2023年11月2日木曜日

東京国立近代美術館「棟方志功展」6

柳は、おそらくは保田も、「大和し美し」からインスピレーションを得たんです。彼らの指導を受けて、棟方が制作したわけじゃ~ないんです。ここに棟方のすごさ、視覚芸術のエネルギーがあるように思います。

もちろんそのあとで、柳や浜田庄司や河井寛次郎、そして保田から思想的感化を受けたことは否定できません。技法上も、やがて棟方が愛用することになる裏彩色は、はじめ柳の発案だったそうです。しかし最初の閃光は、棟方の方から放たれたのです。

僕は俵屋宗達と本阿弥光悦の関係も、これに似ていたのではないかと想像しているんです。たまたま光悦が、絵屋・俵屋の店頭で売っていた作品――この場合は商品を見て、宗達を発見したんだと……。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

皇居三の丸尚蔵館「近世の御所を飾った品々」6

 友松は晩年、桂宮家を創始した智仁 ともひと 親王のもとにしばしば出入りし、押絵の注文などを受けていたことが、記録から明らかになっているからです。畏友・河合正朝さんの『友松・等顔』<日本美術絵画全集 11 >(集英社  1978 年)によると、桂宮淑子 すみこ 関係の記録にある「...