その『イタリア・ルネサンスの文化』<柴田治三郎訳>(中公文庫)を開くと、最初に「芸術作品としての国家」という章があります。これを読んでみると、国家や政治や宗教は、人々の精神に大きな影響を与えると考えられていたように思います。しかしさすがブルクハルトです。直接的に指摘することは控え、「個人の発展」以下の章と微妙に交響するような記述を心掛けているようです。
しかし最終節「愛国者のイタリア」を、「最後になおかいつまんで、このような政治的状況が、国民一般の精神にどんな反応を及ぼしたかを、考察しよう」と書き出しているところをみると、やはり政治と精神は分かちがたく結びついていると考えていたといって間違いじゃ~ありません。これは一種の芸術社会学だといってもよいでしょう。『新潮世界美術辞典』にしたがえば、社会学的芸術学と呼んでもよいことになります。
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