2025年9月22日月曜日

サントリー美術館「絵金」10

ちなみに僕は、「芝居絵」より吉田映二てるじ先生が好んで使った「歌舞伎絵」の方が好きなのですが、絵金の場合は古くから「芝居絵」と呼ばれてきたようですから、基本的にそれを尊重することにしましょう。

歌舞伎絵の極限に到達したのが絵金であり、絵金の芝居絵屏風だったと思います。しかしそれを指摘しただけでは、絵金のすごさを解明したことにはなりません。注目したい要素は複数ありますが、もっとも僕の興味を引くのは、その構成構図です。異時同図法、対角線構図、フラクタル・鏡像・相似が化学反応を起こし、それが気化する瞬間に絵金芝居絵屏風が誕生するのです。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

静嘉堂文庫美術館「静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」5

  この長春筆 「形見の駒図」は、「世継曽我」の虎御前と化粧坂の少将を、当世風の美人に移し変えて描いた見立て絵 ということになります 。 先の山本九兵衛版『世継曽我』の挿絵 も 当世風美人になっているのですが、 このような見立てが近松浄瑠璃の「世継曽我」においてすでに完成している...