つまり円空仏は、いや、円空彫刻はきわめて神仏習合的だったんです。それは日本仏教のきわめて大きな宗教的特徴でした。その意味で円空彫刻は、異端でもなく、破格でもなく、ましてや前衛的でもなく、とても日本的な宗教彫刻だったのです。
日本仏教彫刻史の本流を形作ってきたとされる仏像は、基本的に中国仏教彫刻を学び、それを日本化した様式にしたがって造形されてきました。最も日本的仏像とされる定朝様式も例外ではありません。チョッと意地の悪い言い方をすると、中国仏教彫刻の模造、この場合なら模像だったんです。
これに対して、円空彫刻は純然たる日本の宗教彫刻でした。縄文時代の土偶が放つエネルギーや、古墳時代の埴輪がたたえる微笑やユーモアと円空彫刻が、かすかとはいえ美しい共鳴を起こしているのは、不思議でも何でもありません。
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