「心はすでに朽ちたり」は、これまた僕の大好きな中唐の詩人・李賀をモチーフにした一文ですが、葉室さんが一度だけ髪を染めた経験から始めて、かの「長安に男児あり 二十にして心はすでに朽ちたり」へもっていくところが愉快です。春にちなんで――といってもいかにも李賀らしい陰鬱なる春ですが、「出城 権璩 楊敬之に寄す」をまたまた戯訳で……。
草 温かく 雲 暗く この世いずこも春爛漫
皇居の花が頬ほおをなで 旅立つ人を見送るよ
漢の高祖の剣のごと 雄飛を誓った野心家が
なんてぇざまだ帰郷する 車に病身 横たえて……
葉室さんのデビュー作『乾山晩愁』は琳派ファンとして以前読んだことがありますが、そのうち直木賞受賞作『蜩ひぐらしノ記』も拝読することにしましょう。
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