2025年12月5日金曜日

静嘉堂文庫美術館「静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」5

 


この長春筆「形見の駒図」は、「世継曽我」の虎御前と化粧坂の少将を、当世風の美人に移し変えて描いた見立て絵ということになります先の山本九兵衛版『世継曽我』の挿絵当世風美人になっているのですが、このような見立てが近松浄瑠璃の「世継曽我」においてすでに完成していることは実に興味深く感じられます 


虎御前と少将は藤末鎌初――藤原時代末・鎌倉時代初めの遊女ですが、「世継曽我」では江戸時代の遊女として登場するです。草創期の歌舞伎を含めて、見立ては浮世絵よりも芸能において先行していて、芸能の趣向を後続の浮世絵が取り入れたことになります。浮世絵が芸能から大きな影響を受けたことは、すでによく知られるところですが、見立て絵の趣向は、直接摂取であったともいえるでしょう 

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