有名な「世の中に蚊ほどうるさきものはなしぶんぶぶんぶと夜も寝られず」という落書は、もちろん詠み人知らずでしたが、こちらの「落書」序文には「寿亭主人 春町」と作者の名が堂々と刻されているんです。草双紙に一大画期をもたらした黄表紙『金々先生栄花夢』に感じられるロマンチスト恋川春町は、同じノリで『鸚鵡返文武二道』も書いちゃったのでしょうか。そんなことはないはずです。
この段階では、まず武士であった恋川春町に松平定信の厳しい眼が向けられ、吉原生まれの町人・蔦屋重三郎までは及ばなかったのでしょう。しかし2年後には蔦重も身代半減という処罰を受けるのですが、その理由は一般にいわれる山東京伝作洒落本3作だけでなく、『鸚鵡返文武二道』も含まれていたのではないかと疑われるほど、過激な内容だったように思います。
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