2025年3月11日火曜日

葉室麟『古都再見』2

「ひとり酔い」はイノダコーヒ本店近くにある、ひどい目にあったバーに対する悪口ですが、真意はこのバーを著書で持ち上げていた、大先輩作家に対する恨みにあったんじゃないかな? 丸谷才一がある寿司屋を通して小林秀雄に対するマイナス感情を吐露したように……。一方「ウオッカバーにて」は、先斗町にあるというこの店へのオマージュですが、葉室さんが60代半ばでお亡くなりになったのは、やはり飲み過ぎだったのでしょう。

「薬子」は我が国悪女のトップバッターにあがる藤原薬子と、クレオパトラの「誇り高さ」という共通項を摘出してうならせます。このあいだ東京国立博物館の「大覚寺」展を紹介したとき、チョッと薬子のことも気になったので、とくに興味を引かれたのかもしれません。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

國華清話会2025年秋季特別鑑賞会3

   「僕の一点」は吉澤雪庵の「寒山拾得図」ですね。大きな絹本の掛幅 画 です。 右側の拾得 は岩を硯にして墨を摺り、左側の寒山は筆を右手に持って岸壁に文字を書こうとしています。拾得の後には、チョット羅漢のように見える豊干禅師が座って寒山の方を見ています。これを見てすぐ思い出すの...