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2025年9月21日日曜日

サントリー美術館「絵金」9

 

画面は時姫が自分の父である北条時政を討ち、その代わり来世で夫婦になることを三浦之介義村に約束させる愁嘆場です。いかにも歌舞伎的な孝と恋の相克がそこにあります。画面右奥の障子には、瀕死の息子にも会おうとしない三浦之介の母・長門の影が映っています。これは忠と孝の葛藤です。

それがオーバーアクション、強烈な原色対比、血みどろ絵的嗜虐趣味の三位一体によって、官能を逆撫でするような表現性へ高められています。このような表現を歌舞伎絵フォーヴィスムと呼びたい誘惑に駆られます。絵金は歌舞伎絵フォーヴィスムの天才でした。それは幕末歌舞伎の反映であり、浮世絵の自己発展的バロック化であり、役者絵や歌舞伎絵の爛熟とデッドロックを物語る美意識でした。


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