思い出されてきたのです。金井さんは豪華カタログにも「百花繚乱――大覚寺をめぐる美術」という力作を寄せて、錦上花を添えています。
0 件のコメント:
コメントを投稿