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2021年2月28日日曜日

『國華』蕪村拙稿12

最後に、蕪村にインスピレーションを与えたのは、むしろこちらの方ではないかという意見が強くなっている、中国・明の詩人である李攀龍の七言律詩「宗子相を懐う」です。

  晩秋見送る薊門[けいもん]で 仙人が乗るような船 

この日酒樽開けながら 時の速さを感じてた 

病に臥しても山中にゃ 桂の木々が生い茂り 

君を思えば川面には 梅の花びら散るだろう 

[おおとり]雁が春くれば 手紙を運んで来るけれど 

今夜高殿から見れば 雪家々に降り積もる 

南国呉越の故郷[ふるさと]へ 独りで君は帰ってく 

  異郷に残る薄給の 官吏の俺が不憫だろ 

2021年2月27日土曜日

『國華』蕪村拙稿11

 

次にこれもまた参考にされたと推定されてきた、同じく『江陵詩集』に載る七言律詩「中秋含虚亭の作」です。

  青い葭葦[よしあし]その上に 白露[しらつゆ]降りる江戸の町 

川面に靄が立ち込めて 揺れ動いてる月明り

夜目にも映える高殿は 仏を祭るお寺さん

[しょう][つづみ]の音秋風に 乗り家々に流れてく

涼しくなってこの世界 すべてがまるで水のよう

叢雲[むらくも]去った大空は 隈なき月光ほかになし

残暑も終りこの娑婆は 物寂しい世になったけど

そこにも悟りの道三つ あること論じるまでもなし

2021年2月26日金曜日

『國華』蕪村拙稿10

 

まず初めは、先にアップしたように、これまで蕪村が「夜色楼台雪万家」という題詩を思いついたもともとの詩と考えられてきた、詩僧・万庵原資の『江陵詩集』に採られる七言絶句「東山に遊びて花落を詠ず」です。

お寺に東風吹いてきて 五色の霞棚引けり 

春の光は物憂げで 夕日傾き黄昏[たそがれ]る 

桜は千本満開で 雲間にそびえる壁のよう 

湖上の高殿から見れば 屋根に積もった花は雪

2021年2月25日木曜日

『國華』蕪村拙稿9

 

中野先生のおっしゃるとおりだと思います。若い研究者から、僕もこれまでずいぶん批判を浴びてきました。光琳論はEさんから、大雅論はHさんから、蕪村論はYさんから、芦雪論はOさんから……。

しかしこれは、僕が措定した問題点やマイアイディアが、正しかったことを物語るものにほかなりません!! もっとも、中野先生とちがって、僕の場合は居直りのように聞こえてしまうかもしれませんが() 正論か居直りかは不問に付すとして、これらの若い研究者も、皆さんあまり若くなくなってしまったようです――これまた失礼いたしました(!?)

拙論「蕪村横物三部作試論」では、『國華』にもかかわらず、またまた漢詩戯訳を載っけてしまいました。もっとも、気の弱い僕はそれを本文に加える勇気もなく、目立たないようこそっと註へ紛れ込ませるのが精一杯でした() 


2021年2月24日水曜日

静嘉堂文庫美術館「岩﨑家のお雛さま」3

ほとんど最後のお仕事だったと思います。これを改めてお聞きしたいと思った饒舌館長の望みは、このたびご遺族と事務所の方々によってかなえられました。なんとお礼を申し上げたらよいのでしょうか。というわけで、いまは亡き八千草薫さんが、やさしく耳元で語り掛けながら、岩﨑家のお雛さまを解説してくれるんです!!

今回はお雛さまに加えて、「春らんまんの美術」と題し、お雛さまの季節にふさわしい絵画や焼き物も見ていただこうと思います。こちらのオーディオガイドは、かつてアップした静岡県立美術館「幕末狩野派展」でも、すばらしいガイドをつとめた人気声優の井上悟さんです。

 僕のおしゃべりトークは、327日(土11:00から、演題は「京の都の春の情 饒舌館長口演す」です。「江戸のエナジー」展口演が、コロナ禍のためキャンセルになったので、フラストが溜まりに溜まっています(!?) しばらくぶりの饒舌にご期待あれ!! 

2021年2月23日火曜日

静嘉堂文庫美術館「岩﨑家のお雛さま」2

一昨年の春、「桐村喜世美氏所蔵品受贈記念 岩﨑家のお雛さまと御所人形」を開催いたしました。人形愛好家として有名な福知山の桐村さんが収集した、岩﨑家旧蔵のお雛さまを一括ご寄贈くださったので、これを記念する展覧会でした。

すごい人気展となりましたから、見ていただいた方もたくさんいらっしゃることでしょう。もちろん「饒舌館長」にもアップいたしました。この企画展に合わせ、八千草薫さんにお願いしてオーディオガイドを作ろうということになったのでした。

お近くにお住いの八千草さんは、大の静嘉堂ファンで、ときどきそっと訪れて展示を楽しんでくださっていたからです。すでに八千草さんは少し体調をくずしていらっしゃったようですが、静嘉堂のためなら……と、喜んでお引き受けくださいました。


2021年2月22日月曜日

静嘉堂文庫美術館「岩﨑家のお雛さま」1

 


静嘉堂文庫美術館「岩﨑家のお雛さま」<328日まで>

 一昨日の20日(土)いよいよオープンの運びとなりました。10時の開館時間にはもうお並びいただくほどの人気ぶりです❣❣❣ もちろんコロナ対策も十全です。 

静嘉堂文庫美術館の至宝ともいうべき、岩﨑小彌太ご夫妻旧蔵お雛さまをじっくりと鑑賞していただきたいと存じます。見れば見るほどすばらしく、かわいらしく、気品にあふれています。それもそのはず、名手とうたわれた人形師5世大木平蔵が心血を注いで、しかも金に糸目をつけず作った昭和初期の絶品なんです。しかもお顔は、これまた名手の誉れ高かった面庄こと12世面屋庄次郎、絶のピンでないはずはありません。

もう一つのおススメは、オーディオガイドです。かの名女優にして美人女優であった八千草薫さんがつとめてくださっているからです。一昨年秋お亡くなりになったはずの八千草さんがどうして? 

絶滅写真作家(!?)杉本博司さんの魅力を改めて感じさせてくれる特別展が竹橋で開催中です!!4

     これも私の嫌いな言葉なのだが、どうやら私は総合芸術とやらを標榜しているようだ。と思った瞬間、いや違うと内なる声が聞こえる。むしろ分散芸術の各メニューが居酒屋 の壁にぶら下がっている、といった感じだろうか。冷奴もあれば、モツ煮もあるし焼き鳥もある。皆美味しく作られている。...