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2024年6月20日木曜日

太田記念美術館「国芳の団扇絵」5

 


また永井荷風は、「余の友人板倉氏の説に国貞の風俗画の佳良なるものは歌麿の画題と布局とを其の侭に摸写したるもの多しとぞ」と述べていますが、僕のみるところ、国芳も喜多川歌麿からとても強い影響を受けています。

もっともよく知られているのは、国芳の大首絵シリーズ「山海愛度図会」の「けむつたい 丹波 赤かゐる」です。そのイメージソースとなったのは、歌麿の二枚続き「台所四美人」でした。画面右奥一人の女房が茶碗にお湯を汲もうとしたところでしょうか、もう一人の女房が火吹き竹で吹いたかまどからの煙に顔をしかめています。

国芳はこの女房だけを取り出し、国芳風にメタモルフォーゼさせて「けむつたい」を創り出したのです。このような例は少なくありません。歌麿美人が国芳のお手本に、業界用語でいうマニエラになっているんです。こんな点から、国芳はマニエリスムの画家であり、江戸後期はマニエリスム浮世絵の時代だという独断と偏見をかつて発表したことがあるんです。

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