虫を苦しませることは僻事とされ、害虫殺傷さえ禁じられたと考えられていたのが生類憐みの令でした。生類憐みの令の象徴ともいうべき虫のイメージが、南畝の胸底に浮かび上がったとき、ほとんど同時に、かつて心を許しあう友人と楽しんだ虫狂歌合せがよみがえってきたのではないでしょうか。その記録が筐底に眠っていることを、思い出したのではないでしょうか。
さっそく南畝は、蔦屋重三郎のもとに駆けつけ、サナギから蝶に羽化するのを待っていた喜多川歌麿に白羽の矢を立てたのです。
続けて 「寿石は寿を寓す。菊は居と同音異声にして、尚且つ吉祥の花。猫は耄と同音異声。蝶は耋と同音異声。耄耋は礼記に七十をば耄、八十をば耋、百をば期頤といふ。とありて長寿なり。決して耄碌に非ず」という愉快な解説が加えられています。 つまり菊と居の中国語発音は「ジュ」で同じなのです。...
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