2025年1月25日土曜日

東京国立博物館「大覚寺」4

嵯峨天皇「左ひだりの金吾将軍藤ふじわらの緒嗣おつぐが『交野かたの離宮に過よぎりて旧むかし          を感おもう作』に和す」

  昔のことを偲びつつ もとの離宮に来てみると

  あまりに寂しい有り様に 涙こぼれて濡れる襟えり

  荒廃した村――家々の かまどの煙も絶え果てて

  荒れた離宮の庭園に 雀や小鳥の声だけが……

  歌舞にぎわったあの辺も 繁るイバラに覆われて

  独りカズラに囲まれりゃ 懐旧の情いやまさる

  以前と同じ花 咲くも 思い出 語る人いずこ?

  空に浮く雲 望みつつ いよいよ痛む我が心

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

根津美術館「唐絵」5

とくに応永年間、熱狂的 に愛好されたので、応永詩画軸 などと呼ばれることもあります。 詩画軸のことを勉強するときには、必ず『禅林画賛   中世水墨画を読む』 ( 毎日新聞社 ) という本を手元に置かなければなりません。そして監修者である島田修二郎先生の論文「室町時代の詩画軸につい...