虫を苦しませることは僻事とされ、害虫殺傷さえ禁じられたと考えられていたのが生類憐みの令でした。生類憐みの令の象徴ともいうべき虫のイメージが、南畝の胸底に浮かび上がったとき、ほとんど同時に、かつて心を許しあう友人と楽しんだ虫狂歌合せがよみがえってきたのではないでしょうか。その記録が筐底に眠っていることを、思い出したのではないでしょうか。
さっそく南畝は、蔦屋重三郎のもとに駆けつけ、サナギから蝶に羽化するのを待っていた喜多川歌麿に白羽の矢を立てたのです。
田村隆一「夢の中の逆夢」 詩は青春の文学だなんて後進国の 嘘 っ八だ 目がかすみ 耳が遠くなり 口からヨダレが たれてこなかったら 詩は生れない 詩の懐胎は消費人間の特権だ 文明のストックを喰いつぶせ
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