『偐紫田舎源氏』はともかく、山本博文先生も抜かりなく『大奥学事始め』の第5章は「世間が見た大奥」と題して、かの絵島生島事件を中心に、「綱吉の乱行から御台所による殺害」から「家慶と姉小路のスキャンダル」まで、3節に分けて詳述されています。
それらのうちには、かなり誇張や脚色が含まれていたようですが、山本先生はつぎのように〆ていらっしゃいます。
これまで紹介してきたスキャンダルは、確かな史料に載せられたものは少ないが、実録物や写本ではよく見られる話で、それほど珍しいものではない。歴史家は、こうした史料に価値を置かず、確かな史料から「史実」を再構成することの方に精力を注いできた。しかし史実はどうあれ、社会的な影響力という点から考えれば、こうした根も葉もない噂の方が重要な役割を果していたことは認めなければならないだろう。
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